発表年:2015年
ez的ジャンル:イタリアン・スムース・ソウル・バンド
気分は... :笑顔がドレス・コード・・・
今回は新作アルバムからイタリアのスムース・ソウル・バンドCamera Soulの3rdアルバム『Dress Code』です。
Camera Soulはイタリア南部の港町バーリを拠点に活動する大所帯ソウル・ユニット。リーダーは、PieroとPippoのLombardo兄弟。
これまで『Words Don't Speak』(2011年)、『Not for Ordinary People』(2013年)という2枚のアルバムをリリースしています。
彼らのオフィシャル・サイトで確認すると、現在のメンバーはPippo Lombardo(leader、key)、Piero Lombardo(leader)、Maria Enrica Lotesoriere(vo)、Liviana Ferri(per)、Beppe Sequestro(b)、Fabio Delle Foglie(ds)、Antonio Tosques(g)、Gianluca Cardellicchio(g)、Piero Dotti(back vo、per)、Elio Arcieri(back vo)等14名です。メンバーにはUSでの配給元TIMKAT Entertainmentの社長を務め、本作のコンポーザーにも名を連ねるデンバー在住の女性ジャズ・ピアニストKathryn Ballard Shutも含まれます。
それ以外にゲストとして、Daniele Scannapieco(ts)、Gianfranco Campagnoli(tp、flh)の2名がレコーディングに参加しています。
ソングライティングはLombardo兄弟、本作から加入した女性シンガーMaria Enrica Lotesoriere、前述のデンバー在住の女性ジャズ・ピアニストKathryn Ballard Shutが手掛けています。
The Brand New HeaviesやIncognitoに代表される90年代のUKアシッド・ジャズ的な音作りが強調されていますが、そればかりではありません。イタリアのグループらしいラテン/ブラジル・フレイヴァーのクラブジャズ的なエッセンスを取り入れた曲や、大人のアーバン・ソウル/スムース・ソウル的な曲も含む、とてもバランスの良い構成になっています。
楽曲自体も粒揃いなので、サウンドの良さが余計に際立ちます。さらリード・ヴォーカルMariaが歌が実に安定している点もアルバムの魅力アップに大きく貢献していると思います。
斬新さはありませんが、この安定感とセンスには捨て難い魅力があります。
これから夏に向けて重宝する1枚になるはずです。
全曲紹介しときやす。
「The Purpose」
George Benson風のギターとThe Brand New Heaviesばりのジャズ・ファンク・サウンドにアーバンなスパイスを効かせたオープニング。
「Bring Me Back」
ダンサブルな疾走感にIncognito好きの人は気に入るはずです。
「More And More」
大人のジャジー・メロウ。Mariaのしっとりとしたヴォーカルにグッとくる自愛バラード。迷ったとき、自分を見失いそうになったときに聴くと、優しく励ましてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=fQyfZevm1K4
「This Rain」
Mariaの素敵なヴォーカルが際立つスムース・ソウルなミディアム・チューン。男性バック・ヴォーカルやゲスト2人の素晴らしいホーン・アンサンブルも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=AbDvb34HsI8
「Dress Code」
タイトル曲はイタリアのバンドらしい小粋なセンスが加わったラテン・フレイヴァーの効いたアーバン・ソウル。"笑顔があれば、それがドレス・コード"というポジティヴなメッセージがそのまま音にも反映されています。
https://www.youtube.com/watch?v=oFA-LAL5jxg
「Push Play」
気分をバカンス・モードにしてくれるミディアム・グルーヴ。Incognito好きの人向けの1曲です。この曲もラテン・フレイヴァーが効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=mnseWPLknAY
「Glow」
このアッパーかつ爽快な疾走感はドライヴ・ミュージック向きですね。アッパーであっても大人向けな感じがいいですね。ここでもホーン隊がいい仕事しています。
「You Think You Know About Love」
ア・カペラと共に始まるメロウ・ミディアム。サンセット・モードのラブ・ソングって趣がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=XPt_V6V7VB8
「Eu Quiero Sambar」
この曲に限ってはクラブジャズ好き向けのブラジリアン・グルーヴです。このあたりのクラブジャズ的センスもイタリアのバンドらしくていいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=2E2PoPsWrh4
「A Day With You (In London)」
タイトルにもあるようにUKソウル的なエッセンスを感じるミディアム・チューン。R&B好きの人にはコレが一番フィットするかも?
https://www.youtube.com/watch?v=bzwHSl8Fu_0
「Colours of Music」
大人のスムース・ソウルという点では一番気に入っている曲です。夏向けな感じやポジティブなヴァイヴスが伝わってくる点も含めて大好き!
https://www.youtube.com/watch?v=MfuZQinVbN8
「Around The World」
躍動感という点はアルバム屈指の1曲。ジャズ・ファンクとクラブジャズ両方のエッセンスを巧みにミックスしているのがいいですね。何故だか初期Roman Andrenと一緒に聴きたい気分になりました。
https://www.youtube.com/watch?v=Ey7b9pm1EqI
「Scent of Wisteria」
この曲もIncognitoタイプの仕上り。終盤のエレガントなアレンジも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=jeLfdirkegA
「Imperfect Rose」
ラストは素敵なスムース・ソウルで締め括ってくれます。Mariaのヴォーカルの魅力とこのバンドの音作りの巧みさが見事に噛み合っています。
https://www.youtube.com/watch?v=mD-DazghfbI
『Not for Ordinary People』(2013年)
イタリアでソウルというと,The Change,The BB&Q. Band等のダンス・ミュージック・プロジェクトを生んだフレッド・ぺトラス&モウロ・マラヴァジぐらいしか思いつかない,貧困な見識しかない私ではありますが,このしなやかで優雅な雰囲気はなかなかでした。
「The Purpose」級のナンバーがもう1曲あると,さらに良かったんですけど。
ありがとうございます。
目新しさはないもの、雰囲気はあるアルバムだと思います。
今のイタリア人アーティストであれば、ブルー・アイド・ソウルなAl Castellanaや、ジャズからソウルにアプローチするMario Biondiあたりもお気に入りです。
Ely BrunaやPapikといったジャズ系アーティストのアルバムにもソウル的なアプローチが見られるし、ジャズとソウルの垣根を取っ払って聴くのが楽しいと思います。