発表年:2001年
ez的ジャンル:The Soulquarians系ネオソウル
気分は... :やっぱりSoulquarians・・・
今回は男性R&B/ネオソウル・シンガーBilalの1stアルバム『1st Born Second』(2001年)です。
1979年フィラデルフィア生まれの男性R&BシンガーBilalの紹介は、『Airtight's Revenge』(2010年)に続き2回目です。
今年に入り、新作『In Another Life』(2015年)をリリースしましたが、イマイチ話題になりませんでしたね。Kendrick Lamarも参加しているのですが・・・
前回は『Jazz The New Chapter(JTNC)』強化月間の中で、JTNC的な1枚として『Airtight's Revenge』(2010年)を取り上げましたが、僕の中で最も愛着のあるBilal作品はやはり1stアルバム『1st Born Second』(2000年)ですね。
ご存知の通り、Bilalは、?uestlove(The Roots)、Erykah Badu、Q-Tip、D'Angelo、Mos Def、Common、Jay Dee(J Dilla)等と共にThe Soulquariansメンバーとして名を連ねていました。
Common『Like Water For Chocolate』収録の「The 6th Sense」やGuru『Jazzmatazz (Streetsoul)』収録の「Certified」でフィーチャリングされ注目を集めたBilalが、その全貌を示したアルバムが本作『1st Born Second』(2000年)です。
2001年といえば、前年にD'Angelo『Voodoo』、Common『Like Water For Chocolate』、Erykah Badu『Mama's Gun』というSoulquariansを代表する作品が続々とリリースされたSoulquarians絶頂期であり、本作も上記3枚ほどの話題にはなりませんでしたが、Soulquariansの充実ぶりを反映した1枚に仕上がっています。
アルバムには、?uestlove(The Roots)、Mos Def、Common、Jay Dee(J Dilla)、Pino Palladino、James PoyserといったSoulquariansメンバーが参加しています。
それ以外にDr. Dre、Raphael Saadiq、James Mtume、Mike City、Dre & Vidal(Andre Harris/Vidal Davis)等がプロデュースを手掛け、今を最も旬なジャズ・ピアニストRobert Glasper(Bilalとはニュースクール大学時代からの盟友)やRobert Glasper ExperimentのメンバーCasey Benjaminもレコーディングに参加しています。
参加メンバーの豪華さが目立つアルバムですが、それに負けない存在感を放つBilalという個性的な才能があるからこそ、アルバムが魅力的なものになっています。
「Soul Sista」、「Fast Lane」、「Love It」といった曲がシングルになっていますが、それ以上に「Reminisce」、「Sometimes」といったSoulquarians色の強い楽曲が僕のお気に入りです。シングル曲ならばstrong>「Love It」ですかね。
「All That I Am (Somethin For The People)」、「You Are」、「Slyde」あたりもキャッチーでオススメです。
JTNC好きの人には、Robert Glasper参加の「When Will You Call」、「Love Poems」、「Second Child」が楽しめるはずです。
Bilalという個性およびSoulquariansの充実ぶりを楽しめる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Intro」
アルバムのイントロ。
「For You」
Megahertzプロデュース。少しダークなサウンドと乾いたリズムをBilalの少しクセのあるヴォーカルが切り裂いていくようなミディアム。
https://www.youtube.com/watch?v=SboO7Zzdf7g
「Fast Lane」
Dr. Dreプロデュース。シングルにもなりました。淡々したサウンドをバックに、Bilalが独特のハイトーン・ヴォーカルで切々と歌い上げます。Scott Storchによる揺らぎのあるキーボードの音色も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=i_j8ZMtQRLo
「Reminisce」
オススメその1。Common、Mos Defをフィーチャー。Jay Dee(J Dilla)プロデュース。Jay Deeらしい乾いた質感のビートに引き立てられ、Bilalのヴォーカルも実に魅力的です。そして、最初と最後にMos DefとCommonのラップが盛り上げてくれる!Soulquarians好きにはたまらない1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=8YZjMLRmuV8
Pete Rock & C.L. Smooth「They Reminisce Over You (T.R.O.Y.) 」をサンプリング。また、LA音楽シーンの重要ミュージシャンMiguel Atwood-FergusonがBilal本人をフィーチャーしたカヴァーをリリースしています。Knxwledge「Riminise」のサンプリング・ソースにもなっています。
Miguel Atwood-Ferguson feat. Bilal「Reminisce」
https://www.youtube.com/watch?v=uoQ8QGl0Fiw
「All That I Am (Somethin For The People)」
オススメその2。Dahoud Darienプロデュース。メロディアスかつキャッチーなグルーヴが魅力の1曲。聴きやすいネオソウルがお好きな人にオススメ!
