発表年:1980年
ez的ジャンル:カルト・ヒーロー系ロック
気分は... :巻き入れないとヤバイ!
ロック界のカルト・ヒーローDavid Bowieの登場デス。
ミュージシャンDavid Bowieのキャリアを振り返ると、あまりに変化が激しくその全体像をつかむことがなかなか難しい。
映画『2001年宇宙の旅』に感化され制作した2ndアルバム『Space Oddity』(1969年)でチャンスをつかむと、続く『The Man Who Sold The World』(1971年)、『Hunky Dory』(1971年)といった作品でグラム・ロッカーとしての方向性を強く打ち出していった。
そして、グラム・ロックの1つの頂点とも呼べるSF仕立てのコンセプト・アルバム『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars』(1972年)で、その異星人的なイメージを強く印象づけた。こうしてDavid BowieはT.RexのMarc Bolanと並びグラム・ロックのカルト・ヒーローの地位を確立する。
その後、イギリスのみならずアメリカでの商業的な成功を目論んだBowieは『Young Americans』(1975年)をはじめとするソウル・ミュージックへ急接近した作品を発表するが、こうしたアプローチは逆にヨーロッパ人としてのアイデンティティを気付かせる結果となり、ヨーロピアン路線へ向かわせることとなる。
ベルリンに拠点を置いたBowieは、Brian Enoという強力なパートナーを得て、『Low』(1977年)、『Heroes』(1977年)といったヨーロピアン美学に溢れる作品を発表する。
1980年代以降のBowieは、さまざまな音楽スタイルの試行錯誤を繰り返してきたと言える。ChicのNile Rodgersをプロデューサーに迎えたキャリア最大のヒット作『Let's Dance』(1983年)ではNYスタイルのダンサブルなサウンドを取り入れたかと思うと、キーボードレスのロック・グループTin Machineを結成したり、『Earthling』(1997年)ではジャングル/ドラムンベースを取り込んだり...と目まぐるしくそのスタイルを変えている。
以上かなり端折り気味ですがBowieの音楽活動の変遷です。
僕自身は特別Bowieのファンというわけではありませんが、このカルト・ヒーローの存在はやはり気になりますね。
そんなBowie作品の中で最も好きな作品が今日紹介する『Scary Monsters』(1980年)です。
これは僕がリアルタイムで初めて聴いたBowie作品だったのですが、当時の僕にとって、「Ashes to Ashes」や「Fashion」といったシングルのPVのインパクトは大きかったですが、音楽的に特別好きというわけでもありませんでしたね。
むしろ、本作の次に発表された『Let's Dance』(1983年)の方がNile Rodgers好きということも手伝って、かなり夢中になって聴いていた記憶があります。今聴くと少しビミョーですけどね。
その後CD時代になって、Bowieの主要作品をコレクションする中で、一番聴く頻度が多い作品が『Scary Monsters』になっていまシタ。
きっと、僕はDavid Bowieという人にUK、ヨーロッパらしさを求めており、ニューウェイヴの香り漂う本作が一番しっくりくるのではと思いマス。ただし、意外なことに本作の一部はNYのPower Stationでレコーディングされているのですが(笑)
プロデュースはDavid BowieとTony Visconti。Carlos Alomar(g)らのレギュラーメンバーに加え、King CrimsonのRobert Fripp、The WhoのPete Townshend、E Street BandのRoy Bittanなどがゲスト参加していマス。
70年代のBowieの集大成的な要素もあり、楽曲的にも粒揃いの飽きのこないアルバムではないかと思いマス。
オススメ曲を紹介しときやす。
「It's No Game, Pt. 1」
いきなり日本人女性(Michi Hirota)の♪シルエットや影が...革命を見ている...♪という日本語のナレーションから始まるのには正直驚きましたね。曲自体もカルトヒーローBowieらしいミステリアスな魅力に包まれていマス。
「Up the Hill Backwards」
印象的なユニゾンのコーラスと中盤からのフリーキーでパーカッシヴな展開がいいですね。
「Scary Monsters (And Super Creeps) 」
少しオリエンタルなムードが漂うタイトル曲。Robert Frippのギターがいいですね。
「Ashes to Ashes」
アルバムからの先行シングルとして全英チャートNo.1に輝いたヒット曲。道化師と化したBowieが印象的なPVの映像が思い出されますね。
Space Oddityに登場したトム少佐は実はジャンキーだったという歌詞に、過去を一度清算したいというBowieの思いが込められているように思えマス。Roy Bittanのピアノも印象的ですね。
「Fashion」
この曲もシングルカットされ、全英チャート5位まで上昇しまシタ。当時はヘンてこりんな曲だと思ったけど、今聴くとダンサブルでニューウェイヴなカンジがとってもいい曲ですね。この歪んだサウンドが好きだなぁ。
「Teenage Wildlife」
代表曲「Heroes」の続編のようなカッチョ良い曲。ある意味とってもBowieらしい1曲なのでは?Robert Frippのギターがカッチョ良いですね。
「Kingdom Come」
Tom Verlaine(Television)のカヴァー。なかなかキャッチーな仕上がりで好きですね。
「Because You're Young」
Pete Townshend参加曲。キーボードを中心としたサウンドがCarsあたりに通じるものがありますね。
今、振り返ると、デビューから本作までが、David Bowieが真のDavid Bowieであった時期なのではと思いマス。
ありがとうございます。
「Ashes to Ashes」や「Fashion」はリアルタイムで聴いていた時はあまりピンときませんでしたが、CDで聴くようになって気に入るようになりました。ニューウェイヴな雰囲気に惹かれるのかもしれませんね!