発表年:2007年
ez的ジャンル:クラブ経由ジャーマン・ジャズ・ユニット
気分は... :ヨーロッパ特急
今回はChristian Prommer's Drumlesson『Drum Lesson Vol. 1』(2007年)です。
Christian Prommer's Drumlessonはドイツ、ミュンヘン出身のプロデューサー/アーティストChristian Prommerのジャズ・ユニット。その第一弾作品となったのが本作『Drum Lesson Vol. 1』(2007年)です。
Christian Prommerについては、当ブログでChristian Prommer名義の『UberMood』(2014年)を紹介済みです。
エレクトリック・ジャズ/ディープハウス寄りのアプローチであった『UberMood』(2014年)に対し、本作『Drum Lesson Vol. 1』は対照的生音重視のクラブジャズ的アプローチです。
レコーディングには、Roberto Di Gioia(p)、Dieter Ilg(b)、Wolfgang Haffner(ds)、Ernst Stroer(per)が参加し、Christian Prommerがプロデュースを務めています。ドラマーとしての側面も持つChristian Prommerですが、本作ではプレイヤーというより、トータルなサウンド・クリエイターという立場で作品を手掛けています。また、ピアノのRoberto Di Gioiaがミュージカル・ディレクターとしてクレジットされており、彼の作品への貢献も大きいと思われます。
本作の特徴は往年のハウス名曲をジャズ演奏でカヴァーしている点です。
Mr. Fingers(Fingers, Inc.)「Can You Feel It」、Nuyorican Soul「Nervous Track」、Derrick May「Strings Of Life」をはじめ、数々のハウス作品をジャズ演奏で聴かせてくれます。
まぁ、ハウス・カヴァーということを意識せずとも、単純に格好良いクラブジャズ的作品として楽しめるはずです。
全曲紹介しときやす。
「Drum Lesson I」
アルバムのイントロ的なセッション。
「Can You Feel It」
Mr. Fingers(Fingers, Inc.)「Can You Feel It」によるハウス・クラシックをカヴァー。ハウス・カヴァーでありながら、しっかりジャズしているところが本作の魅力ですね。この曲の美しくも儚い雰囲気をしっかりジャズで表現しています。
https://www.youtube.com/watch?v=qXvvjzX0rXU
「Rej」
Frank WiedemannとKristian Beyerによるベルリンを拠点とするDJ/プロデューサー・デュオAmeの2005年のシングルをカヴァー。軽くラテン・フレイヴァーを効かせたジャズらしい音とハウス・カヴァーらしいダンサブル感をうまく融合させているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=GnEmkwSu1A4 ※ライブ音源
「Plastic Dreams」
オランダ人DJ/プロデューサーJaydee(Edgar Robin Albers)、1993年のハウス・ヒットをカヴァー。Roberto Di Gioiaの小粋なピアノに魅了されます。ハウス・カヴァー云々を意識せずとも、フツーに格好良いジャズ演奏だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=n0E4gtBEHzg ※ライブ音源
「Drum Lesson II」
小休止的なセッションのパート2。
「Trans Europa Express」
Kraftwerkのテクノ名曲をカヴァー。オリジナルは『Trans Europa Express』(1977年)に収録されています。本作の僕の一番のお気に入り。Kraftwerk名曲が格好良いクラブジャズに様変わりするなんてサプライズ!
https://www.youtube.com/watch?v=_9oWI3n2KG8 ※ライブ音源
「Elle」
フランス人ハウスDJ、DJ Gregory(Gregory Darsa)、2003年のシングルをカヴァー。ピアノ・トリオの美しい演奏にトライバルなパーカッションが絡む静かなる躍動感がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=IlL6PzE8Of4
「Claire」
ウィーンを拠点とするレーベルCheap Recordsの設立者であるErdem Tunakan/Patrick Pulsingerを中心としたユニットiO 、1995年のシングル曲をカヴァー。少し哀愁モードのヒンヤリした演奏にはヨローピアンな香りが漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=08t_1H1hVNs
「Drum Lesson III」
小休止的なセッションのパート3。
「Higher State Of Consciousness」
Josh Wink、1995年のダンス・ヒットをカヴァー。少しダークなトライバル感が僕好みの演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=kZfJ-V02MwM
「Strings Of Life」
Derrick MayがRhythim Is Rhythim名義でリリースしたハウス・クラシックをカヴァー。ジャズ・サンバ調のエレガントな疾走感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=6st1Y-kZdEI
「Beau Mot Plage」
ドイツ人ハウス・アーティストIsolee(Rajko Mueller)、1998年のシングルをカヴァー。ラテン・フレイヴァーを効かせたクラブジャズ仕様の疾走感がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=4E-aqmFrs14
「Nervous Track」
Nuyorican Soul(Kenny Dope Gonzales/Louis Vega)のハウス・クラシックをカヴァー。オリジナルの雰囲気を上手く捉えた演奏であると同時に、後半はかなりテンションの高い演奏となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=6aNvAI-N940
「Drum Lesson IV」
Drum Lessonのパート4で格好良く締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=z94rpbyj4BQ
盤によっては、Daft Punk「Around The World」(『Homework』収録)のカヴァーが収録されているものもあります。
ご興味がある方はChristian Prommerの他作品もチェックを!
Christian Prommer's Drumlesson『Christian Prommer's Drumlesson Plays Thediningrooms: The Jazz Thing』(2009年)
Christian Prommer『Drumlesson Zwei』(2010年)
Christian Prommer & Roberto Di Gioia Vs. The Crusaders『Revisit...』(2011年)
Prommer & Barck『Alex And The Grizzly』(2011年)
Christian Prommer『UberMood』(2014年)