発表年:1968年
ez的ジャンル:女性シンガー/コンポーザー/アレンジャー系ラテン・ポップ
気分は... :実にクール!
今回はUKの女性シンガー/コンポーザー/アレンジャーBarbara MooreによるユニットVoices In Latinの『Something Cool』(1968年)です。
いわゆるライブラリー・ミュージックをメインに活動してきた人なので、なかなか表舞台で出てくることは少ないですが、長きに渡りUK音楽業界に貢献してきた人です。
Barbara Mooreは1932年イギリス、ブラッドフォード生まれ。父Arthur Birkbyが著名なアレンジャーであった影響で、彼女も音楽の道を歩むようになります。
彼女自身は父と同じくアレンジャーを目指していましたが、当時の音楽業界では女性アレンジャーが活躍できる環境が整っておらず、セッション・シンガー/ピアニストとして、テレビ、ラジオ、レコーディングの仕事をこなし、キャリアを重ねていきます。BBCの人気音楽番組『Top of the Pops』等で有名ミュージシャンのバック・コーラスを務めた女性ヴォーカル・グループThe Ladybirdsにも参加していた時期があるようです。
1966年にはソロ・アルバム『A Little Moore Barbara』をリリースし、それに続いてリリースされたのがVoices In Latin名義でリリースされた本作です。
一応、Voices In Latinはヴォーカル・グループという体裁をとっていましたが、実質はBarbara Mooreのソロ・アルバムと言って差し支えないでしょう。バック・ヴォーカルにはLadybirdsの中心シンガーMaggie Stredderも参加しています。
本国UKでは『Voices In Latin』、USでは『Something Cool』のタイトルでリリースされました。上記ジャケはUS盤であり、UK盤はジャケも異なります。お馴染みなのはコチラのUS盤ジャケなのでは?
アルバムの内容としては、ユニット名からも想像できますが、Sergio Mendes & Brasil '66を意識したラテン・フレイヴァーのポップ・アルバムに仕上がっています。ヴォーカル&スキャットを配した小粋なポップ・サウンドは、Barbaraのアレンジャーとしての才を楽しむにはうってつけかもしれません。
有名曲カヴァー、オリジナル曲共に曲良し、ヴォーカル&スキャット良し、アレンジ良しと三拍子揃っているのがいいですね。Barbara本人の小粋なピアノが意外に効いているので、そのあたりでも楽しめます。
セルメン好きの人は間違いなく気に入るはず!
全曲紹介しときやす。
「Sunshine Superman」
Donovanの大ヒット曲をカヴァー。少しテンポを上げた躍動感のあるグルーヴィーな仕上がりがかなりいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=woV-KX5mhnc
「Hideaway」
Barbara Moore作。素敵なコーラスワークと透明感のあるサウンドにグッときます。実にロマンティックです。
https://www.youtube.com/watch?v=5abK61aJZ4s
「Bidin' My Time」
Georgie Fameのカヴァー。スウィンギン・ロンドンのヒップな感覚も取り入れた小粋なアレンジが絶品です。
「Busy」
Barbara Moore作。セルメン好きの人であれば、Barbara自身の小粋なピアノとコーラス・アレンジにセルメン好きの人はグッとくるはず!
「I've Walked Alone」
Barbara Moore作。ソフトリーな魅力にうっとりしてしまいます。「Hideaway」とセットで聴くとサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=VPaG8raZbDY
「Sunny」
Bobby Hebbの1966年のヒット曲のカヴァー。お馴染みの曲ですが、グッと抑えたアダルトな雰囲気のヴォーカル&アレンジがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=YAJjcTFC6dQ
当ブログでは以前にDusty Springfield、Birgit Lystager、Clementine、Ann Burton、Jose Feliciano、Papikのカヴァーも紹介済みです。ご興味がある方はそれらもチェックを!
「Tea For Three」
Barbara Moore作。Barbaraの小粋なピアノが牽引するボッサ・ポップ。キュートなスキャットも含めてかなり僕好みの1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=xnVLBRb9QM4
「How Do You Know」
Barbara Moore/Tony Kemp作。Barbaraのアレンジャーとしての才が存分に発揮されたラテン・ポップ。何処となくUKっぽさもあっていいですね。僕の一番のお気に入り。
「The Look Of Love」
Dusty Springfieldのヒットでお馴染みのBurt Bacharach/Hal David作品(映画007シリーズ『Casino Royal』の主題歌)のカヴァー。当ブログではDelfonics、Gimmicks、Christopher Scott、Charles Hullのカヴァーも紹介済みです。ここではテンポを落としたムーディーな仕上りで聴かせてくれます。
「Sara」
Barry Morgan作。ラストはグルーヴィーなブラジリアン・グルーヴで格好良くキメてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=g7bwv0qkN0s
本作以外のBarbara Moore作品であれば、『Vocal, Shades and Tones』(1972年)が代表作のようです。
Barbara Moore『Vocal, Shades and Tones』(1972年)