発表年:1964年
ez的ジャンル:アフロ/ラテン/ブラジリアン・テイスト・フレンチ・ポップ
気分は... :ビートのプレイボーイ!
フランスの異端児アーティストSerge Gainsbourgが60年代前半に残した異色作『Gainsbourg Percussions』(1964年)です。
フランスのエロ不良オヤジSerge Gainsbourg(1928-1991年)に関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の5枚。
Serge Gainsbourg Et Brigitte Bardot『Bonnie And Clyde』(1968年)
Original Soundtrack『Anna』(1969年) ※Gainsbourgが音楽担当
Jane Birkin et Serge Gainsbourg『Jane Birkin et Serge Gainsbourg』(1969年)
『Histoire De Melody Nelson』(1971年)
『Love On The Beat』(1984年)
本作『Gainsbourg Percussions』(1964年)は、タイトルの通り、パーカッションを大胆に取り入れたアフリカ/ラテン/ブラジル色が強い1枚です。前作『Gainsbourg Confidentiel』(1963年)がギターとベースという小編成のフレンチ・ジャズ作品であったことを考えると、大胆なアプローチを試みた1枚といえます。
DJユースが高いこと再評価を得た1枚としても知れれる作品ですね。
Gainsbourgが、こうしたアプローチを試みるきっかけとなったのは、ナイジェリアのパーカッション奏者Babatunde Olatunjiの作品『Drums Of Passion』(1959年)にインスパイアされたためです。ただし、後日『Drums Of Passion』のいくつかの収録曲(有名なのはSantanaの「Jingo」)の酷似が指摘されることにもなりますが・・・
今聴いてみると、このトライバルな疾走感はクラブジャズ/クラブミュージックの到来を予見していたかのようでGainsbourgの感覚の鋭さに驚かされます。
また、サウンドや女性コーラス隊がアフリカ/ラテン/ブラジル色でも、Gainsbourgの低音囁きヴォーカルが入ると、ちゃんとフレンチ・テイストになってくるのも面白いですね。
異色の1枚ですが、Gainsbourgの代表作として外せない1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Joanna」
本作を大きく印象づけるパーカッシヴなオープニング。リズミカルなコンガをバックに、Gainsbourgと女性コーラス隊が掛け合います。
https://www.youtube.com/watch?v=jUMFv2GbCcQ
「La-Bas C'est Naturel」
アフロなトライバル色が強く出た1曲。覚醒的なトライバル・リズムと女性コーラス隊はアフロ・モードと、Gainsbourgのフレンチ・ヴォーカルのコントラストが面白いです。
https://www.youtube.com/watch?v=9io2evf79rg
「Pauvre Lola」
France Gallの笑い声がフィーチャーされています。本作らしいパーカッシヴなテイストとフレンチ・ポップなエッセンスを見事に融合させています。
https://www.youtube.com/watch?v=nXJkCavHcJ4
「Quand Mon 6.35 Me Fait Les Yeux Doux」
この曲はしっかりジャズしています。クラブジャズ的な疾走感が実に格好良いですね。トライバル・ビートのみならず、こうしたダンシング・ジャズまで取り込んでいるのがこのアルバムの凄いところ!
https://www.youtube.com/watch?v=S7T-Q1Q31jU
「Machins Choses」
哀愁モードのバラード。ジャジー・テイストでしっとりと聴かせます。
https://www.youtube.com/watch?v=bAxxT4KUY1g
「Les Sambassadeurs」
タイトルの通り、サンバ・モードのブラジリアン・フレンチ・ポップ。開放的なリズムの中に、何処となく哀愁を感じるのがフレンチ・ポップらしくていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=VWmjphECzG0
「New York - U.S.A.」
アフロ/アフロ・キューバン色が強いトライバル・ビートが印象的な1曲。もっと長尺で聴いていたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=kMR4tEFLK1w
「Couleur Cafe」
当時シングル・カットもされた曲。アフロ・キューバン・ミーツ・フレンチ・ポップといった趣が実にいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=NDOk6nu9udo
「Marabout」
これは60年代のこの時点でハウス/クラブミュージックの登場を予言していたかのようなトライバル感がたまりません。後にSantanaヴァージョンでお馴染み、Babatunde Olatunji「Jingo」に酷似していることでも話題になりました。確かに「Jingo」ですな(笑)。聴きながら思わず♪Jin-Go〜♪Low-Bah♪ と口ずさんでしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=4mdPOgxs8Xs
「Ces Petits Riens」
フォーキーな雰囲気とアフロ・キューバンなテイストを上手く組み合わせた哀愁チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=7_fvwdRSz24
「Tatoue Jeremie」
開放的なアフロ・キューバン調の仕上がり。音やコーラスはアフロ・キューバンでもGainsbourgのヴォーカルが入るとパリの香りがしてくるのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=N7jbXLo1GCY
「Coco And Co」
ラストはフレンチ・ジャズのテイストで小粋に締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=1CTL9egntTg
Serge Gainsbourgの過去記事もご参照下さい。
Original Soundtrack『Anna』(1967年)
Serge Gainsbourg Et Brigitte Bardot『Bonnie And Clyde』(1968年)
Jane Birkin et Serge Gainsbourg『Jane Birkin et Serge Gainsbourg』(1969年)
Serge Gainsbourg『Histoire De Melody Nelson』(1971年)
Serge Gainsbourg『Love On The Beat』(1984年)