2016年05月28日

A Tribe Called Quest『The Love Movement』

ATCQのラスト・アルバム!The Ummahの完成形☆A Tribe Called Quest『The Love Movement』
Love Movement
発表年:1998年
ez的ジャンル:The Ummah系Hip-Hop
気分は... :R.I.P. Phife Dawg

90年代イースト・コーストHip-Hopを代表するグループの1つA Tribe Called Quest(ATCQ)のラスト・アルバム『The Love Movement』(1998年)です。

Q-TipPhife DawgAli Shaheed MuhammadJarobi(1991年に脱退)によるHip-HopグループA Tribe Called Quest(ATCQ)について、これまで当ブログで紹介した作品は以下の5枚。

 『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』(1990年)
 『The Low End Theory』(1991年)
 『Revised Quest for the Seasoned Traveller』(1992年) ※リミックス集
 『Midnight Marauders』(1993年)
 『Beats Rhymes & Life』(1996年)

去る3月22日、ATCQのメンバーであったPhife Dawgの逝去しました。ATCQ好きであった僕には実に残念なニュースでした。数日前CDショップに設置されたPhife Dawgの追悼コーナーに立ち寄り、改めて寂しさが込み上げてきました。

そこで遅まきながら、当ブログで唯一未紹介であったATCQのオリジナル・アルバム『The Love Movement』(1998年)したいと思います。

本作はATCQのラスト・アルバムであり、全米アルバム・チャート第3位を記録し、商業的にも成功したアルバムです。

同時に、Q-TipAli Shaheed MuhammadJay Dee (J Dilla)によるプロデュース・チームThe Ummahのサウンド・プロダクションの完成形を示した作品として、今日再評価されているのではないかと思います。

ただし、発売当時は必ずしも全面的に絶賛されていた訳ではなかったような記憶があります。僕もリアルタイムで聴いていましたが、いいアルバムだけど少し地味かな・・・という印象だったかもしれません。

僕の場合は国内盤を購入しましたが、ボーナス・トラックも含めて全22曲(輸入盤は21曲)と、かなりボリューミーです。嬉しかった反面、全部聴き込むのも大変だなと苦笑していた記憶もあります。そのあたりでも少し損をしているかもしれません。

しかしながら、改めて聴き直せば、Jay Dee (J Dilla)好きにはたまらない1枚に仕上がっていると思います。

シングルになった「Find A Way」、Busta Rhymes/Redmanをフィーチャーした「Steppin' It Up」Q-Tip節全開の「Like It Like That」、Noreagaをフィーチャーし、Boyz II Men「Motownphilly」を引用した「Give Me」、D-Lifeをフィーチャーしたメロウな「Pad & Pen」J Dillaらしいトラックを楽しめる「Against The World」、愛のある「The Love」あたりが僕のお気に入りです。

改めて、ATCQが残してくれた素晴らしいトラック群に感謝しながら、Phife Dawgの冥福を祈りたいと思います。

全曲紹介しときやす。

「Start It Up」
J Dillaらしい乾いたリズムとThe Singers Unlimited & Patrick Williams「Sweet Georgia Brown」ネタのホーン・サウンドのループ組み合わせに、 Q-Tipの独特の鼻にかかったフロウが加わると、そこは正にATCQワールドって感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=xJWjd-IbxpE

「Find A Way」
シングルにもなった本作のハイライト。Towa Tei feat.Bebel Gilberto 「Technova」ネタのBebelのキュートな歌声のループが印象的です。ATCQらしいメロウな浮遊感を楽しめるHip-Hopクラシックですね。Tom Browne「Funkin' for Jamaica (N.Y.)」もサンプリング・ソースになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Ki7EoH31UkM

本曲はMary J. Blige「Didn't Mean」等のサンプリング・ソースになっています。Danny!によるリメイク「Check It Out」あたりもチェックすると面白いのでは?また、現行L.A.ジャズにご興味がある方ならば、Carlos Nino & Miguel Atwood-Fergusonによるカヴァーも要チェックです。
Towa Tei feat.Bebel Gilberto「Technova」
 https://www.youtube.com/watch?v=sq66jYoFx_c
Mary J. Blige「Didn't Mean」
 https://www.youtube.com/watch?v=9qgxItggdtc
Danny!「Check It Out」
 https://www.youtube.com/watch?v=ZkSDjbkfnuc
Carlos Nino & Miguel Atwood-Ferguson「Find a Way」
 https://www.youtube.com/watch?v=GR-957gyUTA

「Da Booty」
乾いたリズムとジャズ・テイストの鍵盤のループをバックに、Q-TipとPhife Dawgがスムースなフロウを聴かせてくれます。The Meters「Cissy Strut」 ネタ。
https://www.youtube.com/watch?v=SPYK2xfHNwo

