発表年:1979年
ez的ジャンル:クラブジャズ/レア・グルーヴ系ジャズ
気分は... :アメリカ強すぎ!
サッカー女子W杯の決勝は、アメリカが強すぎましたね。
前半のあっという間の4失点は昨年の男子W杯の準決勝「ブラジル対ドイツ」が再現されたようでした。
やはり、アメリカとの実力差は歴然としていましたね。
逆にいえば、トーナメント運に恵まれたこともありますが、なでしこがあの戦力で決勝まで勝ち進んだということは、今持っている力を出し切った証であり、その部分は評価すべきですよね。
考えてみれば、W杯準優勝で悔しがっているなんて、男子サッカーでは考えられないことだし、決勝で自国を応援できるというだけで幸せなことだと感じないといけませんね。なでしこの皆さん、感動をありがとうございました。
さて、今回は再評価の高いジャズ作品The Louis Hayes Group『Variety Is the Spice』(1979年)です。
Louis Hayesは1937年デトロイト生まれのジャズ・ドラマー。
1950年代からジャズ・ドラマーとして活躍し、Horace Silver、Cannonball Adderley、John Coltrane、Oscar Peterson等と共演してきました。
当ブログで紹介した作品でいえば、Oscar Peterson『Soul Espanol』(1966年)、Joe Henderson『Tetragon』(1968年)、Freddie Hubbard『The Black Angel』(1969年)、The Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimited『In Tune』(1971年)といったアルバムでLouis Hayesの名がクレジットされています。
『Louis Hayes』(1960年)を皮切りにリーダー作もリリースしているLouis Hayesですが、そのなかでもクラブジャズ方面から再評価の高い1枚がThe Louis Hayes Group名義でリリースした『Variety Is the Spice』(1979年)です。
レコーディング・メンバーはLouis Hayes(ds)、Harold Mabern(p、el-p)、Cecil McBee (b)、Frank Strozier(as)、Titos Sompa(congas)、Portinhoper(per)、Leon Thomas(vo)です。
主役Hayesのドラム、Harold Mabernのピアノ、Frank Strozierのサックスが目立つアルバムです。オーソドックスなジャズなようで、リズミック/パーカッシヴな躍動感が増し増しになっているところが、クラブジャズ/レア・グルーヴ方面での再評価を高めているのでしょうね。アフロ・キューバン、ボッサ/ブラジルのエッセンスを織り交ぜてアクセントをつけているのもいいですね。
特に、「Little Sunflower」、「What's Goin' On」、「My Favorite Things」という3大カヴァーが本作のハイライトだと思います。3曲共に強力なオリジナルや決定盤カヴァーが存在する名曲ですが、そこに敢えてチャレンジし、それらに迫る名カヴァーを聴かせてくれます。
上記3曲以外にもグルーヴィーな「Dance With Me」も僕のオススメ!
とりあえず「Little Sunflower」、「What's Goin' On」、「My Favorite Things」の3曲を聴いて、気に入った人はぜひゲットを!
全曲紹介しときやす。
「Kelly Colors」
Harold Mabern作。オーソドックスなジャズながらも、アフロ・キューバンなアクセントや作者Harold Mabernのピアノや存在感のあるHayesのドラミングで聴き応え十分です。
https://www.youtube.com/watch?v=Trav46zglwc
「Little Sunflower」
本作のハイライトその1。Freddie Hubbard作の名曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Backlash』に収録されています。本曲といえば、Al Jarreauのヴォーカルをフィーチャーした『Love Connection』(1979年)収録ヴァージョンも有名ですね。当ブログではJerker Kluge's Deep Jazz、The Jazzinvaders Featuring Dr. Lonnie Smithのカヴァーも紹介済みです。ここではLeon Thomasのヴォーカルをフィーチャーしたボッサ/ブラジリアンなスピリチュアル・ジャズが実にいい雰囲気を醸し出します。ボッサ/ブラジリアンもスピリチュアル・ジャズも大好きな僕としては、この合わせ技に脱帽です。
https://www.youtube.com/watch?v=O0gxt7X_iAQ
「Stardust」
Hoagy Carmichael作の有名スタンダードをカヴァー。お馴染みのメロディをFrank Strozierのアルトでブロウします。なかなかキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=BKjua-rVKy8
「What's Goin' On」
本作のハイライトその2。Marvin Gayeの不朽の名曲「What's Going On」をカヴァー。Harold Mabernの華麗なピアノ、Frank Strozierのサックス、Hayesのドラミングらが織り成す生命力に満ちた素晴らしいアンサンブルで魅了してくれます。この曲のジャズ・カヴァーの最高峰の1つでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=thmoggeuq1k
「Invitation」
Bronislaw Kaper作のスタンダードをカヴァー。Strozierのソロに続き、変幻自在のリズムで小粋な演奏を聴かせてくれます。Cecil McBeeの推進力のあるベースがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jHu_E6psTZQ
「Nisha」
Louis Hayes/Leon Thomas作。Leon Thomasのヴォーカルをフィーチャーしたメロディアスなバラード。Strozierのアルトも素敵です。
https://www.youtube.com/watch?v=GYkFWre79Yw
「My Favorite Things」
本作のハイライトその3。Richard Rodgers/Oscar Hammerstein II作。ミュージカル『The Sound of Music』のために書かれたお馴染み名曲。本曲のジャズ・カヴァーといえば、John Coltraneヴァージョンが決定版ですね。そんなColtraneヴァージョンに見劣りしない、素晴らしい「My Favorite Things」を聴かせてくれます。演奏全体のパーカッシヴな躍動感がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=IXeJfew2GGc
「Dance With Me」
Peter Brown/Robert Rans作。 Peter Brown、1978年のヒット曲をカヴァー。レア・グルーヴ/クラブジャズ好きの人は気に入るであろうグルーヴィーな演奏です。Mabernのエレピも効いています。
「A Hundred Million Miracles」
Richard Rodgers/Oscar Hammerstein II作。ミュージカル『Flower Drum Song』のために書かれた楽曲をカヴァー。Hayesのドラミングを存分に楽しめる演奏です。途中ドラムン・ベースのように聴こえるところもあるのが面白かったです。
https://www.youtube.com/watch?v=w83UQenHDW4
『Louis Hayes』(1960年)
Oscar Peterson/Milt Jackson/Ray Brown/Louis Hayes『Reunion Blues』(1973年)
『Breath of Life』(1974年)
『The Real Thing』(1977年)
Louis Hayes - Junior Cook Quintet『Ichi-ban』(1979年)