発表年:2015年
ez的ジャンル:ソウル名曲/ダンス・クラシック・カヴァー/リワーク集
気分は... :Karlito≒狩人?
今回は新作アルバムからUKのアーティストKarlitoによる70〜80年代ソウル名曲/ダンス・クラシックのカヴァー/リワーク集『Karlito's Way』です。
Karlito(Karlos "Karlito" Edwards)の詳しいプロフィールは不明です。フレンチHip-HopにもKarlitoというアーティストがいるようですが、本作のKarlitoとは別人です。
本作『Karlito's Way』ではプロデュース、アレンジ、楽器演奏をこなし、アルバムのインナーにはドラムを叩くKarlitoの姿が映っています。
アルバムは前述のように、全曲る70〜80年代ソウル名曲/ダンス・クラシックのカヴァーです。ただし、カヴァーというよりも今の時代らしくアップデートされたリワークに近い演奏もあるため、なかなかインパクトのある侮れないアルバムになっています。
アルバムには、元FloetryのNatalie 'The Floacist' Williams、1982年に「Mama Used to Say」をヒットさせたJunior(Junior Giscombe)、さらにはOmarやDon-EといったUKネオソウルの大物がフィーチャーされています。それ以外にMark Harrison、Benjamin AD、Paul Johnson、Stephanie Sounds、Louise LaBelle等のヴォーカリスト/ラッパーがフィーチャーされています。
超有名曲もいくつかありますが、それなりに有名曲(?)中心のカヴァー・セレクトが僕の嗜好にフィットします。そして、どの曲もオリジナルを尊重しつつも、「やっぱりオリジナルが断然いいよね」と思わせない仕上りになっているところが本作の最大の魅力だと思います。
YouTubeに本作の音源がないのが残念ですが、オリジナルと聴き比べると本作のヴァージョンの絶妙なアップデート感を楽しめます。
昨今のディスコ/ブギー・ブームを踏まえれば、こういったアルバムも有りだと思います。
全曲紹介しときやす。
「In The Stone」
Earth, Wind & Fire、アルバム『I Am』(1979年)からのシングル曲をカヴァー(Maurice White/Allee Willis/David Foster作)。曲名は知らずとも、このイントロは何処かで聴いたことがあるであろうダンス・クラシックですね。本ヴァージョンではお馴染みの鮮やかなホーン・アンサンブルによるイントロに続き、Mark Harrisonがキレのあるラップで切り込みます。Philip BaileyばりのファルセットヴォイスでヴォーカルをとるのはDereck Greenです。オリジナルの魅力を活かしたまま今日らしいエッセンスを加えた素晴らしいリワークだと思います。
Earth, Wind & Fire「In The Stone」
https://www.youtube.com/watch?v=6Z2xClustQo
Earth, Wind & Fire『I Am』(1979年)
「Hold Me Tighter In The Rain」
Billy Griffin、アルバム『Be With Me』(1982年)からののシングル曲をカヴァー(Billy Griffin/Donald Griffin作)。ここではNatalie 'The Floacist' Williamsのスポークン・ワードとJunior Giscombe、Stephanie Soundsの男女ヴォーカルをフィーチャーし、オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、よりセクシー&アーバンになった「Hold Me Tighter In The Rain」を楽しめます。The Floacistの妖艶なスポークン・ワードに悩殺されるのでは(笑)。あとはJuniorの昔と変わらぬハイトーン・ヴォーカルを聴けるのが嬉しいですね。
Billy Griffin「Hold Me Tighter In The Rain」
https://www.youtube.com/watch?v=ZbeDAUqpQlU
Billy Griffin『Be With Me』(1982年)
「Any Old Sunday」
Chaka Khan、アルバム『What Cha Gonna Do For Me』(1981年)からのシングル曲をカヴァー(Andy Fraser/Danny Ironstone/Linda McCrary/Alfred McCrary作)。ちなみにこの曲のオリジナルはThe McCrarys(アルバム『Just for You 』収録)です。この曲でもNatalie 'The Floacist' Williamsのスポークン・ワードをフィーチャーしています。リード・ヴォーカルはPaul Johnson。オリジナル以上にリズムで輪郭をはっきりさせて、キャッチーに聴かせてくれるのがいいですね。Marco Bernardisによるアーバン・ムードたっぷりテナー・サックス・ソロも効いています。
Chaka Khan「Any Old Sunday」
https://www.youtube.com/watch?v=Fmi_JKWE2_o
The McCrarys「Any Old Sunday」
https://www.youtube.com/watch?v=g4BKPkClo7s
Chaka Khan『What Cha Gonna Do For Me』(1981年)
「It's A Shame」
The Spinners、アルバム『2nd Time Around』(1972年)からのヒット曲をカヴァー(Stevie Wonder/Syreeta Wright/Lee Garrett作)。フリーソウル・クラシックとしてもお馴染みの名曲は、あのイントロのギター・カッティングを聴いただけで歓喜してしまいます。ここでは「In The Stone」と同じく、オリジナルに忠実なイントロを効かせた後、Mark Harrisonのリズミカルなフロウを織り交ぜたアップデート感のあるリワークで楽しませてくれます。ヴォーカルをとるのはMarcus MaloneとKarlito。
