発表年:2016年
ez的ジャンル:マエストロ系ブラジリアン・ボッサ・ジャズ
気分は... :妖艶なオトナの・・・
連休なので2日続けて新作の紹介を!
今回は新世代ヨーロピアン・ジャズのマエストロNicola Conteが彼の作品でお馴染みの女性ジャズ・シンガーStefania Dipierroとコラボした新作『Natural』です。
イタリアを代表するクラブジャズ・プロデューサー/アーティストNicola Conteに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の4枚。
『Other Directions』(2004年)
『Rituals』(2008年)
『Love & Revolution』(2011年)
『Free Souls』(2014年)
本作はNicola ConteとStefania Dipierroのコラボ作品ですが、まだ自身のアルバムをリリースしていなかったDipierroの初アルバムをマエストロが好サポートしているといった雰囲気です。勿論プロデュースはNicola Conte。
サウンド的にはマエストロお得意のブラジリアン・ボッサ・ジャズでDipierroのヴォーカルの魅力を伝えてくれます。
レコーディングにはFabrizio Bosso(tp)、Gaetano Partipilo(as、fl)、Pietro Lussu(p、el-p、org)、Mirko Signorile(p、el-p、)、Luca Alemanno(b)、Nicola Angelucci(ds)、Marco Valeri(ds)、Dario Congedo(ds)、Fabio Accardi(ds)、Pierpaolo Bisogno(congas)、Liviana Ferri(per)、Emanuele Ferrari(tambourine)、Melanie Charles(back vo)、Fabrizio Savino(g)、Nicola Conte(g)といったNicola Conte作品でお馴染みのミュージシャン達が多数参加しています。
アルバムの構成はブラジル人アーティストのカヴァー、ポピュラー・スタンダードのカヴァー、オリジナル曲がバランス良く配されています。
リズミックな「Maracatu Atomico」、「Softly As In A Morning Sunrise」、爽快メロウな「Ainda Mais Amor」、「The Meaning Of Love」、エレガントな疾走感の「Open The Door」、妖艶な「I Feel The Sun On Me」、素敵なメロウ・ボッサ「Caminhos Cruzados」、「Que Maravilha」あたりが僕のお気に入りです。
これから春夏と重宝する1枚だと思います。
Far Out Recordingsからのリリースです。
全曲紹介しときやす。
「Maracatu Atomico」
Jorge Mautner/Nelson Jacobina作。Gilberto Gil等のカヴァーで知られる楽曲。作者Jorge Mautner/Nelson Jacobinaのヴァージョンは『Arvore Da Vida』(1988年)に収録されています。パーカッシヴなアフロ・ブラジリアン色の強いサウンドをバックに、Dipierroが凛としたヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=pTzF_LKh14E
「Softly As In A Morning Sunrise」
Oscar HammersteinU作詞、Sigmund Ronberg作曲、ミュージカル『New Moon』の挿入歌のスタンダード「朝日のごとくさわやかに」をカヴァー。当ブログでは、Wynton Kelly、Sonny Rollins、Larry Youngのカヴァーを紹介済みです。ミステリアスなアフロ・ブラジリアン・グルーヴとDipierroと艶やかなヴォーカルがよくマッチしています。Fabrizio Bossoのミュート・トランペットも効いています。
「A Gira」
Beto Scala/Umberto Silva作。Pietro Lussuのハモンドが効いた哀愁グルーヴ。ここでもDipierroの大人のヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZPK6kYHKyLs
「Within You And I」
Nicola Conte作。Dipierroの妖艶なヴォーカルにグッとくる大人のバラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=qI-I965XxcU
「Open The Door」
Betty Carter作。US女性ジャズ・ヴォーカリストBetty Carterの名曲をカヴァー。初期Nicola Conte作品のグルーヴ感と近年のNicola Conte作品のエレガントさが融合した感じがいいですね。Gaetano Partipiloが雰囲気のあるアルト・サックスで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=KE_RcXx7aKo
「Ainda Mais Amor」
Federico Savina/Nicola Conte/Stefania Dipierro作。Pietro Lussuのメロウ・エレピが心地好い夏向けのブラジリアン・グルーヴ。聴いているだけで幸福ホルモンが分泌してきます。
https://www.youtube.com/watch?v=FnPZMvz21sI
「Caminhos Cruzados」
Antonio Carlos Jobim/Newton Mendonca作。ロマンティックな雰囲気に包まれた素敵なメロウ・ボッサに仕上がっています。僕の場合、この曲といえば、当ブログで紹介したIve Mendes『Magnetism』(2014年)のヴァージョンが大好きなのですが、Ive Mendesヴァージョンの雰囲気に近いですね。
https://www.youtube.com/watch?
