2016年04月29日

Herbie Hancock『Lite Me Up』

HerbieがQuincyになった?ディスコ/クロスオーヴァー作品☆Herbie Hancock『Lite Me Up』
Lite Me Up
発表年:1982年
ez的ジャンル:Hancock流ディスコ/クロスオーヴァー
気分は... :時代が変われば評価も変わる?

今回はスーパー・ピアニストHerbie Hancockが1982年にリリースした『Lite Me Up』です。

これまで紹介したHancock作品は以下の10枚(録音年順)。

 『Inventions And Dimensions』(1963年)
 『Empyrean Isles』(1964年)
 『Maiden Voyage』(1965年)
 Original Soundtrack『Blow-Up』(1966年)
 『Speak Like A Child』(1968年)
 『The Prisoner』(1969年)
 『Fat Albert Rotunda』(1969年)
 『Thrust』(1974年)
 『Sunlight』(1978年)
 『Feets Don't Fail Me Now』(1979年)

本作はHerbie Hancockがディスコ/クロスオーヴァー路線の集大成として、Quincy Jonesプロデュース作品のようなコンテンポラリーな歌モノ・アルバムを目指したものです。

最大の特徴は、Quincy Jonesの右腕と呼べるソングライター/アレンジャーのRod Temperton(元Heatwave)を音楽監督に迎え、殆どのソングライティングとリズム&ヴォーカル・アレンジを彼に委ねている点です。

全8曲中、Herbie Hancock自身が6曲プロデュースし(Patrice Rushenとの共同プロデュース1曲を含む)、それ以外にJay GraydonNarada Michael Waldenが1曲ずつプロデュースしています。

レコーディングにはHerbie Hancock(key、syn、el-p、p、vo)以下、Steve Lukather(g)、Jeff Porcaro(ds)といったToto勢、David Foster(p、back vo)、Jay Graydon(g)、David Williams (g)、Corrado Rustici(g)、The Brothers JohnsonLouis Johnson(b)、Randy Jackson (b)、Michael Boddicker(syn、prog)、Frank Martin(syn)、Patrice Rushen(vocoder)、Narada Michael Walden(ds)、John Robinson(ds)、Jerry Hey (flh、tp)、Gary Herbig(sax)、Larry Williams(sax)、Bill Reichenbach (tb)、Chuck Findley (tb、tp)、)The Dr. Negroidal(tp)、Wayne Anthony(vo)等が参加しています。

さらにバック・コーラス陣もBill ChamplinPagesRichard PageLynda LaurenceSheri Payneの元 The Supremes勢、Patti AustinPaulette McWilliamsVenette GloudJim GilstrapJohn Lehman等の豪華メンバーです。

Jerry Heyがホーン&ストリングス・アレンジを務めています。

Quincy Jonesの二番煎じのようなアルバムということで、当時は評論家やジャズ系リスナーから酷評されたアルバムです。

しかし、先入観なしに聴けば、コンテンポラリーなディスコ/クロスオーヴァー作品として十分に楽しめます。ファンキーなダンサブル感とAOR/クロスオーヴァー的なコンテンポラリー感のバランスが絶妙です。何より、Rod Temperton作品がズラリと並び曲自体が実にキャッチーなのがいいですね。

シングルにもなったタイトル曲「Lite Me Up!」、Rod Tempertonらしい曲調全開の「Bomb」、ヴォコーダー好きの僕にとってはたまらない「Gettin' to the Good Part」、Narada Michael Waldenプロデュースの「Can't Hide Your Love」George Benson「Give Me The Night」調の「Motor Mouth」などキャッチーなサウンドが詰まっています。

今見直されるべきHerbie Hancock作品の1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Lite Me Up!」
Rod Temperton作。Herbie Hancockプロデュース。Steve Lukatherのギターと共に始まるコンテンポラリー感のあるファンキー・チューン。Rod Temperton起用のねらいが反映されたキャッチーなタイトル曲は、シングルにもなりました。リード・ヴォーカルWayne Anthonyを中心としたヴォーカル・ワーク、Louis Johnsonのファンキー・ベースもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=CmVVetY7cB0

「Bomb」
Rod Temperton作。Herbie Hancockプロデュース。Rod Tempertonらしい曲調全開のファンキー・ディスコ。この曲もリード・ヴォーカルはWayne Anthony。Jerry Heyを中心としたホーン隊もいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=TPdoX-6YA4U

「Gettin' to the Good Part」
Herbie Hancock/Rod Temperton作。Herbie Hancockプロデュース。Herbieのヴォコーダー・ヴォーカルによるコンテンポラリーなダンサブル・チューン。Michael Boddickerのシンセがアクセントになっています。Phil Weeks「Back in Effect」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=fCcKgEbS0BY

「Paradise」
Herbie Hancock/Bill Champlin/David Foster/Jay Graydon作。Jay Graydonプロデュース。Earth, Wind & Fire「After The Love Has Gone」パターンの制作陣で、サウンドもAOR調です。リード・ヴォーカルはHerbie Hancock本人です。Bill Champlin、Richard Page、David Fosterらによる豪華バック・ヴォーカル陣がHerbieのヴォーカルをサポートしています。
https://www.youtube.com/watch?v=_TZcJsPnAXw

「Can't Hide Your Love」
Herbie Hancock/Jeffrey Cohen/Narada Michael Walden作。Narada Michael Waldenプロデュース。キャッチーなファンキー・ディスコ。Tempertonに負けじとNarada Michael Waldenも良い楽曲・サウンドを提供しています。ここでもリード・ヴォーカルはHerbie本人。Lynda LaurenceとSheri Payneの元The Supremes勢の女性バック・ヴォーカルが盛り立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=Ss3PzMw-Usk

「Fun Tracks」
Rod Temperton作。Herbie Hancockプロデュース。Rod Tempertonらしい曲調のダンス・チューン。シンセの音色でアクセントをつけています。リード・ヴォーカルはWayne Anthony。
https://www.youtube.com/watch?v=eqwfKavKFFE

「Motor Mouth」
Rod Temperton作。Herbie Hancockプロデュース。Quincy Jonesプロデュース、Rod Temperton作のGeorge Benson「Give Me The Night」を思い出させるダンサブル・チューン。ヴォーカルはWayne AnthonyとHerbieのヴォコーダー・ヴォーカルです。
https://www.youtube.com/watch?v=KH9cIgcRqUg

「Give It All Your Heart」
Herbie Hancock/Rod Temperton作。Herbie Hancock/Patrice Rushenプロデュース。この曲もシングルになりました。HerbieとPatriceという鍵盤奏者二人のプロデュースらしいメロウ・チューンに仕上がっています。この二人のヴォコーダー・ヴォーカルによる共演というのも面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=h9MWbYfP-qo

Herbie Hancock作品の過去記事もご参照下さい。

『Inventions And Dimensions』(1963年)
Inventions & Dimensions

『Empyrean Isles』(1964年)
エンピリアン・アイルズ+2

『Maiden Voyage』(1965年)
処女航海

Original Soundtrack『Blow-Up』(1966年)
Blow Up

『Speak Like A Child』(1968年)
スピーク・ライク・ア・チャイルド

『The Prisoner』(1969年)
ザ・プリズナー

『Fat Albert Rotunda』(1969年)
ファット・アルバート・ロトゥンダ<紙ジャケット仕様>

『Thrust』(1974年)
Thrust

『Sunlight』(1978年)
Sunlight

『Feets Don't Fail Me Now』(1979年)
フィーツ
posted by ez at 13:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック