発表年:1973年
ez的ジャンル:北欧女性SSW系フリー・ソウル
気分は... :川の流れのように・・・
今回は北欧産フリー・ソウル作品より、フィンランドの女性シンガー・ソングライターCarita Holmstromの1stアルバム『We Are What We Do』(1973年)です。
Carita Holmstromは1954年フィンランド、ヘルシンキ生まれの女性シンガー/ピアニスト/コンポーザー。
幼少期からクラシック・ピアノを習い、その後フォーク・ミュージックを演奏するようになったCaritaは、Carita & Marianneという女性デュオを結成し、1960年代末にはTV番組に出演するようになり、EPもリリースしています。
そして、ソロ・デビューすることになり、1973年にレコーディングした1stアルバムが本作『We Are What We Do』となります。
翌1974年には2ndアルバム『Toinen Levy』をリリース。その後も作品をリリースする傍らで、コンサート・ピアニスト、アカデミーでの講師、室内楽の作曲など多方面で活躍している模様です。
本作『We Are What We Do』は、北欧産フリー・ソウル作品として再評価が高まった1枚です。本作のオープニングを飾る「River」は、カフェ・アプレミディ・シリーズの『Cafe Apres-Midi〜Nacre』にも収録されている人気曲です。
ジャケの雰囲気からもイメージできるように、Carole King、Joni Mitchell、Laura Nyroあたりの流れを汲む北欧女性シンガー・ソングライター作品というのがアルバム全体の印象です。
しかしながら、フォーキー一辺倒ではなく、ジャズ、ポップス、ゴスペル/ソウル、クラシックなど幅広い音楽のエッセンスを取り込んだクロスオーヴァー感覚を楽しめるのも本作の魅力です。このあたりはバックを固めるミュージシャンの貢献も大きいと思います。
プロデュースはMikael Wiik。
プログレ・バンドYesのカヴァー「Time And A Word」以外はCarita Holmstromのオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「River」
前述のように『Cafe Apres-Midi〜Nacre』にも収録されたフリーソウル人気曲。Stephen Stills「Love The One You're With」の女性版といった趣の躍動感のあるフォーキー・グルーヴです。実際、Carita & Marianne時代には「Love The One You're With」をカヴァー演奏していたので、少なからずインスパイアされている部分はあるのでは?単にフォーキーで終わらず、ゴスペル調コーラス、鮮やかなソプラノ・サックスなどクロスオーヴァーな仕上りになっている点も魅力です。
「Singing To The Earth」
木漏れ日のソフトリー・フォーキーはCarole King調の仕上り。メロウなエレピの響きや軽くパーカッシヴな感じも僕好み。
「All Of A Sudden I Love You」
美しいピアノの弾き語り。先日紹介したJudee Sillあたりと一緒に聴きたい雰囲気の仕上がりです。中盤のレイドバック感たっぷりのギター・ソロが実にいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Mz3JJi8PNDU
「Time And A Word」
Jon Anderson/David Foster作。本作唯一のカヴァーがプログレ・バンドYesというのは興味深いですね。Yesのオリジナルは『Time And A Word』(1970年)に収録されています。 確かにオリジナルもフォーキーな雰囲気がありますが、ここまで自分らしく感動的なカヴァーしてしまうとは感心することしきりです。
「We've Got To Change」
エレピの甘酸っぱい響きがよく似合う1曲。緩急を織り交ぜた展開も楽しめます。
「How About You」
ミステリアスなジャジー・ポップ。フルートを含めたジャズ色の強い演奏が印象的です。本作らしいクロスオーヴァー感覚を味わうことができます。
「The Last Tree」
キュートになったJoni Mitchellって感じの仕上り。何の予備知識もなかったら、間違いなくUS女性シンガー・ソングライター作品だと思うでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=LXii05qdL1I
「The Shore」
美しいギターの響きが印象的なフォーキー・チューン。フルートの澄み切った音がいい雰囲気を醸し出します。
「We Are What We Do」
タイトル曲は優しさに満ちたスキャット・コーラスが印象的なビューティフル・ポップ。童心に戻れそうでいいですね。
「Still I Feel Sorry For You」
ジャズ・ロック調のサウンドを奏でるバック陣の素晴らしさが光るクロスオーヴァーな仕上がり。
「The Knight」
ラストは北欧らしいホッコリ感の中にミステリアスな雰囲気も漂うピアノの弾き語りで締め括ってくれます。
今の時期はフォーキーな音がしっくりきますね!