2015年08月02日

Quantic Presents The Western Transient『A New Constellation』

Quanticによるジャズ・プロジェクト始動!☆Quantic Presents The Western Transient『A New Constellation』
A NEW CONSTELLATION [帯解説・ボーナストラック収録] (BRC477)
発表年:2015年
ez的ジャンル:ラテン・フレイヴァー・メロウ・ジャズ
気分は... :アナログ&アンサンブル・・・

今回は新作アルバムからQuanticことWill Hollandの新プロジェクトQuantic Presents The Western Transient『A New Constellation』です。

UK出身のDJ/ミュージシャン/プロデューサーQuanticに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の4枚。

 The Quantic Soul Orchestra『Stampede』(2003年)
 The Quantic Soul Orchestra『Pushin On』(2005年)
 Quantic & Alice Russell With The Combo Barbaro『Look Around The Corner』(2012年)
 Quantic『Magnetica』(2014年)

2007年からのコロンビアでの生活に一区切りをつけ、コロンビア時代の成果を踏まえつつ、エレクトロ・サウンドとの融合など新たなアプローチに取り組んだ『Magnetica』を昨年リリースしたQuanticことWill Holland

その後、N.Y.を拠点にしつつ、米国各地でDJやライブ活動を重ねるうち、彼の中でL.A.でのインストゥルメンタル・ジャズのスタジオ・アンサンブルへの欲求が高まり、実現したのが本プロジェクトThe Western Transientです。

Will Holland(Quantic)がプロデューサー、バンド・ディレクター、リズム・ギターを務め、それ以外にWilson Viveros(ds)、Sylvester Onyejiaka(sax、fl)、Todd Simon(tp、flh)、Brandon Coleman(key、moog)、Gabe Noel(b)、Alan Lightner(per、steel drum)という6名のミュージシャンがスタジオに集まり、一緒にレコーディングした作品が本作です。

参加ミュージシャンの当ブログ紹介作品への参加を調べてみると、Wilson ViverosはQuantic & Alice Russell With The Combo Barbaro『Look Around The Corner』(2012年)、Brandon ColemanはFlying Lotus『You're Dead!』(2014年)、Kamasi Washington『The Epic』(2015年)、Todd SimonはFlying Lotus『Cosmogramma』(2010年)、Alan LightnerはDexter Story『Seasons』(2013年)に参加しています。

このように見ると、L.A.音楽シーンへの重要作に参加している連中であることが確認できると思います。特にBrandon Colemanは、僕の中で最近気になっていたミュージシャンだったので、本作への参加は実に興味深いですね。

また、スタジオ・アンサンブルをテーマにした本作ではレコーディングにアナログ・テープを用い、伝統的なサウンドへのこだわりを見せています。このあたりもQuanticらしいこだわりですね。

オープニングの「Latitude」を聴いた時には、予想外に真正面からジャズしているので面喰いましたが、2曲目以降はQuanticらしいラテンのエッセンスを散りばめたメロウ・ジャズな演奏で魅了してくれます。全体的にゆったりとした演奏が目立ちますね。

これまでの活動とは大きく異なるジャズ・サウンドというよりも、これまでの成果をジャズ・ミュージシャンとのスタジオ・アンサンブルで進化させたサウンドという印象が強いです。個人的にはラテンなエッセンスもしっかり織り込まれており安堵しました。

楽曲はすべてWill Holland(Quantic)のオリジナルです。

本作で唯一違和感を覚えたのは国内盤解説でしょうか(笑)

全曲紹介しときやす。

「Latitude」
柔らかい温もりのアンサンブルとアナログへのこだわりが感じるられるサウンドが本作を象徴しているオープニング。正直、この正統派ジャズのアプローチは意外でした。

「Jumble Sale」
僕の一番のお気に入り。ラテン・フレイヴァーの効いた和やかなメロウ・グルーヴ。このあたりはQuanticらしさが出た演奏だと思います。スタジオ・アンサンブルならではのシンクロ感が実に心地好いですね。

「A New Constellation」
タイトル曲は夕陽を眺め、ゆったりとした時の流れを感じながら聴きたい気分のメロウな演奏です。Sylvester Onyejiaka、Todd Simonによるホーン・アンサンブル、Brandon Colemanのムーグが主役ですかね。

「Requiescence」
ラテン・フレイヴァーの効いたメロウ・ミディアム。ゆったりと過ごす夏の休日といった趣がいいですね。

「Nordeste」
この曲はブラジルのエッセンスも取り入れています。Quanticの引き出しの多さと、このメンバーによるスタジオ・アンサンブルの魅力が見事に結びついた演奏です。Brandon Colemanのムーグが効いています。

「Bicycle Ride」
Quantic自身のギターが目立つ哀愁モードの演奏です。コロンビア時代の成果をスタジオ・アンサンブルとして進化させているのがいいですね。

「Creation (East L.A.)」
アルバムからの先行シングル。スティール・ドラムの音色が鮮やかな、カリビアン/ラテン・テイストの仕上がり。息の合ったホーン・アンサンブルも含めてアルバムで最もキャッチーな演奏だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=sO4GnlMBYaU

「Mirzan」
前曲に続きスティール・ドラムの音色が聴かれるメロウ・ミディアム。アナログ・レコーディングならではの効果がよく出ていると思います。

「The Orchard」
本編のラストもメロウな演奏でロマンティックに締め括ってくれます。

国内盤CDには「Latitude (To The Point Version)」「Creation (East L.A) (The Reflex Revision)」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

Quantic関連の他作品もチェックを!

The Quantic Soul Orchestra『Stampede』(2003年)
Stampede

The Quantic Soul Orchestra『Pushin On』(2005年)
Pushin On (TRUCD074)

The Quantic Soul Orchestra with Spanky Wilson『I'm Thankful』(2006年)
I'm Thankful

The Quantic Soul Orchestra『Tropidelico』(2007年)
Tropidelico (TRUCD139)

Quantic『The 5th Exotic』(2001年)
The 5th Exotic

Quantic『Apricot Morning』(2002年)
Apricot Morning (TRUCD034)

Quantic『Mishaps Happening』(2004年)
Mishaps Happening

Quantic『An Announcement to Answer』(2006年)
An Announcement to Answer (TRUCD100)

The Limp Twins『Tales From Beyond the Groove 』(2003年)
Tales from Beyond the Groove (TRUCD057)

Quantic & His Combo Barbaro『Tradition in Transition』(2009年)
Tradition in Transition (TRUCD190)

Quantic Presenta Flowering Inferno『Death of the Revolution』(2008年)
Death Of The Revolution [日本語解説付き国内盤] (BRTRU163)

Quantic Presenta Flowering Inferno『Dog With a Rope』(2010年)
Dog With A Rope [ボーナストラック2曲・日本語解説付き国内盤] (BRC-262)

Quantic & Alice Russell With The Combo Barbaro『Look Around The Corner』(2012年)
Look Around The Corner [解説付 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC325)

Ondatropica『Ondatropica』(2012年)
Ondatropica

Quantic『Magnetica』(2014年)
Magnetica [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC415)
posted by ez at 01:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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