The Spinners「It's A Shame」
https://www.youtube.com/watch?v=DE0EOIqwiQI
The Spinners『2nd Time Around』(1972年)
「Daydreaming」
Aretha Franklin、アルバム『Young, Gifted And Black』(1972年)からの大ヒット曲をカヴァー(Aretha Franklin作)。ここではNatalie 'The Floacist' Williamsのスポークン・ワードとStephanie Soundsのヴォーカルで、オリジナルのエッセンスを尊重しつつ、アーバン・メロウな感覚を加えた「Day Dreaming」を聴かせてくれます。
Aretha Franklin「Daydreaming」
https://www.youtube.com/watch?v=4tMFqa_K7bg
Aretha Franklin『Young, Gifted And Black』(1972年)
「I Need Your Loving」
Teena Marie、アルバム『Irons in the Fire』(1980年)からのシングル・ヒットをカヴァー(Teena Marie作)。この素敵なダンス・クラシックをBenjamin ADのラップ、Don-Eのヴォコーダーをフィーチャーし、昨今の80年代ディスコ/ブギー・リバイバルの流れに呼応するキャッチーなカヴァーに仕上がっています。コレはオリジナル超えしているかも?キュートな女性バック・コーラスはLouise LaBelle。
Teena Marie「I Need Your Loving」
https://www.youtube.com/watch?v=S4jGRe9m-Pw
Teena Marie『Irons in the Fire』(1980年)
「Keep On That Same Old Feeling」
Side Effect、アルバム『What You Need』(1976年)からのヒット曲をカヴァー(Wayne Henderson作)。オリジナルはCrusaders(アルバム『Those Southern Knights』収録)です。ここではOmar、Don-EというUKネオソウルの大物2人にLouise LaBelleを加えた3人のヴォーカリストが素晴らしい歌声を披露し、さらにはMark Harrisonのラップが全体に躍動感を加えてくれます。オリジナル以上にメリハリが効いていて楽しめると思います。Hot City Hornsのホーン・サウンドやLuke "The Duke" Smithのローズもグッド!
Side Effect「Keep That Same Old Feeling」
https://www.youtube.com/watch?v=IhXt_J-6Ick
The Crusaders「Keep That Same Old Feeling」
https://www.youtube.com/watch?v=sgGQxnzy1Qs
Side Effect『What You Need』(1976年)
「Rising To The Top」
Keni Burke、アルバム『Changes』(1982年)収録のクラブ・クラシックをカヴァー(Keni Burke/Norma Jean Wright作)。この問答無用のクラシックをBenjamin A.Dのラップをフィーチャーしたリワークで格好良くキメてくれます。Stephanie Soundsによる早回し調の高音バック・コーラスも見事にハマっていますし、Mike Davisによるフリューゲルホーン・ソロも実にクールな秀逸リワークです。
Keni Burke「Rising To The Top」
https://www.youtube.com/watch?v=QRGFgBr-ciE
Keni Burke『Changes』(1982年)
「Love T.K.O」
Teddy PendergrassやDavid Oliverのシングルでお馴染みの名曲をカヴァー(Eddie Noble, Jr./Cecil Womack/Linda Womack作)。テディペン・ヴァージョンはアルバム『TP』(1980年)収録です。また、当ブログでは作者Womack & Womackのセルフ・カヴァーも紹介済みです。ここではNatalie 'The Floacist' Williamsのスポークン・ワードをフィーチャーしたセクシーな「Love T.K.O」を聴けます。ヴォーカルはIan Pitter。Scott McKeonのギター・ソロがいいアクセントになっています。
Teddy Pendergrass「Love T.K.O」
https://www.youtube.com/watch?v=RDxSXvL9ZFs
David Oliver「Love T.K.O」
https://www.youtube.com/watch?v=u5pop34HvSA
Womack & Womack「Love T.K.O」
https://www.youtube.com/watch?v=bkuwORjRhws
Teddy Pendergrass『TP』(1980年)
「Velas」
ラストはQuincy Jonesのヒット・アルバム『The Dude』(1981年)収録のインスト曲をカヴァー(Ivan Lins/Vitor Martins作)。オリジナルはIvan Lins『A Noite』(1979年)収録の「Velas Icadas」ですが、インスト・カヴァーなのでToots ThielemansのハーモニカをフィーチャーしたQuincyヴァージョンを意識したカヴァーと言えるでしょう。Mike Davisのフリューゲルホーン、Mike BrownとKarlitoのナイロン・ギターがロマンティックな音色を奏でるスムース・ジャズ調のカヴァーで締め括ってくれます。。
Quincy Jones「Velas」
https://www.youtube.com/watch?v=GrcW0iLefAk
Quincy Jones『The Dude』(1981年)
Karlitoについて、もう少し詳しいプロフィールを知りたいですね。