2016年07月03日

Quantic Presenta Flowering Inferno『1000 Watts』

レゲエ/ダブ色を強く打ち出した最新作☆Quantic Presenta Flowering Inferno『1000 Watts』
1000 Watts [帯解説・ボーナストラック4曲収録 / 国内盤CD] (BRC514)
発表年:2016年
ez的ジャンル:レゲエ/ダブ+クンビア系ワールド・ミュージック
気分は... :堅守速攻!

昨晩のサッカーEURO2016準々決勝「ウエールズ対ベルギー」は面白かったですね。
ベルギーは何となく決勝まで行きそうな予感がしていたので、先制しながらの逆転負けは意外でした。

決勝トーナメント1回戦の「イングランド対アイスランド」も同様の展開でしたが、先制しながらも、すぐに同点に追いつかれてしまった時点で、強豪国としてのプライドが逆に焦りを生んでしまったのかもしれませんね。

金曜にはリオ五輪のサッカー日本代表18名も発表されましたね。ボランチを手厚くし、堅守速攻を選択したメンバー構成は賛否両論あるのかもしれませんが、対戦国も踏まえれば、妥当な人選という気がします。EUROを観ていて余計にそう思えてきました。

もうすぐ始まる"事実上の決勝戦"「ドイツ対イタリア」も楽しみですね。
個人的にはイタリアが勝利する予感がします。

今回は新作アルバムから人気ミュージシャンQuanticのプロジェクトの1つFlowering Infernoの最新作『1000 Watts』です。

UK出身のDJ/ミュージシャン/プロデューサーQuanticことWill Hollandに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の6枚。

 The Quantic Soul Orchestra『Stampede』(2003年)
 The Quantic Soul Orchestra『Pushin On』(2005年)
 Quantic Presenta Flowering Inferno『Death Of The Revolution』(2008年)
 Quantic & Alice Russell With The Combo Barbaro『Look Around The Corner』(2012年)
 Quantic『Magnetica』(2014年)
 Quantic Presents The Western Transient『A New Constellation』(2015年)

GW前にFlowering Inferno作品のおさらいとして『Death Of The Revolution』(2008年)を紹介しましたが、新作『1000 Watts』がリリースされましたので取り上げたいと思います。

Flowering Infernoは、Quanticがコロンビア移住後に立ち上げたワールド・ミュージック系プロジェクトであり、これまで『Death Of The Revolution』(2008年)、『Dog With a Rope』(2010年)という2枚のアルバムをリリースしています。

コロンビアでの生活にも区切りをつけ、現在は米国を拠点に活動しているQuanticですが、今でも彼がレゲエ、クンビア等のワールド・ミュージックに対して強い思いを抱いていることを確認できる1枚に仕上がっています。

特に本作ではレゲエ/ダブ色を前面に打ち出し、そこにクンビア/コロンビアン・フォルクローレのエッセンスをスパイスとして、さり気なく織り交ぜている印象を受けます。

アルバムには盟友Alice Russell、Quantic作品にはお馴染みのコロンビア人女性シンガーNidia Gongora、偉大なレゲエDJであるU-Roy、偉大なジャマイカン・シンガーAlton Ellisの息子Christopher Ellis、UKの女性レゲエ・シンガーHollie Cook(元Sex PistolsのPaul Cookと元Belle StarsのJennie Matthiasの娘)がフィーチャリングされています。

さらには70年代から数多くのレゲエ作品に参加してきたジャマイカン・ドラマーCarlton "Santa" Davis、The Mars VoltaやJack White のバンドで活躍したものの、惜しくも2014年に逝去したキーボード奏者Isaiah "Ikey" Owens、それ以外にFabian Cooke(b)、Roger Rivas(key)、Richard Ramirez(congas)、Wilson Viveros(per)、Jimetta Rose(back vo)、Sylvester Onyejiaka(clarinet、fl、ts、p)、Todd Simon(tp、flh)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

季節的にもピッタリな1枚だと思います。
こういうシブめのレゲエ/ダブ作品もたまにはいいのでは?

