発表年:1971年
ez的ジャンル:ウィスパー・ヴォイス系女性シンガー
気分は... :まどろみながら・・・
今回は謎の女性シンガーPaige Claireの唯一のアルバム『Paige Claire』(1971年)です。
Paige Claireについてのプロフィールは謎のままです。唯一のアルバムの発売元や制作陣からはUSシンガーという気がしますが、名前や英語の歌い回しからはフランス系を想起させます。いずれにしろ、本作『Paige Claire』のみを残し、忽然とシーンから姿を消した謎多き女性シンガーです。
しかしながら、彼女が唯一残した『Paige Claire』は44年経った今でも色褪せない素敵な歌が詰まっています。青春時代を思い出させる甘酸っぱい雰囲気がいいですね。
とにかく少し舌足らずのウィスパーまじりのPaigeのヴォーカルがたまりません。ウィスパー・ヴォイス好き、ロリータ・ヴォイス好き、フェアリー・ヴォイス好きの人は絶対にハマるはずです。
プロデュースはBobby Sherman、Brady Bunch等を手掛けたJackie Mills。Harry Betts、Al Cappsがアレンジを務めています。彼らのPaigeのコケティッシュかつフェアリーな魅力を最大限引き出した素晴らしい仕事ぶりにも感心させられます。
楽曲がどれも素晴らしいのも本作の魅力です。Dusty Springfield、Bread、Michel Legrand、Clodagh Rodgers、Randy Edelman、Shelby Flintのカヴァー6曲のセレクトも素晴らしいですし、オリジナル5曲も粒揃いです。特に、60年代のサンシャイン・ポップ・グループLove Generationの元メンバーTom Bahlerが3曲を提供し、本作に大きく貢献しています。
キュートにはじける「I'm Too Shy」、「Come Back and Shake Me」もいいですし、フェアリーな「Make It With You」、「I'm Black Where I Started With You」、「It Was Always You」あたりもたまりません。さらに、「Sunny Day」、「You Say I Should Forget」、「I Will Love You」、「Paint My World Blue」のまどろみ感にも相当グッときます。
まどろみながら妄想に耽りたい気分になる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Just a Little Lovin' (Early in the Morning)」
Barry Mann/Cynthia Weil作。Dusty Springfieldのシングル曲をカヴァー。Paigeのコケティッシュな魅力を引き立てるポップ・バラードに仕上がっています。
「I'm Too Shy」
Tom Bahler作。本作のハイライトはコレでしょう。Paigeのロリータ・ヴォイスにKOされてしまうキュートなガ―リー・ポップです。
https://www.youtube.com/watch?v=-zMrwvtOT3s
「Make It With You」
David Gates作。Breadの大ヒット・シングルをカヴァー。オリジナルは『On The Waters』(1970年)に収録されています。Paigeのピュアな魅力が伝わってくるビューティフルな1曲に仕上がっています。
「Windmills of Your Mind」
Alan Bergman/Marilyn Bergman/Michel Legrand作。Steve McQueen主演の映画『The Thomas Crown Affair(邦題:華麗なる賭け)』(1968年)の主題歌をカヴァー。当ブログではDorothy Ashbyのカヴァーを紹介済みです。ここでは憂いを帯びたPaigeのフェアリー・ヴォイスがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=I-oRQIZI5z8
「I'm Black Where I Started With You」
Tom Bahler作。Paigeのフェアリー・ヴォイスにグッとくるビューティフル・ポップ。こんな曲を聴きながら、眠りにつきたい(笑)
「Come Back and Shake Me」
UKの女性シンガーClodagh Rodgers、1969年のヒット曲をカヴァー(Kenny Young作)。オリジナル以上にキュートなダンサブル・ポップに仕上がっています。
「Sunny Day」
USシンガー・ソングライターでJackie DeShannonの旦那様としても知られるRandy Edelmanの作品をカヴァー。ロリータ・ヴォイスで美しいメロディを歌い上げるのがたまりません。
「You Say I Should Forget」
Tom Bahler作。ハープシコードが醸し出す甘酸っぱい雰囲気がいいですね。切ないメロディを歌い上げるPaigeにもグッときます。
「It Was Always You」
Charles Strouse/Lee Adams作。これは楽曲が素晴らしいですね。そんな素敵なメロディをPaigeがフェアリー・ヴォイスで歌います。
「I Will Love You」
Shelby Flint/Barry De Vorzon作。60年代に活動していた女性SSW、Shelby Flintの作品をカヴァー。オーケストレーションを配したロマンティックな仕上がりです。
「Paint My World Blue」
Jackie Millsがプロデュースしていたソフトロック・グループThe Mother Loveの元メンバーDanny Janssenの作品。コケティッシュなPaigeの魅力が存分に伝わってくるバラードです。アレンジも素晴らしい!
気づけば、もう6月末ですね。
7月に入る明日からは、夏モードの作品を集中的に紹介したいと思います。