2015年12月24日

Gretchen Parlato『The Gretchen Parlato Supreme Collection』

日本独自企画によるGretchenのコンピ盤☆Gretchen Parlato『The Gretchen Parlato Supreme Collection』
ザ・グレッチェン・パーラト シュプリーム・コレクション
発表年:2015年
ez的ジャンル:今ジャズ系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :イヴはGretchenの歌声と共に・・・

クリスマス・イヴに紹介する1枚は、今ジャズの歌姫Gretchen Parlatoの日本独自企画コンピCD『The Gretchen Parlato Supreme Collection』です。

L.A.出身で現在はN.Y.を拠点に活躍する女性ジャズ・シンガーGretchen Parlatoの紹介は、彼女の名を一躍有名にした3rdアルバム『The Lost And Found』(2011年)、2ndアルバム『In a Dream』(2009年)に続き3回目となります。

僕自身はオリジナル・アルバム重視の嗜好が強いので、こうしたコンピ盤は本来好きではないのですが、本作『The Gretchen Parlato Supreme Collection』は客演した楽曲も含めて9曲は日本初CD化曲という点で貴重な1枚であるため、購入した次第です。

コンパイルしたのは渡辺 亨 氏。アルバムは『Gretchen Parlato』(2005年)、『In a Dream』(2009年)、『The Lost And Found』(2011年)、『Live In NYC』(2013年)というオリジナル・アルバムから7曲。他アーティスト作品への客演曲が9曲という構成です。

僕自身がベスト盤をセレクトすれば、多小違った構成になったかもしれませんが、Gretchen Parlatoというジャズ・ヴォーカリストの魅力を存分に楽しめるグッド・セレクションだと思います。

決して、声量・声域に恵まれた圧倒的な歌唱力を持つわけではないGretchen Parlatoが、なぜ今ジャズの歌姫として脚光を浴びるのかが、本作を聴けばよく分かると思います。

こんな素敵な女性ジャズ・ヴォーカルを聴きながら、イヴを過ごすのもいいのでは

全曲紹介しときやす。

「All That I Can Say」
『The Lost And Found』収録曲。オープニングを飾るのはMary J. Bligeのヒット曲(Lauryn Hill作)のジャズ・カヴァー。僕とGretchenの出会いとなった曲でもあり、鮮烈な印象を与えてくれました。今振り返ると、Taylor Eigsti(p)、Derrick Hodge(b)、Kendrick Scott(ds)というバックも強力ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=4l_WLAPeh10
『The Lost And Found』(2011年)
Lost & Found

「You've Got a Friend」
Jesse Fischer & Soul Cycle『Homebrew』収録曲。Carole Kingの名曲をカヴァー。Jesse Fischer & Soul Cycleはブルックリンを拠点に活動するキーボード奏者Jesse Fischerを中心としたユニット。リラックスした中にも随所にGretchenらしさを感じられる好カヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=INLX-aAuhgg
Jesse Fischer & Soul Cycle『Homebrew』(2011年)
Homebrew

「I Can't Help It」
『In a Dream』収録曲。Michael Jacksonの人気曲をカヴァー(Stevie Wonder/Susaye Coton Greene作)。Thelonious Monk Institute of Jazz時代の同期である天才ギタリストLionel Louekeのヴォーカル&ギターが寄り添います。Gretchenとの親交も深いJTNCの重要アーティストEsperanza Spalding『Radio Music Society』で本曲をカヴァーしているので聴き比べるのも楽しいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=D69aT-IFelQ
『In a Dream』(2009年)
In a Dream

「Circling」
『The Lost And Found』収録曲(Gretchen Parlato作)。Taylor Eigstiによるフェンダー・ローズのメロウな響きとGretchenのウィスパー・ヴォーカルがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=vftbRCwFriI
『The Lost And Found』(2011年)
Lost & Found

「Eu E O Meu Amor/Lamento No Morro」
Nilson Matta『Black Orpheus』収録曲。ブラジル人ジャズ・ベーシストのアルバムへの客演。Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作品のメドレーです。やはり、Gretchenのウィスパー・ヴォーカルにはブラジル音楽がよく似合います。
Nilson Matta『Black Orpheus』(2013年)
Nilson Matta's Black Orpheus

「Ela E Carioca」
『Gretchen Parlato』収録曲。Antonio Carlos Jobimのボサノヴァ名曲をカヴァー。Massimo Biolcati(b)、Lionel Loueke(g、vo)というGilfemaメンバーらがバックを務めます。Gretchenのヴォーカルと演奏が一体化しているのがいいですね。
『Gretchen Parlato』(2005年)
Gretchen Parlato

