発表年:2016年
ez的ジャンル:実力派ソングライター系男性R&B
気分は... :われは主にみな捧ぐ・・・
今回は新作R&Bから実力派R&Bシンガー・ソングライターGordon Chambersの4thアルバム『Surrender』です。
1969年、N.Y.ブロンクス出身の男性R&Bシンガー・ソングライターGordon Chambersの紹介は、1stアルバム『Introducing Gordon Chambers』(2005年)、3rdアルバム『Sincere』(2011年)に続き3回目になります。
90年代以降のR&Bシーンで名ソングライターの地位を確立してきたGordon Chambersですが、彼のソロ・アルバムには流行に左右されないR&Bの良さが詰まっているのが魅力です。
本作『Surrender』にも楽曲の良さが栄えるオーソドックスながらも聴き応え十分のR&B作品に仕上がっています。
Gordon Chambers本人以外に、Trey Songz作品を手掛けたことで知られるSteff Reed(Steffon Reed)、名プロデュース・チームThe Charactersの一員としても知られるTroy Tayler、新進アーティストJamal Brookins前作でもプロデュースを手掛けていたDarien Dorsey、Luke Witherspoon、Kenny Garrettのグループ等で活躍したキーボード奏者Shedrick Mitchellがプロデュースを手掛けています。
また、Eric Roberson、Lalah Hathawayといった実力派シンガーや、女性ゴスペル・シンガーAyana George、フィラデルフィアのネオ・ソウル系の女性シンガーCarol Riddickといったゲストがフィーチャリングされています。
Gordon Chambers自身の作品に加え、プロデューサー陣の楽曲、Stephen Bishopのヒット曲カヴァー「It Might Be You」、有名な讃美歌「I Surrender All」を取り上げたりしています。
アルバム全体としては、従来のアルバム以上にゴスペル・フィーリングが強くなっているのが特徴かもしれません。。
個人的には名ソングライターGordonの楽曲の良さを実感できる「The Diamond Inside」、「Back to Love」、「Imaginary Lover」あたりがおススメです。故Whitney Houstonに捧げた「My Way (Whitney Houston Tribute)」も印象的です。
安定感のあるオトナのR&Bアルバムをどうぞ!
全曲を紹介しときやす。
「The Diamond Inside」
Gordon Chambersプロデュース。名ソングライターらしい楽曲の良さが際立つメロウ&スムースなオープニング。奇をてらわないオーソドックス感が逆にいいですね。
「I Made It」
Eric Roberson & Steff Reedをフィーチャー。Steff Reedはプロデュース&ソングライティングも手掛けています。哀愁のメロディをエモーショナルに歌い上げるミディム・バラード。
「It Might Be You」
Troy Taylerプロデュース。Stephen Bishopが歌ってヒットした映画『Tootsie』(1992年)の主題歌(Marilyn Bergman/Alan Bergman/Dave Grusin作)をカヴァー。オリジナル自体が大好きだったので嬉しいカヴァーです。オリジナルの素敵なメロディを活かしつつ、ヴォーカル・ワークをはじめ、オトナのR&Bらしいメロウ&スムースな魅力を加味したグッド・カヴァーに仕上がっています。
「I'll Never Forget It」
Jamal Brookinsプロデュース&ソングライティング。新進アーティストに機会を与えたいというGordonの計らいのようです。メロディの良さが栄えるオーセンティックなバラードです。
「Back to Love」
Lalah Hathawayをフィーチャー。ベテラン二人によるジワジワと高揚してくるオトナのミディアム・グルーヴに仕上がっています。Darien Dorseyプロデュース。
「Unconditional」
Darien Dorseyプロデュース。安定感の哀愁ミディアム。聴き重ねるほどに味わいが増してくるバラードです。
「My Way (Whitney Houston Tribute)」
Gordon Chambersプロデュース。タイトルの通り、故Whitney Houstonに捧げた曲です。かつてWhitney作品をプロデュースしたこともあるGordonですが、彼にソロ・シンガーとしてのレコーディングを強力に勧めてくれたのがWhitneyだったようです。天国のWhitneyへ届くかのように美しいバラードをGordonが歌い上げます。
「Love And Help Somebody」
Luke Witherspoonプロデュース。ソングライティングはLuke WitherspoonプとKenyan Penceal。女性ゴスペル・シンガーAyana Georgeをフィーチャーしたゴスペル調の厳かな仕上がり。
「Imaginary Lover」
フィラデルフィアのネオ・ソウル系の女性シンガーCarol Riddickをフィーチャー。名ソングライターの面目躍如!といった感じの素敵なラブ・バラード。オーセンティックだからこそ楽曲の良さが栄えます。CarolとGordonの息の合った掛け合いもグッド!Gordon Chambersプロデュース。
「One Voice」
Gordon Chambers作品のお楽しみ、かつて有名アーティストに提供した楽曲のセルフ・カヴァー。今回はBrandy『Never Say Never』(1998年)で歌われた楽曲(Gordon Chambers/Phil Galdston作)をカヴァー。Brandyのオリジナルは楽曲自体は良かったもののDavid Fosterによるオーヴァー・プロデュースが少し気に入らなかったので、このセルフ・カヴァーがこの曲の本来の姿という気がします。Steff Reedが手掛けたヴォーカル・プロダクションが素晴らしいの一言です。Gordon Chambers/Shedrick Mitchellプロデュース。
「Circle Of Love」
「One Voice」と同じくPhil GaldstonとGordonの共作。この曲も名ソングライターに相応しい素敵なメロディの感動バラードです。
Gordon Chambersプロデュース。
「I Surrender All」
ラストは有名な讃美歌で締め括ってくれます。われは主にみな捧ぐ・・・。Shedrick Mitchellプロデュース。
「Dreaming」
国内盤ボーナス・トラック。Jamal Brookinsプロデュースによるダンス・チューン。本編の印象とは全く異なるアップ・チューン。本編とのギャップを楽しめます。
Gordon Chambersの他作品もチェックを!
『Introducing Gordon Chambers』(2005年)
『Love Stories』(2007年)
『Sincere』(2011年)