2016年05月03日

Art Farmer Quartet feat. Jim Hall『To Sweden With Love』

スウェーデン民謡に触発されたリリシズムに溢れる名盤☆Art Farmer Quartet feat. Jim Hall『To Sweden With Love
スウェーデンに愛をこめて
録音年:1964年
ez的ジャンル:北欧録音リリシズム・ジャズ
気分は... :フリューゲルホーンの美学・・・

今回は60年代ジャズからArt Farmer Quartet『To Sweden With Love』(1964年)です。

Art Farmer(本名:Arthur Stewart Farmer)(1928-1999年)はUSアイオワ州カウンシル・グラフ出身のトランペット/フリューゲルホーン奏者。

双子の弟Addison Farmerもジャズ・ベーシストでした。

Lionel Hampton楽団等の活動を経て、1953年から1954年にかけて初リーダー作『The Art Farmer Septet』のレコーディングを行っています。

1950年代後半からはHorace Silver、続いてGerry Mulliganのグループに参加しています。こうしたサイドメンとしての人気作として、当ブログでも紹介したSonny Clark『Cool Struttin'』(1958年)、Gerry Mulligan『Night Lights』(1963年)があります。

また、1950年代終わりから1960年代初めにかけてはサックス奏者Benny Golsonとの双頭ユニットJazztetを結成しています。

1968年、夫人Mechtildeとの結婚を機にオーストリア、ウィーンを拠点に活動するようになります。1999年に亡くなるまでコンスタントに作品をリリースしました。

名前や顔やアルバム名もいくつか知っているけど、実際に作品を聴くことは少ないジャズ・ミュージシャン、僕にとってのArt Farmerの存在はそんな感じかもしれません。

僕のCD棚に置いてある唯一のArt Farmerのリーダー作が『To Sweden With Love』(1964年)です。

理由は単純!ジャケのお姉さんがキュートだから(笑)

タイトルからイメージできるように、本作は1964年ツアーでスウェーデンを訪れた際に現地で耳にいたスウェーデン民謡に触発され、ストックホルムでレコーディングした作品です。

レコーディング・メンバーはArt Farmer(flh)、Jim Hall(g)、Steve Swallow(b)、Pete LaRoca(ds)です。本作からPete LaRocaが新メンバーとしてカルテットに加わっています。

この時期のFarmerはフリューゲルホーンを演奏していましたが、Farmerの美しい響きフリューゲルホーンのパートナーとしてJim Hallのギターは見事にハマっていると思います。

また、美しく、メロディアスな印象が強い本作にあって、Pete LaRocaが叩き出すリズムはへヴィな面もあり、演奏全体を引き締めてくれます。

楽曲はすべてスウェーデン民謡(1曲のみ1940年代に書かれた曲)です。基本的には美しい演奏で貫かれていますが、北欧ならではのリリシズムのようなものがあっていいですね。

Art Farmerのフリューゲルホーン奏者としての美学を存分に楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Va Da Du? (Was It You?)」
FarmerのフリューゲルホーンとJim Hallのギターのソフトな響きが印象的なオープニング。何処となくミステリアスな雰囲気を醸し出すのはスウェーデン民謡ならではのメロディのせいかもしれません。新加入のPete LaRocaのドラミングも存在感を示しています。

「De Salde Sina Hemman (They Sold Their Homestead)」
哀愁のメロディをFarmerが奏でるバラード。実にクールでスマートな感じはこのカルテットならではの魅力かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=PP1dqSI7XIk

「Den Motstravige Brudgummen (The Reluctant Groom)」
僕の一番のお気に入り。フリューゲルホーンならではのリリシズムにグッときます。夜の酒の肴には最高の1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=K9ViWUoJSyQ

「Och Hor du Unga Dora (And Listen Young Dora)」
FarmerのフリューゲルホーンとJim Hallのギターの相性の良さを実感できる軽やかな演奏です。Jim Hallのソロも存分に堪能できます。

「Kristallen Den Fina (The Fine Crystal)」
何とも寂しげなメロディが印象的なバラード。一人物思いに耽りたい気分にはピッタリな演奏です。

「Visa Vid Midsommartid (Midsummer Song)」
Rune Lindstrom/Hakan Norlen作。1946年に書かれた曲であり、本作収録曲の中では比較的新しいもの。エレガンスに疾走するワルツですが、Farmerのフリューゲルホーンの響きが実にいいですね。

今後は本作以外のArt Farmer作品もマイ・コレクションに加えていきたいと思います。でもリーダー作が膨大なので、どこから手をつけたらいいのか迷いますが・・・
とりあえずめぼしいものを挙げておきます。

『When Farmer Met Gryce』(1954–55年)
When Farmer Met Gryce

『Art Farmer Quintet』(1955年)
イヴニング・イン・カサブランカ

Art Farmer/Donald Byrd『2 Trumpets』(1957年)
2 Trumpets

『Farmer's Market』(1958年)
Farmer's Market

『Portrait of Art Farmer』(1958年)
Portrait of Art Farmer

『Modern Art』(1958年)
モダン・アート

Jazztet『Meet the Jazztet』(1960年)
ミート・ザ・ジャズテット

『Art』(1960年)
アート

Jazztet『Here And Now/Another Git Together』(1962年) ※2in1CD
Jazzplus: Here And Now + Another Git Together

『Interaction』(1963年)
インターアクション (+1)

『"Live" at the Half-Note』(1964 年)
ライヴ・アット・ザ・ハーフ・ノート

『Sing Me Softly of the Blues』(1965年)
ブルースをそっと歌って

『Yesterday's Thoughts』(1976年)
イエスタデイズ・ソウツ

『Crawl Space』(1977年)
クロール・スペース

『The Summer Knows』(1978年)
おもいでの夏

Art Farmer & Jim Hall『Big Blues』(1978年)
ビッグ・ブルース
posted by ez at 01:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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