「Imagina」
Marcel Camargo & The Brazil You Never Heard『Behind Jobim』収録曲。L.A.を拠点とするブラジル人ギタリストのアルバムへの客演。美しい弦楽をバックに配し、Antonio Carlos Jobim/Chico Buarque作品をカヴァーしています。本作の中では少し異色かもしれません。
Marcel Camargo & The Brazil You Never Heard『Behind Jobim』(2014年)
Behind Jobim

「Skylark」
『Gretchen Parlato』収録曲。Johnny Mercer/Hoagy Carmichael作のスタンダードをカヴァー。Massimo Biolcati(b)、Lionel Loueke(g)、Aaron Parks(p)らをバックに、Gretchenのプリミティブな魅力が伝わってきます。
『Gretchen Parlato』(2005年)
Gretchen Parlato

「Weak (live)」
『Live In NYC』収録曲。SWVの全米No.1ヒットのカヴァー(Brian Alexander Morgan作)。スタジオ録音ヴァージョンは『In a Dream』に収録されています。Kendrick Scottが今ジャズらしいドラミングで盛り上げてくれます。こうした90年代R&Bヒットを完全に自分のモノにしてしまうあたりがGretchenの真髄だと思います。
『Live In NYC』(2013年)
ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ【CD+DVD】(仮)

「But Beautiful」
Dayna Stephen『The Nepenthetic Place』収録曲。USジャズ・サックス奏者のリーダー作への客演。Jimmy Van Heusen,/Johnny Burke作のスタンダードのカヴァーです。哀愁感の漂うスタンダード・カヴァー然としたバラードです。Taylor Eigstiの美しいピアノも印象的です。
Dayna Stephen『The Nepenthetic Place』(2013年)
That Nepenthetic Place [輸入盤]

「This One Is for You」
Mark Guiliana『My Life Starts Now』収録。今ジャズを代表する新進ドラマー
Mark GuilianaとGretchenって夫婦だったんですね。本作のライナーノーツを読み、初めて知りました。本曲はトイピアノを交えた幻想的なメロウ・サウンドをバックにGretchenのスキャットが浮遊するサウンドスケープ的な仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=psYyVqvIyRQ
Mark Guiliana『My Life Starts Now』(2014年)
My Life Starts Now[日本語解説付]

「You Got The Love (DJ OBaH Rollerskate Remix)」
DJ Center『Everything in Time Remixed』(2011年)収録曲。Rufus Featuring Chaka Khanのカヴァー(Chaka Khan/)、Ray Parker, Jr.作)。オリジナルは『Rags To Rufus』(1974年)に収録されています。ここではジャジー・ハウスなリミックスがセレクトされています。Gretchenのヴォーカルが新たな解釈を加えた秀逸カヴァーに仕上がっています。クラブ仕様のサウンドが加わり、さらなるケミストリーを起こしている点が興味深いです。

「Moon River」
Andy Milne + Gregoire Maret『Scenarios』収録。ピアニストとハーモニカ奏者の共演アルバムでJohnny Mercer/Henry Mancini作の名曲を先鋭的な雰囲気のカヴァーで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Lk5V-B4X-do
Andy Milne + Gregoire Maret『Scenarios』(2007年)
シナリオス

「Send One Your Love」
New West Guitar Group『Send One Your Love』収録曲。USギター・トリオのStevie Wonderカヴァーに客演。3人のギタリストのギターの音色がGretchenのヴォーカルにより、より鮮やかな色合いになっています。
New West Guitar Group『Send One Your Love』(2015年)
センド・ワン・ユア・ラヴ

「Journey」
Kendrick Scott Oracle『The Source』収録曲。今ジャズを代表するドラマーの一人であるKendrick Scottのリーダー作への客演(Gretchen Parlato/Kendrick Scott作)。少し幻想的な雰囲気の漂うビューティフル・バラードです。
Kendrick Scott Oracle『The Source』(2007年)
Source

「Juju/Footprints」
『Gretchen Parlato』収録曲。Wayne Shorter作品に歌詞をつけてカヴァー。「Juju」は『The Lost And Found』でも再録しています。スタジオ録音作では毎回Wayne Shorter作品を取り上げているGretchenですが、ここではLionel Louekeのギターとの抜群のコンビネーションを聴かせてくれます。
『Gretchen Parlato』(2005年)
Gretchen Parlato

本作を入口にオリジナル・アルバムも聴いてみてください。
posted by ez at 02:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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