発表年:2016年
ez的ジャンル:新世代UKジャズ・ピアノ・トリオ
気分は... :まさかの大逆転!
今回は新作ジャズ作品から話題の新世代ジャズ・トリオGoGo PenguinのBlue Note移籍第一弾アルバム『Man Made Object』です。
イギリス、マンチェスターで結成されたChris Illingworth(p)、Nick Blacka(b)、Rob Turner(ds)によるジャズ・トリオGoGo Penguinの紹介は、2ndアルバム『V2.0』(2014年)に続き2回目となります。
『Fanfares』(2012年)、『V2.0』(2014年)という2枚のアルバムでジャズ界に旋風を巻き起こした新世代UKジャズ・ピアノ・トリオGoGo Penguin。Radiohead、Squarepusher、Massive Attack等を聴いて育ってきた新世代による独自のジャズ・サウンドは実に新鮮でした。
今回、Blue Noteの社長Don Wasが『V2.0』を気に入り、契約に至ったようです。
名門Blue Note移籍への移籍で変にまとまってしまうことも懸念しましたが、まったく杞憂でした。バンドの進化し続ける姿を確認できる素晴らしい1枚に仕上がっていると思います。
ラップトップで作曲した曲やプログラミングしたサウンドを楽器で再現するなど、これまで以上にアコースティック・バンドによるエレクトロニカ/クラブ・ミュージック的サウンドにこだわった演奏を楽しめます。
プロデュースは前作と同じくBrendan WilliamsとJoseph Reiser。
すべて3人のみのトリオ演奏でオール・インストです。
楽曲もすべて彼らのオリジナルです。
クラブミュージック好きの人に聴いて欲しいジャズ作品です。
全曲紹介しときやす。
「All Res」
クラシック調のエレガントなスタートから、ドラムが加わった途端アコースティック・エレクトロニカ・トリオに相応しい新世代ジャズ・サウンドを繰り広げます。このバンドの美学が詰まったオープニングです。
https://www.youtube.com/watch?v=ol4s-1kTrBw
「Unspeakable World」
これまであまり聴かれなかった"今ジャズ"寄りのアプローチですね。このあたりはBlue Note移籍が影響しているのかもしれませんね。
「Branches Break」
Four Tetにインスパイアされて作った曲なのだとか。このバンドらしいUKならではの"ジャズ・ミーツ・エレクトロニカ"的サウンドを楽しめます。冬らしいジャズ・サウンドがいいですね。
「Weird Cat」
Robの格好良いドラミングに魅了されます。このバンドならではのクラブミュージック的ジャズを存分に楽しめます。
「Quiet Mind」
Chrisのピアノを中心とした現代音楽の影響を感じるミニマル&ビューティフルな演奏が印象的です。
「Smarra」
Nickのベースに牽引され、Robの疾走するドラミング、幻想的なChrisのピアノが絡む刺激的な演奏です。Robのドラムの破壊力がサイコーです。
「Initiate」
Chrisの美しいピアノが主導する演奏ですが、そこはかとなくクラブミュージック的な雰囲気を醸し出すあたりがこのバンドらしいですね。
「GBFISYSIH」
リリカルなビューティフル・バラード。ただやだ美しい演奏を堪能しましょう。
「Surrender To Mountain」
美しき疾走感に魅了される演奏です。試練を乗り越えたからこそ味わえる感動!といった雰囲気ですかね。
「Protest」
本編のラストは美しいChrisのピアノと攻撃的なNickのベースとRobのドラミングのバランスが絶妙な演奏で締め括ってくれます。
「Fading : Feigning」
国内盤ボーナス・トラック1曲目。このバンドらしい美しいChrisのピアノと疾走するビートを聴かせてくれます。ジワジワ盛り上がってくるのがいいですね。
「Green Lit」
国内盤ボーナス・トラック2曲目。1曲の中にドラマを感じる感動的な演奏です。
『Fanfares』(2012年)
『V2.0』(2014年)