「The Meaning Of Love」
Steve Kuhn作。爽快な疾走感が心地好いです。爽快サウンドとDipierroの吐息混じりの大人のヴォーカルとFabrizio Bossoのトランペットが恋する気分へ誘います。
https://www.youtube.com/watch?v=X8wvz0lvlgY
「Natural」
Federico Savina/Nicola Conte/Stefania Dipierro作。Nicola Conteのギターが目立つタイトル曲が一番のDipierroとマエストロの共演らしいかもしれません。北欧ブラジリアン・ジャズのような透明感も感じられます。
https://www.youtube.com/watch?v=K7LydesWy5I
「I Feel The Sun On Me」
Federico Savina/Nicola Conte作。オトナのジャズ・グルーヴといった趣のクールネスがいいですね。妖艶なジャケの雰囲気がフィットする演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=D9b3uyvVr5I
「A Menina Danca」
Luiz Galvao/Moraes Moreira作。ブラジルの伝説的グループOs Novos Baianosのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Acabou Chorare』
(1972年)に収録されています。また、当ブログではMarisa Monteのヴァージョンも紹介済みです。小気味良いヴォーカル&演奏で清々しい印象を与えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=NXD_q_9XhLc
「Vento Bravo」
Edu Lobo/Paulo Cesar Pinheiro作。この曲の持つミステリアスな雰囲気がDipierroのヴォーカルに合っています。
https://www.youtube.com/watch?v=Bf8niijzukg
「Que Maravilha」
Jorge Ben/Toquinho作。当ブログではSom Okey 5、Heraldo Do Monte、Osmar Militoのカヴァーも紹介済みです。ここでは素敵なメロウ・ボッサでしっとりと聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=rtZJWjtKsd4
「Joia」
ラストはCaetano Velosoをカヴァー。彼の名作『Joia』(1975年)のタイトル曲です。ただし、本ヴァージョンは当ブログでも紹介したGal Costaヴァージョンを手本にしたものだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=4IBYEPY865M
Nicola Conteの他作品もチェックを!
『Jet Sounds』(2000年)
『Bossa Per Due』(2001年)
『Jet Sounds Revisited』(2001年)
『Other Directions』(2004年)
『Rituals』(2008年)
『Love & Revolution』(2011年)
『Free Souls』(2014年)
爽やかで,思わずステップを踏みたくなるほど軽やかな「Ainda Mais Amor」に,シルキーで大人の色気が漂う歌声に,流麗でソフトなトランペットのコンビネーションが絶妙な「The Meaning of Love」に魅かれました。タイトル曲「Natural」は,ブラジリアン・ミュージックらしい軽妙な要素と,どこかニヒルな空気が同居していて,AORっぽいスタイリッシュなサビが好きです。
ありがとうございます。
この夏のヘビロテの1枚になっています。
ある意味いつものNicola Conteパターンですが、それでも飽きないのが、この人の持つ魅力ですね。主役であるStefania Dipierroの妖艶なオトナのヴォーカルにもグッときます。
さすがはマエストロ!と思わせる快作です。