発表年:1987年
ez的ジャンル:UKアシッド・ジャズ系モッド・ジャズ
気分は... :モッズ!
今回はUKアシッド・ジャズの牽引者の一人であるオルガン/キーボード奏者James Taylor率いるJames Taylor Quartet(JTQ)の記念すべきデビュー・アルバム『Mission Impossible』(1987年)です。
JTQの紹介は、アシッド・ジャズ期のUKソウルを代表する男性シンガーNoel McKoyをヴォーカルに迎えたアルバム『Supernatural Feeling』(1993年)以来2回目となります。
70年代ジャズ・ファンクからの影響が大きいUKアシッド・ジャズでしたが、このJTQのデビュー・アルバムは60年代モッド・ジャズ的な格好良さが詰まった1枚に仕上がっています。
その意味ではアシッド・ジャズというより、モッズ/モッド・ジャズ/スウィンギング・ロンドン好きの人向けです。David Taylorのギターが入っている分、ジャズ一辺倒ではなく、60年代ブリティッシュ・ロック・バンド風の若々しく荒削りな魅力もあります。
James Taylor(org)、Allan Crockford(b)、David Taylor(g)、Simon "Wolf" Howard(ds)というJTQのメンバー4人に加え、Matthew Godwin(sax)がレコーディングに参加しています。
スウィンギング・ロンドン名曲「Blow Up」、お馴染みスパイ大作戦のテーマ「Mission Impossible」、オルガン・ジャズ名曲「The Cat」、The CloversのR&Bカヴァー「One Mint Julip」、60年代UKバンドThe Artwoodsのカヴァー「Be My Girl」といった格好良いカヴァーが目白押しです。
モッド・ジャズ/スウィンギング・ロンドン好きの方は、ぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Blow Up」
Herbie Hancock作。イタリア映画の巨匠Michelangelo Antonioni監督による当時のロンドンを席巻したスウィンギング・ロンドンの空気を伝えてくれる人気カルト・ムーヴィー『Blow-Up(邦題:欲望)』のテーマ曲です。このモッズ名曲をオリジナルの持つ格好良さそのままに若々しい弾けた演奏で楽しませてくれます。途中で『Blow-Up』のサントラに収録されていた「Bring Down the Birds」のDeee-Lite「Groove Is In The Heart」のサンプリングソースとしてお馴染みのあのフレーズが飛び出すのも嬉しい限りです。
https://www.youtube.com/watch?v=nD2EUNtYBlc
「One Mint Julip」
Rudy Toombs作。The Clovers、1952年のR&Bヒットをカヴァー。JTのグルーヴィーなオルガンがいい感じのモッドなオルガン・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=COb3m8OrsfI
「Be My Girl」
60年代UKモッズ・バンドThe Artwoodsのカヴァー。オリジナルは『Art Gallery』(1966年)に収録。JTのオルガンも含めて60年代ブリティッシュ・バンドの雰囲気を醸し出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Gscux--7bgA
「Mission Impossible」
Lalo Schifrin作。大人気TVシリーズ『Mission:Impossible(邦題:スパイ大作戦)』のお馴染みのテーマ曲です。オルガンやDavid Taylorのギターの音色が印象的なモッズ・モードのグルーヴィー・オルガン・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=k1yFBQwxtlE
「Untitled No. 1」
JTのオリジナルによる軽快なモッド・ジャズ。気分は60年代スウィンギング・ロンドンですね。
https://www.youtube.com/watch?v=RruzuJO184c
「Goldfinger」
Anthony Newley/John Barry/Leslie Bricusse作。Shirley Basseyのヴォーカルでお馴染みの『Goldfinger(007ゴールドフィンガー)』挿入歌です。このお馴染みの曲をモッド・ジャズで聴くことができます。JTのオルガン・ソロにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=jOz4pEDhOag
「The Cat」
Lalo Schifrin作。ジェーン・フォンダ、アラン・ドロン主演のフランス映画『Les Felins』(1964年)の挿入曲。この曲といえば、ジャズ・オルガン奏者Jimmy Smith
のヴァージョンが有名ですね。本ヴァージョンもJimmy Smithヴァージョンを下敷きにしたものだと思います。グルーヴィー・オルガン・ジャズ/ハモンド・オルガンの魅力を存分に楽しめます。
「Mrs. Robinson」
Simon & Garfunkel、1968年の大ヒット曲をカヴァー。お馴染みの名曲はハモンド・ジャズの音色と共に聴くことができます。中盤の60年代ブリティッシュ・バンドな感じもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2y-niF9Cccg
「Alfie」
ジャズ・サックスの巨匠Sonny Rollinsがサントラを手掛けたマイケル・ケイン主演のコメディ映画『Alfie』(1966年)のテーマ曲「Alfie's Theme」をカヴァー(Burt Bacharach/Hal David作の主題歌「Alfie」とは別曲)。Matthew Godwinのサックスをフィーチャーした小粋なモッド・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=bBO8ATQvkvY
「The Stooge」
JTのオリジナル。オリジナルでは若々しい勢いのあるこの演奏が一番好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=NfyvMjRafZ4
「Untitled No. 2」
JTのオリジナル。アルバムのエピローグ。
JTQの他作品もチェックを!
『The Money Spyder』(1987年)
『Wait a Minute』(1988年)
『Get Organized』(1989年)
『Do Your Own Thing』(1990年)
『Absolute: JTQ Live』(1991年)
『Supernatural Feeling』(1993年)
『In the Hand of the Inevitable』(1995年)
『A Few Useful Tips About Living Underground』(1996年)
『Whole Lotta Live 1998』(1998年)
『Penthouse Suite』(1999年)
『A Bigger Picture』(1999年)
『Swinging London』(2000年)
『Message from the Godfather』(2001年)
『Room at the Top』(2002年)
『The Oscillator』(2003年)
『A Taste of Cherry』(2006年)
『Don't Mess With Mr. T - James Taylor Quartet Plays Motown』(2007年)
『Live at the Jazz Cafe』(2008年)
『New World』(2009年)
『The Template』(2011年)
『Closer to the Moon』(2013年)
『The Rochester Mass』(2015年)