https://www.youtube.com/watch?v=ke67lHxPf8A
「Sally」
Dr. Dre/Mel-Manプロデュース。Dr. Dre色がよく出た仕上がり。Soulquarians中心の聴き方をすると、少し浮いている気もしますが、コレはコレで楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=knfRUu_EZ0M
「Sometimes」
オススメその3。The Soulquariansプロデュース。ドラムに?uestlove、ベースにPino Palladino、フェンダーローズにJames Poyserが参加した生音サウンドをバックに、Bilalのヴォーカルを存分に堪能できます。「Reminisce」と並びSoulquarians好きにはグッとくるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=TTKWkJt1QIw
Kendrick Lamar「The Heart Pt. 1」、Pro Era「School High」のサンプリング・ソースになっています。
「Love It」
オススメその4。Mike Cityプロデュース。シングルにもなりました。Mike Cityのパンチの効いたトラックとBilalのヴォーカルとの相性はバッチリです。
https://www.youtube.com/watch?v=AJncE7vurq0
「C'mere (Skit)」
Andres Levin プロデュースのスキット。
「Soul Sista」
記念すべきBilalの1stシングル。映画『Love & Basketball』(2000年)のサントラにも収録されています。
Raphael Saadiqがプロデュースし、James Mtume も共同プロデューサーとして名を連ねています。淡々した曲調ですが、それをヴォーカルの力で最後まで持っていってしまうところがBilalの魅力だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Zgp6-DzZgK0
「When Will You Call」
オススメその5。Aaron Comess/Bilalプロデュース。ニュースクール大学時代の盟友Robert Glasperがキーボードを弾いています。今ならば話題となる共演ですが、当時はGlasperの参加など殆どの人が目に留めずにいたでしょうね。オーセンティックながらも生音らしい臨場感が伝わってくるミディアム・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=R1gi4z5e7Qk
「Queen Of Sanity」
Aaron Comess/Bilalプロデュース。この曲もRobert Glasperが参加しています。丁寧に歌い上げるBilalのヴォーカルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=ol8SL1OFiJY
「Love Poems」
オススメその6。Aaron Comess/Bilalプロデュース。Bilal自らが奏でるヴァイヴの音色が印象的なジャジー・メロウなミディアム。途中でスキャットも披露し、Bilalのジャズ魂にも触れることができます。今でいえば、Chris Turnerあたりと一緒に聴きたい感じですね。
https://www.youtube.com/watch?v=0BrI6zVoUNI
「You Are」
オススメその7。Dre & Vidal(Andre Harris/Vidal Davis)プロデュース。キャッチーなネオソウル・チューン。Dre & Vidalの確かな仕事ぶりが光ります。
https://www.youtube.com/watch?v=Q7CVpXD-lL8
「Home」
Bilalプロデュース。ホーン隊を加えたレゲエ調の仕上がり。ホーン隊の一員の中にRobert Glasper ExperimentのメンバーCasey Benjaminの名前を確認できます。
https://www.youtube.com/watch?v=nFV9nsBnVz8
「Slyde」
オススメその8。Dahoud Darienプロデュース。Bilalのヴォーカルのエキセントリックな魅力をうまく引き出しているネオソウル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=ZMV_YtPq6A8
「Second Child」
Bilalプロデュース。ラストはRobert Glasper参加の生音セッションで締め括ってくれます。ある意味Jazz The New Chapter的かも?
https://www.youtube.com/watch?v=_CqBw-7phP8
Bilalの他作品もチェックを!
『Airtight's Revenge』(2010年)
『A Love Surreal』(2013年)
『In Another Life』(2015年)