録音年:2000年
ez的ジャンル:ハワイ産クール・ブリーズ
気分は... :海と戯れる夏・・・
今回はハワイで結成された男女デュオGenaiの2ndアルバム『Heaven Not So Far Away』(2000年)です。
シカゴ生まれ、ハワイ育ちの黒人女性シンガーGinai K. Johnston、同じくシカゴ生まれでハワイ、L.A.を拠点に活動していたマルチ・ミュージシャンOliver Wendellによってハワイで結成された男女デュオGenaiの紹介は、デビュー・アルバム『Heaven On Earth』(1999年)に続き2回目となります。
2ndとなる本作『Heaven Not So Far Away』における大きな変化は、第三のメンバーとしてRobbie Danzieを迎えている点です。
ソウル/R&B通の方ならば、Robbie Danzieの名を聴いてピンと来るかもしれませんね。彼女は80年代に活躍した女性ヴォーカル・グループKrystolのメンバーだった女性シンガーです。
Ginai K. Johnstonのスケジュールが思うように確保できず、その対応として一時的にRobbieがグループに加わり、シンガー2人体制で乗り切ろうとしたのが背景のようです。全10曲中7曲でRobbieがリード・ヴォーカルを務め、残り3曲でGinaiがリードを務めています。
内容的には1st『Heaven On Earth』と同様に、ジャズ、ソウル、ブラジル、ラテンのエッセンスを巧みにまとめあげたアーバンなジャジー・ソウル/AORを聴かせてくれます。
前作では「Africa」(Toto)、「Runaway」(The Salsoul Orchestra)>、「Brazil(Aquarela Do Brasil)」(Ary Barroso)、「The Biggest Part Of Me」(Ambrosia)、「It's Too Late」(Carole King)、「Human Nature」(Michael Jackson)といった有名曲カヴァーで楽しませてくれましたが、本作ではBilly Joel「Just The Way You Are」、Antonio Carlos Jobim「Corcovado-How Insensitive」、Sade「Kiss of Life」といったカヴァーを取り上げています。
ただし、本作ではオリジナルの比率が高くなっており、Ginaiが限定参加となる中で、もう一人のOliver Wendellがプロデュース/ソングライティング面でユニットを牽引したアルバムといえるでしょう。
オリジナルならば「Heavens Not So Far Away」、「Wave」、「Melody Sweet」、カヴァーならば「Just The Way You Are」、「Kiss Of Life」がオススメです。
海と戯れる夏・・・といった雰囲気のジャケもいいですね。
全曲紹介しときやす。
「Heavens Not So Far Away」
今の季節にぴったりの涼しげなボッサ調のメロウ・サウンドにのって新加入のRobbieが艶やかな歌声を聴かせてくれる素敵なアコースティック・メロウ。このオープニングを聴けば、本作の素晴らしさがわかるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=0VZnmKaZyXw
「Afraid To Love」
Ginaiがリード・ヴォーカルをとる哀愁モードの仕上がり。Robbieのヴォーカルとの違いを味わうのも楽しいと思います。
「Just The Way You Are」
Billy Joelの名曲「素顔のままで」をカヴァー。この名曲をボッサ調のアコースティック・メロウで聴かせてくれます。夏モード、ハワイモードらしい「素顔のままで」に仕上がっていると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=2qABluU8qWo
「Just The Way You Are」に関して、当ブログではMeta Roos & Nippe Sylwens Band、Till Bronner、Dardanellesのカヴァーも紹介済みです。
「Melody Sweet」
Oliverのジャジー&メロウなサウンド・センスが光る大人のジャジー・ソウル。新加入Robbieのヴォーカルには、このタイプの曲が良く似合います。
「Wave」
タイトルからAntonio Carlos Jobimのカヴァーだと早合点してしまいましたが、彼らのオリジナルでした。Ginaiがリード・ヴォーカルをとるボッサ・フレイヴァーを加えたムーディーなジャジーAORに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=jBPs0VNYQOQ
「What You Call Love」
抑えたサウンドでRobbieが艶やかなヴォーカルの魅力を前面に打ち出しています。
「Corcovado-How Insensitive」
「Quiet Nights of Quiet Stars (Corcovado)」、「How Insensitive」というAntonio Carlos Jobimの名曲2曲のメドレー。Ginaiのポルトガル語ヴォーカルがこなれていないせいか、フェイク・ボッサな感じが思いきり出ていますが、それがこのユニットらしいかも?
「Quiet Nights of Quiet Stars (Corcovado)」に関して、当ブログではこれまでJoanie Sommers、Cannonball Adderley、Wanda Sa(Wanda De Sah)、Mario Castro-Neves & Samba S.A.、Diane Denoir/Eduardo Mateo、Earl Okin、Dardanelles、Cassandra Wilson、O Quarteto、Jon Hendricksのヴァージョンを紹介済みです。
「How Insensitive」に関しても、、当ブログではTriste Janero、Duke Pearson、Oscar Peterson、Earl Okin、Stacey Kent、Stan Getz & Luiz Bonfaのカヴァーを紹介済みです。
ご興味がある方はこれらの記事もご参照ください。
「Kiss Of Life」
Sadeの名曲をカヴァー。オリジナルは『Love Deluxe』に収録されています。さらっとした感じのカヴァーですが、Robbieのヴォーカルの魅力を実感できます。個人的には今年の入り、当ブログでも紹介した『Jazz The New Chapter』の流れで注目度が高まった男性R&BシンガーChris Turnerの「Kiss Of Life」を聴く機会が非常に多いので、本カヴァーにも思わずグッときてしまいます。当ブログではGiovancaのカヴァーも紹介済みです。
https://www.youtube.com/watch?v=56cL8gKZiPw
「A Little More Time」
ダンサブルな仕上り。ただし、アルバムの中では少し浮いているかも?聴き手はあまりのこのタイプの曲を求めていないのでは?
「Cry Is All I Do」
Robbieの表現力の豊かさが光る1曲。その意味では本作ならではの仕上がりかもしれません。
Genaiの他作品もチェックを!
『Heaven On Earth』(1999年)
『Rejoice』(2001年)
『Let Love』(2002年)
『Dance With Me』(2004年)