発表年:1970年
ez的ジャンル:男女デュオ系ブラジリアン・グルーヴ
気分は... :ミラクル起きた!
今回は70年代ブラジル作品からAnamaria & Mauricio『No No No... Estamos Na Nossa』(1970年)です。
Anamaria & MauricioはAntonio Adolfoの秘蔵っ子として、『No No No... Estamos Na Nossa』(1970年)と『Anamaria E Mauricio Vol.2』(1972年)という2枚のアルバムをリリースした男女デュオ。
特に本作は『No No No... Estamos Na Nossa』(1970年)は90年代に再評価を高めた1枚であり、クラブジャズ世代の人が聴いても魅了される格好良すぎるブラジリアン・グルーヴです。
このアルバムがクラブジャズ世代に支持され、今聴いても鮮度が落ちていないのは、バックを務めたJongo Trioの貢献がかなり大きいと思います。彼らの奏でるグルーヴィーなサウンドと主役Anamaria & Mauricioのスキャット・ヴォーカルがケミストリーを起こし、ミラクルなブラジリアン・グルーヴを生み出しています。効果的なホーン・アレンジも随所で目立ちます。
アレンジを務めたのはJongo Trio、Arthur Verocai、Chico Moraes。
こうしたアルバムの魅力が凝縮されているのが、「Freio Aerodinamico」、「Le Le Le」、「Marina, Eu Vou」という冒頭の3曲。
それ以外にArthur Verocaiの手腕が光る「Quem Vem De La」、エレガントなジャズ・サンバ「Amem, America」、小粋なワルツ調の「Ele E Ela」あたりも僕のお気に入り。
現状では入手しづらいCDですが、こういう作品こそ廉価版で再発CD化することで世に広めたい1枚ですよね。
全曲紹介しときやす。
「Freio Aerodinamico」
Marcos Valle作品のカヴァーとなる本曲はアルバムのハイライトの1つ。Marcosのオリジナルは『Marcos Valle(1970)』に収録されています。当ブログではRosalia De SouzaをフィーチャーしたQuintetto XやOs 3 Moraisのカヴァーも紹介済みです。高速スキャットのブラリアン・グルーヴにクラブジャズ好きの人はグッとくるはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=e98tUGR_hM4
「Le Le Le」
Ivan Lins/Ronaldo Monteiro De Souza作。切れ味のあるJongo Trioの演奏とレレレ・スキャットが軽快に弾けるヤングソウル調の本曲も「Freio Aerodinamico」と並ぶ本作のハイライトといえるでしょう。冒頭のブレイクもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=BCViVIU5wnY
「Marina, Eu Vou」
Ivan Lins/Ronaldo Monteiro De Souza作。ピースフルなグルーヴ感が心地好いブラジリアン・フリーソウル。ソフトロック好きの人も気に入るはず!効果的なホーン・アレンジもグッド!
「Escrito Na Parede Da Varanda」
Jose Jorge/Ruy Maurity作。ミステリアスなイントロに続き、Anamariaが艶やかなヴォーカルを聴かせてくるエレガントなメロウ・チューン。
「No, No, No, Estamos Na Nossa」
Fernando Lona/Vidal Franca作。タイトル曲は小粋なJongo Trioの演奏をバックに、Anamaria & Mauricioが男女デュオらしい雰囲気のあるユニゾン・ヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=GyQLpJMnczo
「Madalena」
Ivan Lins/Ronaldo Monteiro De Souza作。当ブログでは有名なElis ReginaヴァージョンやTania Maria、Aquarius Y Luiz Antonio、Sylvia Vrethammarのカヴァーを紹介済みです。当ヴァージョンは躍動感のあるMauricioのヴォーカルとホーン・アンサンブルが印象的です。
「Quem Vem De La」
Arthur Verocai/Paulinho Tapajos作。Arthur Verocaiの職人技を堪能できるグルーヴィーな仕上り。どこまでも高く跳べそうな解放された雰囲気です。
「Pelo Teletipo」
José Jorge/Ruy Maurity作。ほのぼのとしたフォーキー感でアルバムにアクセントを加えてくれます。
「Amem, America」
Jose Jorge/Ruy Maurity作。格好良いブレイクから始まるエレガントなジャズ・サンバ調の仕上がり。Jongo Trioとホーン・セクションによる素晴らしいバッキングにグッときまます・
https://www.youtube.com/watch?v=lvgEjWlDekM
「Ele E Ela」
Marcos Valle作品カヴァーの2曲目。オリジナルは『Marcos Valle(1970)』に収録されています。小粋なワルツ調のこの曲は男女スキャッチ・コーラスにフィットする1曲ですね。
「Minie」
Jose Jorge/Ruy Maurity作。サイケなロッキン・テイストも取り入れていますが、本編はMauricioがしっとりとしたヴォーカルで聴かせます。
「Fotograma "Click"」
Antonio Adolfo/Tiberio Gaspar作。ラストは気の利いたブラジリアン・ソフトロックで締め括ってくれます。
『Anamaria E Mauricio Vol.2』(1972年)もCD化して欲しいですね。
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(追記)CD化されてました!