2016年01月17日

Dexter Story『Wondem』

エチオ・ジャズにアプローチした新作☆Dexter Story『Wondem』
Wondem
発表年:2015年
ez的ジャンル:L.A.ジャズ系エチオ・ジャズ
気分は... :L.A.シーンとエチオ・ジャズ・・・

今回は新作ジャズ作品からDexter Story『Wondem』です。

Carlos Ninoを中心としたL.A.のミュージシャン集団Build An Arや、Carlos Ninoとのジョイント・ユニットThe Life Force Trio等の活動で知られるプロデューサー/コンポーザー/マルチ奏者/シンガーDexter Storyの紹介は、『Seasons』(2013年)に続き2回目となります。

『Seasons』(2013年)は、キラー・チューン「Underway (Love Is...)」をはじめ、楽園モードのL.A.ジャズって雰囲気が僕の嗜好にフィットし、愛聴した1枚でした。

その『Seasons』に続く新作となる『Wondem』ですが、アフロ・ジャズ作品の再発で知られるUKのレーベルSoundwayからのリリースとなります。

Soundwayからのリリースということである程度イメージできるかもしれませんが、本作はエチオ・ジャズをはじめとする東アフリカのエッセンスが全面に打ち出されたアルバムに仕上がっています。その意味では『Seasons』とはかなり異なる印象を受けるはずです。

このあたりはKamasi Washingtonなども関わるエチオ・ジャズ・プロジェクトEthio CaliにDexter Storyが大きく関与していることを考えれば、自然の流れなのかもしれませんが。

本作も『Seasons』同様にCarlos Ninoとの共同プロデュースです。

レコーディングにはMark De Clive-Lowe(p、key)、Alan Lightner(steel pan、marimba)、Damon Aaron(g)、Randal Fisher(ts、fl)、 Richard Grant(tp)、Te'Amir Sweeney(ds)、Miguel Atwood-Ferguson(violin、viola)、Yared Teshale(vo)、Godfrey At Large(vo)、Alsarah(vo)、Nia Andrews(vo)等のミュージシャンが参加しています。

正直言って、アクの強い1枚であり、エチオ・ジャズ特有の演歌調グルーヴがフィットするかどうかで好き/嫌いがはっきり分かれるかもしれません。ただし、先に挙げたEthio Caliの動きを見ても、L.A.ジャズをリードするミュージシャン達がエチオ・ジャズに注目していることは確かであり、そういった流れでもぜひチェックして欲しい1枚です。

全曲紹介しときやす。

「A New Day」
エスニックな開放感が印象的なオープニング。ヴォーカルはYared Teshale。
https://www.youtube.com/watch?v=Lb4VziUawWw

「Be My Habesha」
土着的なサウンドをL.A.ジャズ・テイストに仕上げた1曲。Randal Fisherのフルートがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=IXWuA0uf8ng

「Lalibela」
Yared Teshaleをフィーチャー。本作らしいレトロ・フューチャリスティックなエチオ・ジャズを楽しめる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=VvLZ14x3RJo

「Changamuka」
Godfrey At Largeをフィーチャー。大らかなエスニック・グルーヴがいいですね。Mark De Clive-Loweのシンセがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=kCjJh2GGjj8

「Mowa」
Miguel Atwood-Fergusonをフィーチャー。彼の弦がエスニック・サウンドを包み込むエレガントな1曲。Miguel Atwood-Fergusonがその存在感を存分に示してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=O3g5_EH17Ko

「Without An Address」
スーダン出身の女性シンガーAlsarahをフィーチャー。パーカッシヴなリズムとAlsarahの妖艶なヴォーカルがマッチした僕好みの1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=0Dz1KEG8geo

「Merkato Star」
アヴァンギャルドなエスニック感が支配するインパクト十分の1曲。Randal FisherとRichard Grantによるホーン・アンサンブルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=IXWbMxwhRM8

「Sidet Eskemeche」
Yared Teshaleをフィーチャー。エスニックな哀愁感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=qFwLbHHcC9A

「Saba」
Mark De Clive-Loweの印象的なピアノと共に始まります。本編はエチオ・ジャズらしい演歌調のグルーヴを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=7HkHM1u3zOQ

「Xamar」
歯切れのいいリズムに先導されたフューチャリスティック感がエチオ・ジャズのアクの強さを少しマイルドにしてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9qie5mxUJUE

「Eastern Prayer」
Mark De Clive-LoweDegoのアルバムにフィーチャリングされ、昨年は日本独自アルバムもリリースされたL.A.の女性ヴォーカリストNia Andrewsをフィーチャー。僕の一番のお気に入り曲です。Alan Lightnerのスティール・パンも加わり、『Seasons』の楽園サウンドに最も近い雰囲気の仕上がりだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=pNhZCKM867E

「Yene Konjo」
ラストはDexter自らがリード・ヴォーカルをとる穏やかなビューティフル・ソングで締め括ってくれます。Mark De Clive-Loweが美しいピアノを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=keyPwRP04TY

『Seasons』(2013年)
Seasons
posted by ez at 01:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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