全曲紹介しときやす。

「Spring Tank Fire」
ダビーなオープニング。哀愁のホーン・サウンドのダビーな響きが本作を象徴しています。

「A Life Worth Living」
U-RoyとAlice Russellをフィーチャー。HollandのU-Royへのリスペクトを感じる1曲に仕上がっています。U-RoyがレゲエDJのオリジネーターらしいトースティングで盛り上げてくれます。さらにAlice Russellの女性ヴォーカルが華を添えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=hEKTyS60I2g

「Homeward Bound」
懐かしさを感じるルーツ・レゲエ・サウンドにダビーなスパイスを効かせています。

「Ikey's Vibe」
タイトルの通り、故Isaiah "Ikey" Owensのキーボードを前面に出したダビーなインスト・チューン。HollandがIkeyの早すぎる死に哀悼の意を表した1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=fRVhQt9li3w

「Shuffle Them Shoes」
Hollie Cookをフィーチャーしたルーツ・レゲエ。HollieのヴォーカルとSylvester Onyejiakaのサックスが醸し出す儚い哀愁感がたまりません。

「Dusk」
Carlton "Santa" Davisのドラミングがいいアクセントになっているインスト。

「El Disorden」
レゲエにクンビアのスパイスを効かせたダビーなインスト。Hollandならではのセンスを感じます。

「1000 Watts」
タイトル曲はChristopher Ellisをフィーチャー。Alton EllisのDNAを受け継いだChristopherが父親譲りのソウルフル・ヴォーカルで盛り上げてくれます。

「Chambacu」
Nidia Gongoraをフィーチャー。レゲエとコロンビアン・フォルクローレが融合した本曲が最もFlowering Infernoらしいと呼べるかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=d4du9dYmMs0

「Night Shade」
このインストにもレゲエとコロンビアのミクスチャー感がありますね。哀愁メロディとレゲエのリズムの組み合わせがクセになります。
https://www.youtube.com/watch?v=cwMqLDdvMRg

「Macondo」
Daniel Camino Diez作。コロンビアン・フォルクローレのリメイク。中盤ではHollandのアコーディオンが盛り上げてくれます。コロンビアン・フォルクローレにダブのエッセンスを織り交ぜるセンスこそがFlowering Infernoですね。

「Flowering Theme」
気取らない雰囲気のルーツ・レゲエ・サウンドが心地好いですね。ボーッと過ごしたいときにフィットしそうなインストです。

「Striding On Grand St」
このインストも軽快なリラックス感があります。あえてノスタルジックな雰囲気を醸し出しているのもHollandの狙いなのでしょうね。

「All I Do Is Think About You」
ラストはStevie Wonder『Hotter than July』(1980年)収録の名曲「All I Do」をカヴァー(Stevie Wonder/Clarence Paul/Morris Broadnax作)。Christopher Ellisをフィーチャーした、このStevieの名曲カヴァーが本作のハイライトかもしれませんね。「All I Do」のオリジナルが収録された『Hotter than July』にはレゲエ調のヒット・シングル「Master Blaster (Jammin')」が収録されていましたが、本ヴァージョンは「All I Do」と「Master Blaster (Jammin')」を掛け合せたような雰囲気があります。美しいストリングスも効果的です。

国内盤には「A Life Worth Living (Far East Dub)」「1000 Watts (Far East Dub)」「Chambacú (Far East Dub)」「All I Do Is Think About You (Far East Dub)」という4曲のダブ・ヴァージョンが追加収録されています。

Flowering Inferno名義の過去作品やQuantic関連の他作品もチェックを!

Quantic Presenta Flowering Inferno『Death Of The Revolution』(2008年)
Death Of The Revolution [日本語解説付き国内盤] (BRTRU163)

Quantic Presenta Flowering Inferno『Dog With a Rope』(2010年)
Dog With A Rope [ボーナストラック2曲・日本語解説付き国内盤] (BRC-262)

The Quantic Soul Orchestra『Stampede』(2003年)
Stampede

The Quantic Soul Orchestra『Pushin On』(2005年)
Pushin On (TRUCD074)

The Quantic Soul Orchestra with Spanky Wilson『I'm Thankful』(2006年)
I'm Thankful

The Quantic Soul Orchestra『Tropidelico』(2007年)
Tropidelico (TRUCD139)

Quantic『The 5th Exotic』(2001年)
The 5th Exotic

Quantic『Apricot Morning』(2002年)
Apricot Morning (TRUCD034)

Quantic『Mishaps Happening』(2004年)
Mishaps Happening

Quantic『An Announcement to Answer』(2006年)
An Announcement to Answer (TRUCD100)

The Limp Twins『Tales From Beyond the Groove 』(2003年)
Tales from Beyond the Groove (TRUCD057)

Quantic & His Combo Barbaro『Tradition in Transition』(2009年)
Tradition in Transition (TRUCD190)

Quantic & Alice Russell With The Combo Barbaro『Look Around The Corner』(2012年)
Look Around The Corner [解説付 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC325)

Ondatropica『Ondatropica』(2012年)
Ondatropica

Quantic『Magnetica』(2014年)
Magnetica [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC415)

Quantic Presents The Western Transient『A New Constellation』(2015年)
A NEW CONSTELLATION [帯解説・ボーナストラック収録] (BRC477)
posted by ez at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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