2015年10月14日

Joyce『Music Inside』

N.Y.制作!セルフ・カヴァーを含む英語曲中心の構成☆Joyce『Music Inside』
ミュージック・インサイド
発表年:1990年
ez的ジャンル:ブラジル人女性SSW
気分は... :前髪パッツン・・・

人気ブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyce(Joyce Moreno)が1990年にリリースした『Music Inside』です。

これまで当ブログで紹介したJoyce作品は以下の7枚。

 『Feminina』(1980年)
 『Agua e Luz』(1981年)
 『Tardes Cariocas』(1983年)
 『Hard Bossa』(1999年)
 Joyce & Banda Maluca『Just A Little Bit Crazy』(2003年)
 『Bossa Duets』(2003年)
 『Tudo』(2012年)

Verve Forecastからリリースされた本作『Music Inside』はアメリカ進出第一弾アルバムであり、N.Y.で制作されたアルバムです。そのため、過去の楽曲の英語セルフ・カヴァーやBeatles、Tracy Chapmanのカヴァーなど英語曲が目立つ構成になっています。

世界進出を視野に入れて・・・というより、ブラジルでアルバムを制作しづらい環境になったという事情がN.Y.録音へ向かわせたようですね。

レコーディング・メンバーは、Joyce(vo、g)、Marvin "Smitty" Smith(ds)、Lincoln Goines(el-b)、Kenny Werner(key)、Ray Drummond(b)、William Galison(harmonica)、Ralph Moore(sax)、Cafe(per)、Lizzie Bravo(back vo)、Toninho Horta(g)といったUSジャズ・ミュージシャンに一部ブラジル人ミュージシャンが加わる編成になっています。プロデュースはJoyceBrian Bacchus

こうしたメンバー編成から想像できるように、アルバム全体は都会的なジャジー&メロウな印象が強くなっています。

N.Y.録音、英語曲になっても変わらない"いつものJoyce"と、ブルースを歌ったり、Tracy Chapmanを歌うなど"いつも違うJoyce"の両方を楽しめるのが本作の魅力です。

"いつも違うJoyce"ということでいえば、前髪パッツン・ヘアーで微笑むジャケも、ある意味インパクトありますね(笑)

全曲紹介しときやす。

「Essential」
本作らしいジャジー・メロウ・サウンドとJoyceの透明感のあるヴォーカルが結びついたN.Y.録音らしいオープニング。

「Bird Of Brazil」
この曲はJoyceのヴォーカル&ギターのみ。歌詞もポルトガル語なので、Joyceのプリミティブな魅力を楽しめます。

「Music Inside」
タイトル曲は『Tardes Cariocas』(1983年)収録のMario Adnetとの共作曲「Ela」の英語によるセルフ・カヴァーです。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、Ralph Mooreのテナー・サックスをはじめ、USジャズ・ミュージシャンのバッキングでより都会的な仕上りになっています。

「Stonewashed (Blue Dreams)」
Joyce/Monique Hecker作。本作ならではのブルース調の仕上がり。ブルースを歌うJoyceも興味深いです。William Galisonのハーモニカがいいアクセントになっています。

「Help!」
Beatlesのお馴染みの名曲を弾き語りでカヴァー。シンプルながらも味のあるカヴァーになっています。

「Bird Of Japan」
日本人には気になるタイトルですが、日本人パーカッション奏者、八尋知洋(Tomohiro Yahiro)さんのことを歌った曲のようです。そんな曲なので、Cafeのパーカッションが目立っています。みんなが好きなパーカッシヴに疾走するJoyceを楽しめる1曲です。

「See You In Rio」
『Tardes Cariocas』(1983年)のタイトル曲の英語によるセルフ・カヴァーです。このセルフ・カヴァーのオリジナルの雰囲気を大切に受け継いでいる感じのジャジーAOR調の仕上がりです。

「Mysteries」
『Feminina』(1980年)収録の名曲「Misterios」(Joyce/Mauricio Maestro作)の英語によるセルフ・カヴァーです。シンプルながらもN.Y.録音らしいテイストを乗せることでグッと都会的な落ち着きが出ています。

「Talkin' 'Bout A Revolution」
US黒人女性SSW、Tracy Chapmanのカヴァー。オリジナルは彼女のデビュー・アルバム『Tracy Chapman』に収録されています。Joyceがこの曲をセレクトした背景には、祖国ブラジルの社会情勢を気にかける彼女の強い思いが込められているような気がします。いつものJoyceとは違うJoyceの新たな魅力を発見できます。

「Belafonte」
タイトルの通り、有名US男性シンガーHarry Belafonteのことを歌ったもの。BelafonteはJoyceの憧れのミュージシャンだったようですね。中身はJoyceらしい透明感のあるスキャットが駆け巡る爽快アコースティック・グルーヴに仕上がっています。いつものJoyceを満喫できます。

「Waiting For You」
Toninho Horta参加曲。楽曲もToninho Hortaとの共作です。Hortaの素敵なギターの音色をバックに、Joyceがしっとりと歌い上げるメロウ・バラードで締め括ってくれます。

Joyceの過去記事もご参照下さい。

『Feminina』(1980年)
フェミニーナ、そして水と光

『Agua e Luz』(1981年)
水と光

『Tardes Cariocas』(1983年)
Tardes Cariocas

『Hard Bossa』(1999年)
Hard Bossa

Joyce & Banda Maluca『Just A Little Bit Crazy』(2003年)
ジャスト・ア・リトル・ビット・クレイジー(2003年作)

『Bossa Duets』(2003年)
ボッサ・デュエッツ

『Tudo』(2012年)
トゥード
posted by ez at 01:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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