「Steppin' It Up」
Busta Rhymes/Redmanをフィーチャー。Cannonball Adderley「Leo: Rosebud」をサンプリングした重低音ジャズ・ファンク・トラックをバックに、Busta RhymesやRedmanが捲し立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=cNavH_58PFk

僕の場合、サンプリング・ソース「Leo: Rosebud」が収録されたCannonball Adderley『Love, Sex, and the Zodiac Fantasy』(1974年)を昨年何度か聴きながら、"「Leo: Rosebud」って、どこかで聴いたことがあるな・・・"とモヤモヤしていたのですが、今回本曲で聴いていたことが判明し、スッキリしました(笑)

「Like It Like That」
メロウ・トラックにのったQ-Tip節全開の仕上り。甘く切ないパーティ・ソングといった儚い雰囲気がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=JM36LjjJkR0

「Common Ground (Get It Goin' On)」
J Dillaらしい不安げなシンセ音が聴こえてくるトラックが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=z4kUI9MZeo8

「4 Moms」
Spankyのギターをフィーチャーしたメロウなインスト。。定番ブレイクGraham Central Station「The Jam」ネタ。
https://www.youtube.com/watch?v=hsES-686fTo

「His Name Is Mutty Ranks」
Aswad「Not Guilty」の声ネタと共にスタートするラガ調の仕上がりです。ここではPhife Dawgがラガ。スタイルのフロウを披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=nZYwC4f27Q0

「Give Me」
Noreagaをフィーチャー。I-Level「Give Me」ネタの上モノが心地好いトラックにのって、Boyz II Men「Motownphilly」の♪Boyz II Men, ABC, BBD♪というフレーズを引用した楽しい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=rmCM-S-6iiw

「Pad & Pen」
D-Lifeをフィーチャー。前半はGap Mangione「Graduate Medley」ネタのメロウなオルガン・ループ、さらに途中からThe Gap Band「Yearning for Your Love」ネタが加わるATCQらしい浮遊トラックを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=f3q4rIOirj0

「Busta's Lament」
Feather「Goin' Through Changes」ネタのメロウ・トラックが心地好いです。途中、タイトルからイメージされるようにBusta Rhymes feat. Q-Tip「Ill Vibe」の声ネタが挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=SfAf79shRF8

「Hot 4 U」
The Sylvers「New Horizons」ネタのメロウな上モノが印象的なトラックです。

「Against The World」
乾いたビートとメロウな上モノによるJ Dillaらしいトラックがいいですね。LL Cool J「Jingling Baby」のフレーズを引用しています。
https://www.youtube.com/watch?v=tlDlFKZEnZg

「The Love」
本作のテーマである愛を歌い上げます。このトラックもJ Dilla好きはグッとくるのでは?Freddie Hubbard「Little Sunflower」(『The Love Connection』収録ヴァージョン)をサンプリング。終盤にはDoug E. Fresh & Slick Rick「La Di Da Di」 ネタも挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=fjiHhQNK7vA

「Rock Rock Y'all」
Jane Doe、Mos Def、Punch & Words(Punchline/Wordsworth)をフィーチャーし、Charles Wright & the Watts 103rd Street Rhythm Band「What Can You Bring Me?」のネタのリズム・トラックにのったマイクリレーで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=_z8TZE--Jog

裏ジャケの円型に記されている本編はココまでですが、ボーナス・トラックとして「Scenario (Remix)」「Money Maker」「Hot Sex」「Oh My God (Remix)」「Jazz (We've Got) (Re-recording Radio)」「One Two S**t」の6曲が追加収録されています。「Money Maker」以外は既発表曲です。

「Money Maker」
ピアノの音色が印象的なトラックにのってQ-Tip節を聴かせてくれます。途中James Brown「Get Up (I Feel Like Being A) Sex Machine」 、Ohio Players「Fire」等の小ネタも挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=XCUylWYe7MI

さらに国内盤には「The Night He Got Caught」が追加収録されています。

「The Night He Got Caught」
初期のジャジー&メロウなATCQとThe Ummah体制下の後期ATCQが融合したような雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=-4hv2qphM_k

A Tribe Called Quest(ATCQ)の過去記事もご参照を!

『People's Instinctive Travels And The Paths Of Rhythm』(1990年)
People's Instinctive Travels and the Pat by Jive / Sbme Europe 【並行輸入品】

『The Low End Theory』(1991年)
Low End Theory by Jive / Sbme Europe 【並行輸入品】

『Revised Quest for the Seasoned Traveller』(1992年) ※リミックス集
リヴァイズド・クエスト・フォー・ザ・シーズンド・トラヴェラー

『Midnight Marauders』(1993年)
Midnight Marauders by Jive / Sbme Europe 【並行輸入品】

『Beats Rhymes & Life』(1996年)
ビーツ,ライムズ&ライフ
posted by ez at 02:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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