2015年10月25日

Luciana Souza『Speaking In Tongues』

ヴォイスの可能性を探った進化形ワールド・ジャズ☆Luciana Souza『Speaking In Tongues』
Speaking in Tongues
発表年:2015年
ez的ジャンル:ワールド・ジャズ系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :秋の夜長とヴォイス、そしtハーモニカ・・・

今回は僕が大好きなブラジリアン女性ジャズ・シンガーLuciana Souzaの最新作『Speaking In Tongues』です。

シンガー/ギタリスト/コンポーザーWalter Santosを父親に、詩人Tereza Souzaを母親に持つブラジル、サンパウロ生まれ、現在はL.A.を拠点に活動する女性ジャズ・シンガーLuciana Souzaについて、これまで当ブログで紹介した作品は以下の3枚。

 『Brazilian Duos』(2002年)
 『Duos II』(2005年)
 『The New Bossa Nova』(2007年)
 『Tide』(2009年)

最新作『Speaking In Tongues』は、ヴォイスの可能性を探った意欲作であり、Leonard Cohenとの共作2曲以外は歌詞のないヴォイスのパフォーマンスを披露してくれます。

本作もプロデュースは旦那のLarry Kleinし、レコーディングにはLionel Loueke(g、vo)、Gregoire Maret(harmonica)、Massimo Biolcati(b)、Kendrick Scott(ds)が参加しています。

西アフリカ、ペナン出身のLionel LouekeJazz The New Chapter(JTNC)の流れでも注目される才能溢れるギタリストですね。スウェーデン出身でイタリア系の血を引くベーシストMassimo Biolcatiは、Lionel Louekeらと組んだジャズ・トリオGilfemaのメンバーです。スイス出身のGregoire MaretPat Metheny Groupにも参加したハーモニカ奏者です。当ブログで最近紹介した作品でいえば、Cassandra Wilson『Glamoured』(2003年)で印象的な演奏を披露してくれました。Kendrick Scottは期待される"今ジャズ"ドラマーの一人であり、最新作『We Are the Drum 』への注目度も高いですね。

このようなメンバー構成になると、猫も杓子もJTNCの文脈で語りたがる今のご時世ですが(苦笑)、当ブログではあまり強調しすぎないようにしましょう。

アルバム全体は、LucianaやLionel Louekeら参加メンバーの持つワールド・ジャズ感覚をさらに発展させ、新境地を拓いた意欲作に仕上がっています。演奏も動と静のコントラストがあり、僕の事前イメージ以上にLouekeのギターをはじめ刺激的な音も楽しめます。

また、ワールド・ジャズ的サウンドの中でKendrick Scottのドラミングも存在感を示しており、新進ジャズ・ドラマーの才能も堪能できます。Maretのハーモニカもかなり効いていて、改めてハーモニカという楽器の魅力を認識できました。

Lucianaや参加メンバー達によるワールド・ジャズの新境地を存分に楽しみましょう。
今の時期にぴったりなジャズ作品だと思います。

Luciana Souza EPK of new album "Speaking in Tongues"
 https://www.youtube.com/watch?v=y_5UGuhhiP4

全曲紹介しときやす。

「At The Fair」
Scottの叩く変幻自在のリズムをバックに、LucianaのヴォイスとMaretのハーモニカが寄り添いながら駆け巡ります。中盤のLouekeのギターとMaretのハーモニカの掛け合いはなかなかエキサイティングです。

「Hymn」
Louekeのアコースティック・ギターとMaretのハーモニカがLucianaのヴォイスが一体となって聴く者を優しく包み込んでくれる透明感のある演奏です。

「Straw Hat」
刺激的なLouekeのギターの唸りと共に始まるエキサイティングな演奏です。Scottの躍動感のあるドラミングに牽引され、Lucianaのスキャットも絶好調です。Louekeのギターに改めて惚れ直してしまいます。

「Split」
Leonard Cohenとの共作の1曲目。抑えたミステリアスな雰囲気の演奏が印象的です。ゆっくりと流れていく感じがいいですね。

「Filhos De Gandhi」
アフロなトライバル感を取り入れた刺激的な演奏です。こういった演奏ではやはりLouekeのギターが活きますね。また、Scottも"今ジャズ"ドラマーらしいドラミングで魅了してくれます。

「A Pebble In Still Water」
Pedro AznarのスキャットをフィーチャーしたPat Metheny Groupのような雰囲気の美しい演奏です。こういう曲にはMaretのハーモニカがよく似合います。

「Free At Last」
Biolcatiのベースが牽引するGilfema的な雰囲気を発展させたような素晴らしいワールド・ジャズを楽しめます。

「A.M.」
LucianaのスキャットにMaretのハーモニカが絡む哀愁モードの真夜中のスキャットといった趣が実にいいですね。

「No One To Follow」
Leonard Cohenとの共作の2曲目。ラストはしっとりとした哀愁バラードで締め括ってくれます。ここでもMaretのハーモニカが胸に染み入ります。

Luciana Souzaの他作品もチェックを!

『Brazilian Duos』(2002年)
Duos Brasileiros

『Norte E Sul/North and South』 (2003年)
Norte E Sul/North and South

『Neruda』 (2004年)
Neruda

『Duos II』(2005年)
Duos II

『The New Bossa Nova』(2007年)
New Bossa Nova

『Tide』(2009年)
Tide

『Duos III』 (2012年)
Duos III [輸入盤]

『The Book of Chet』 (2012年)
The Book of Chet [輸入盤]
posted by ez at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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