発表年:1975年
ez的ジャンル:スピリチュアル・ジャズ
気分は... :アンビエント・・・
今回はスピリチュアル・ジャズ作品からMarion Brown『Vista』(1975年)です。
Marion Brown(1931-2010年)はジョージア州アトランタ出身のサックス奏者。
John Coltrane、Archie Sheppらと交流を深め、1965年にはColtrane『Ascension』(1965年)のレコーディングに参加し、1966年にはSheppに敬意を示したリーダー作『Three for Shepp』をImpulse!から発表しています。
60年代後半には拠点をヨーロッパに移していましたが、1973年には古巣Impulse!に戻り、『Geechee Recollections』(1973年)、『Sweet Earth Flying』(1974年)、そして本作『Vista』(1975年)といったアルバムをリリースしています。
その後も80年代半ばまでコンスタントにアルバムをリリースしています。2010年逝去。
当ブログで紹介した作品でいえば、Archie Shepp『Attica Blues』(1972年)、Stanley Cowell『Regeneration』(1975年)といった名盤にBrownは参加しています。
そんなMarion Brown作品の中で、スピリチュアル・ジャズ作品として再評価が高い1枚が本作『Vista』(1975年)です。
レコーディングにはMarion Brown(as、wind chimes)以下、Stanley Cowell(p、el-p)、
Anthony Davis(p、el-p)、Bill Braynon(p、el-p、celesta)、Harold Budd(celesta、gong)、Reggie Workman(b)、Ed Blackwell(ds)、Jimmy Hopps(ds)、Jose Goico(tb、congas)、Allen Murphy(vo、bells)といったミュージシャンが参加しています。
特にStanley Cowell、Anthony Davis、Bill Braynon、Harold Buddという4人の鍵盤奏者が本作を大きく印象づけています。
仕事パツパツでお疲れモードの今の僕にぴったりな癒し系スピリチュアル・ジャズ作品です。アンビエントの先駆者Harold Buddの参加に関連づければ、アンビエントなスピリチュアル・ジャズという感じですかね。
個人的にはオリジナルLPのA面にあたる前半3曲のスピリチュアルかつメロウな美しさに惹かれます。後半3曲もそれぞれ魅力的な演奏です。
幻想的なジャケにも惹かれますね!
このジャケだけでも名盤だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Maimoun」
Stanley Cowell作。Cowellのオリジナルは『Illusion Suite』(1972年)に収録されています。当ブログで紹介した『Musa・Ancestral Streams』(1973年)にも収録されています。作者Cowellの美しいピアノと共にスタートし、その後Reggie Workmanのベースに先導され、Marion Brownがジェントルな音色のサックスを聴かせてくれます。コンガやエレピも加わるパーカッシヴ&メロウな展開は僕好みです。
「Visions」
Stevie Wonder作品をカヴァー。オリジナルは『Fulfillingness' First Finale』(1974年)に収録されています。Allen Murphyのヴォーカルをフィーチャーした美しいスピリチュアル・バラードに仕上がっています。Anthony Davisのピアノ、Stanley Cowellのエレピもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=Obbtqz8rm-E
「Vista」
Marion Brown作。ピアノとエレピによる静寂のイントロに続き、コンガが先導するゆったりとしたリズムをバックに、Brownが美しいフレーズをサックスで歌い上げます。Anthony Davisのピアノ、Stanley Cowellのエレピも心を癒してくれます。至極のスピリチュアル・ジャズですね。
https://www.youtube.com/watch?v=huurRUUBl7M
「Moment Of Truth」
Bill Braynon作。それまでの演奏とは少し異なり、ラテン・スパイスの効いたモーダルな雰囲気の演奏ですが、エレガントな格好良さがあってグッド!
「Bismillahi 'Rrahmani 'Rrahim」
アヴァンギャルド/アンビエントなコンポーザー/ピアニストであるHarold Buddの作品をカヴァー。Budd自身も演奏に参加しています。アンビエントなスピリチュアル・ジャズといったとことでしょうか。BrownのサックスとStanley Cowellのピアノが醸し出す深遠な雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=yjNqksj0mkk
「Djinji」
Bill Braynon作。ラストはモーダル&スピリチュアルな雰囲気です。ヒップな感じもあって面白い演奏です。アフロビートを思わせる覚醒的な鍵盤の音色が印象的です。
Marion Brownの他作品もチェックを!
『Marion Brown Quartet』(1966年)
『Juba-Lee』(1966年)
『Three for Shepp』(1967年)
『Why Not』(1967年)
『Porto Novo』(1969年)
『Afternoon of a Georgia Faun』(1970年)
『Geechee Recollections/Sweet Earth Flying』(1973年/1974年) ※2in1CD
Marion Brown/Leo Smith『Creative Improvisation Ensemble』(1975年)
Zenzile Featuring Marion Brown『Zenzile Featuring Marion Brown』(1977年)
Marion Brown & Gunter Hampel『Reeds 'N Vibes』(1978年)
『November Cotton Flower』(1980年)
『Gemini』(1983年)
Marion Brown & Gunter Hampel - Gemini
『Offering』(1993年)