発表年:1976年
ez的ジャンル:エレクトリック・マイルス・フォロワー系ジャズ・ファンク
気分は... :二刀流!
今回はジャズ・トランぺッターEddie Hendersonが1976年にリリースした『Heritage』です。
Eddie Hendersonは1940年N.Y.生まれ。ジャズと医学という二つの道を同時に歩み、医学博士号を持つ異色のジャズ・ミュージシャンとして、サンフランシスコを拠点に注目されるようになります。1970年前半はHerbie Hancockのグループで活躍し、70年代半ば以降はエレクトリック・マイルスばりのジャズ・ファンク作品をリリースしています。
80年代はリーダー作がリリースされませんでしたが、90年代に入り再び活動を活発化させ、コンスタントに作品をリリースしています。
当ブログで紹介した作品であれば、Gary Bartz『Music Is My Sanctuary』(1977年)、Pharoah Sanders『Journey To The One』(1980年)、Courtney Pine『Modern Day Jazz Stories』(1995年)、Barrio Jazz Gang『2』(2010年)といった作品にHendersonが参加しています。
本作は『Sunburst』(1975年)に続くBlue Note第2弾アルバムであり、エレクトリック・マイルスを受け継いだようなジャズ・ファンクを存分に楽しめる1枚です。
Norman Connors作品等で知られるSkip Drinkwaterがプロデュースを手掛け、レコーディングには以下、Eddie Henderson(tp、flh)、Julian Priester(tb)、Hadley Caliman(ss、bcla、fl)、Patrice Rushen(el-p、clavinet、syn)、Paul Jackson(el-b)、Mike Clark(ds)、Woody Theus(ds)、Billy Hart(ds)、James Mtume(conga、per)といったミュージシャンが参加しています。
人気サンプリング・リソースでもあるジャズ・ファンク「Inside You」、Kyoto Jazz MassiveがリワークしたPatrice Rushen作の「Kudu」あたりがハイライトですかね。メロウかつスピリチュアルな雰囲気の「Time and Space」もオススメです。
エレクトリック・マイルス好き、ジャズ・ファンク好き、James Mtume好き、Patrice Rushen好きの方はぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Inside You」
James Mtume作。Paul Jacksonのベースラインが牽引するジャズ・ファンク。重心の低いグルーヴに絡むHendersonのミュートがいい感じです。Patrice Rushenのシンセもいい空気感を演出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=psxzgnUiWT4
前述のように人気サンプリング・リソースであり、ouls of Mischief「Tell Me Who Profits」、Dayze「Straight Underground」、Jay Z feat. Memphis Bleek「Coming of Age」、Mac & Storm feat. Kine「So Fly」、J-Flexx「Ball While U Can」、Homeliss Derilex「Player Status」、Roce feat. Manu Key「Je Fais Ma Justice」といった曲で使われています。
Souls of Mischief「Tell Me Who Profits」
https://www.youtube.com/watch?v=Rk_M1hkLQ4U
Dayze「Straight Underground」
https://www.youtube.com/watch?v=n9U_kKKeHCE
Jay Z feat. Memphis Bleek「Coming of Age」
https://www.youtube.com/watch?v=K8SdZoGOtSE
Mac & Storm feat. Kine「So Fly」
https://www.youtube.com/watch?v=mWzHtk62-H0
J-Flexx「Ball While U Can」
https://www.youtube.com/watch?v=F3OSdGXsOvQ
Homeliss Derilex「Player Status」
https://www.youtube.com/watch?v=RyIOMCTkLSI
Roce feat. Manu Key「Je Fais Ma Justice」
https://www.youtube.com/watch?v=p1D8J8helMI
「Acuphuncture」
Julian Priester作。フュージョン・テイストのエレクトリック・マイルスといった趣です。ここでもHendersonのミュートが冴えます。Patrice Rushenの奏でる鍵盤の音色とMtumeによるパーカッシヴなリズムがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=fJzwXA0N6fk
「Time and Space」
Eddie Henderson作。メロウかつスピリチュアルな雰囲気の演奏が印象的です。壮大かつ幻想的なスケール感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=eBk4DUTDk5U
「Nostalgia」
Patrick O'Hearn作。この演奏もスピリチュアルな雰囲気を醸し出します。大地のジャズ・サウンドといった雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2NAPvmF6EaE
「Kudu」
Patrice Rushen作。「Inside You」と並ぶ本作のハイライトでしょうね。Paul JacksonのベースとMike Clarkのドラムが牽引する疾走感のあるアッパーなジャズ・ファンクです。エレクトリック・マイルス的なエッセンスをキャッチーに昇華させている感じがいいですね。Hendersonのトランペットも絶好調です。
https://www.youtube.com/watch?v=wN1jgVj_Yko
クラブジャズ好きの方はKyoto Jazz Massiveによるリワークもお馴染みですね。
Kyoto Jazz Massive「Kudu」
https://www.youtube.com/watch?v=EGv9KD420hs
「Dr. Mganga」
Brent Rampone作。混沌としたホーン・アンサンブルとトライバルなリズムが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=PmKwk4V4d4U
「Dark Shadows」
Eddie Henderson作。印象的なHadley Calimanのバス・クラリネットと共に始まるダークな空気感を持った演奏が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=Qb3yT74C1cE
One Be Lo「Oggie」のサンプリング・リソースにもなっています。
One Be Lo「Oggie」
https://www.youtube.com/watch?v=z-X7SHoohrE
Eddie Hendersonの他作品もチェックを!
『Anthology 2』(2002年)
※『Realization』(1973年)と『Inside Out』(1973年)の全曲収録
『Sunburst』(1975年)
『Comin' Through』(1977年)
『Mahal』(1978年)