発表年:2005年
ez的ジャンル:Jam & Lewis系ヒスパニックR&B
気分は... :春到来・・・
今回はプロデューサー/ソングライター・チームとしても活躍するBobby Ross AvilaとIz Avilaによる兄弟ユニットAvila Brothersの『The Mood: Soundsational』(2005年)です。
Bobby Ross Avilaに関しては、Jam & Lewisがプロデュースしたソロ・アルバム『My Destiny』(1993年)を紹介済みです。
『My Destiny』の記事でも紹介したように、1975年カリフォルニア州サンバーナーディーノ生まれのヒスパニック系シンガー/ソングライター/プロデューサーBobby Ross Avilaは、10代からシンガーとして活躍し、4枚のソロ・アルバムをリリースしています。
特に『My Destiny』(1993年)は、Jam & Lewis(Jimmy Jam & Terry Lewis)のPerspective Recordsからリリースされた作品であり、Jam & Lewis自身も6曲をプロデュースしました。
そんな流れでJam & Lewisとの接点を持ったBobby Ross AvilaとIz Avilaと組み、Flyte Tyme Productions一派として、プロデューサー/ソングライターとして活躍するようになります。
当ブログで紹介した作品でいえば、Avant『The Letter』(2010年)、Charlie Wilson『Forever Charlie』(2015年)にAvila Brothersはプロデューサーとして関与しています。
そんなAvila Brothers唯一のアルバムが2005年にリリースしたセルフ・プロデュース作品『The Mood: Soundsational』です。
Jam & Lewisがエグゼクティヴ・プロデューサーを務め、3曲でAvila Brothersと共にプロデュースも手掛けています。Jimmy Jamはキーボードでも参加しています。
また、Phonte、9th Wonderを擁するHip-HopユニットLittle Brotherがゲスト参加しています。
さらに、Lauren Evans(vo)、Shelea Frazier(vo)、Sly Boogy(rap)、Ahmad Jones(vo、rap)、Dirty Bird(vo、rap)、Lanny Cordola(sitar)、Donald V. Ferrone(b)、Greg Osby(sax)、Terrace Martin(sax)等がレコーディングに参加しています。
Bobby Rossのヴォーカルを前面に打ち出した楽曲、トラックメイカーとしての側面を打ち出した楽曲、フィーチャリング・アーティストの魅力を引き出すことに専念したプロデューサーとしての手腕を見せる曲と、かなりバラエティに富んだ1枚です。音楽性の面でも様々なタイプのサウンドを聴くことができます。その意味で一貫性のないアルバムですが、そこが本作の魅力だと思います。
シングルにもなったMarvin Gaye「I Want You」とDeBarge「Stay With Me」という大ネタ合わせ技「I Want You」、Little Brotherをフィーチャーした「Smile」、Stevie WonderとSyreeta Wrightによるデュエットのような「Love's Mystery」、Shelea FrazierをフィーチャーしたメロウR&B「Let It Go」、Dirty Birdをフィーチャーしたジャジー&メロウHip-Hop「Something To Feel」あたりがオススメです。
Avila兄弟の持つ音楽性の多様さを楽しみましょう!
全曲紹介しときやす。
「The Mood」
アルバムのイントロ。
「Soundsational」
兄弟のトラックメイカーとしての実力を確認できるパーカッシヴなインスト曲。
https://www.youtube.com/watch?v=gp1tbUx5TEQ
「I Want You」
シングルにもなった楽曲。Marvin Gaye「I Want You」とDeBarge「Stay With Me」という2大名曲をマッシュ・アップ的にリメイクしたような1曲です。Bobby Rossのハイ・トーン・ヴォーカルが栄えるセクシーな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=VS6J7eDTBhk
「Smile」
Little Brotherをフィーチャー。温もりのあるソウル・チューンにLittle Brotherのラップが絡みます。「I Want You」と並ぶキャッチーな仕上りです。
https://www.youtube.com/watch?v=Yfwl7N9iS98
「Sweet Symphony」
タイトルの通り、シンフォニックなインタールード。
「Love's Mystery」
Bobby RossとShelea Frazierのデュエットは、曲調やヴォーカルの雰囲気も含めてStevie WonderとSyreeta Wrightによるデュエットのようです。ラブリーなメロウネスがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=tLdyGhVaofE
「Mix It」
トラックメイカーとしての手腕を見せる小曲。
「Tilt Ya Cup」
ソロ作品もリリースしている男性ラッパー。Sly Boogyをフィーチャー。エスニックな雰囲気のHip-Hopチューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=cgc55NYgOPw
「Let It Go」
Shelea Frazierをフィーチャー。彼女の透明感のあるヴォーカルを活かしたメロウR&Bに仕上がっています。さりげないメロウネスが実に心地好いです。Shelea Frazierは2013年にソロ・アルバム『Love Fell On Me』をリリースしています。
https://www.youtube.com/watch?v=pkDnRwMrVEw
「Play For Me」
Lauren Evansをフィーチャーした小曲。
「It's Over Now」
Ahmad Jonesをフィーチャー。彼らのHip-Hopプロデューサーとしての側面を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=puZENuD4muA
「Boogie Jones Theme」
Izが一人で手掛けたインスト・トラック。
「Something To Feel」
Dirty Birdをフィーチャー。同じHip-HopチューンでもAhmad Jonesをフィーチャーした「It's Over Now」とは全く異なるベクトルのジャジー&メロウ・チューンに仕上がっているのが面白いですね。
「Big Jim's Sonata (In F Minor)」
ドリーミーなインスト・チューン。幻想的なエレピの響きが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=eXzVYhhc72A
「Give The Horns Some」
ホーン隊が活躍するジャズ・フィーリングのダンサブル・チューン。Roger Troutman風のトーク・ボックスも楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=p4cjJ8Ibc7k
「Nick Of Time」
Bobby Rossが素晴らしいヴォーカルを披露してくれる正統派バラード。これだけのヴォーカルがあるのだから、もっと彼のヴォーカル曲を聴きたかった気も・・・
https://www.youtube.com/watch?v=9BkcGMQnqzI
「The Mood Pt.2」
ラストはスポークン・ワードとGreg Osbyのサックスが先導するトラックで締め括ってくれます。その後、隠しトラックのインスト・チューンが収録されています。
Bobby Ross Avila『My Destiny』(1993年)