録音年:2016年
ez的ジャンル:USフューチャー・ソウル
気分は... :ネオ・ソウル×今ジャズ!
今回は新作アルバムからUSフューチャー・ソウル作品The Love Experiment『The Love Experiment』です。
The Love ExperimentはリーダーのCharles Burchellを中心に2010年ボストンで結成。メンバーの多くはバークリーなどでジャズを学んでいたようです。
ライナーノーツによれば、現在のメンバーはCharles Burchell(ds、syn)、Kim Mayo(vo)、Parker McAllister(b)、Andrew Burglass(g)、Jessi Lee(ss、as、syn、back vo)、Devon Dixon Jr.(key、vocoder)、Malcolm Campbell(p、el-p、syn)、Gabo Lugo(per、mixing、production etc)の8名。ただし、ジャケのクレジットとは若干異なっているので注意を。
一応、デビュー・アルバムと銘打っていますが、実際は全9曲入り(実質6曲)のオリジナル仕様に国内盤向けボーナス・トラック4曲を加え、アルバムとしての体裁を整えたものになっています。
彼ら自身はソウル・バンド+エレクトリックなフューチャー・ソウル・サウンドを目指しているようです。
確かに聴いてみると、リード・ヴォーカルKim Mayoの歌声やメロウな鍵盤サウンドはErykah BaduやKINGあたりをイメージさせます。
また、J DillaをはじめとするHip-Hopからの影響を感じるトラックや、ジャズをベースとするメンバーが多いせいかRobert Glasper Experiment的な"今ジャズ"のエッセンスを感じる演奏もあります。
このネオ・ソウル×今ジャズ的な感覚が魅力の1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Prelude」
美しいソロ・ピアノによるイントロ。
「Slow」
メロウ&ドリーミーなエレクトリック・ソウル。この浮遊するドリーミー感はKINGあたりに通じるものがあります。
「School Girl」
ジャズ・フィーリングのあるネオ・ソウル。コケティッシュなKimのヴォーカルは初期Erykah Badu好きの人は気に入るはず!
「Heejin's Theme」
ストリングスを配したビューティフルなインスト。
「Friends」
N.Y.のラッパーJ Swissをフィーチャー。Chopped & Screwedを意識したトラックなのだとか。彼らのHip-Hop的センスを楽しめる1曲です。
「Interlude」
幻想的なイントロ。
「Waiting」
メロウ・エレピをバックに、Kimが少しレイジーな語り口で歌い上げるミディアム・テンポのネオ・ソウル。
「Beautiful」
Charlesの緩急をつけたドラミングが魅力の1曲。Robert Glasper Experiment『Black Radio』シリーズがお好きな人は気に入るであろうJazz The New Chapter的な1曲。
「Outro」
美しいピアノ&ストリングスと共に本編は幕を閉じます。
ここからは国内盤ボーナス・トラック4曲です。
「Love Experiment Jam (Tehbis Flip)」
グループ演奏にロンドンのビートメイカーTehbisが手を加えたもの。彼らのサウンドとHip-Hopとの相性の良さを感じます。
「Friends Re: Construction」
「Friends」の再構築ヴァージョン。再構築ということですが、コチラの方がオリジナルで、それを発展させたのが本編という印象を受けます。
「Theme & Variation」
Malcolm CampbellのピアノとCharles Burchellのドラムのみの演奏。小曲ですが、Robert Glasper的な雰囲気があります。
「Want Your Love (JPN Mix)」
キャッチーという点ではコレが一番かも?ジャズ・ファンク・サウンドにフューチャー・ソウル的なエッセンスが加わっているのがいいですね。
YouTubeには早くも新曲「Everywhere」のPVがアップされていました。これからの活動も楽しみなグループです。
「Everywhere」
https://www.youtube.com/watch?v=yDJuoN9129g
今回紹介されたThe Love Experimentも非常に興味深いものでした。
疑問に思っていたのですが、どうやってこのような幅広い音楽やセンスの良い音楽を見つけてらっしゃるのですか。
ありがとうございます。
The Love Experimentは今の時代らしいユニットで刺激されますね。
僕の場合、新しい音源はCDショップやショップのWEBサイトを定期チェックする程度で特別なことはしていません。ただし、常に情報よりも自分の感性を大切にしています。
あとジャンルの幅は、それなりの年齢なので年月がこのような音楽嗜好にしたのだと思います。普通は自分の好きなジャンルを決めて、そこを深堀りする人が多いと思います。一方、僕の場合、ジャンルを決めず「広く浅く」というスタイルで約35年洋楽を聴いてきた結果が今の状況です。ポジティブに捉えれば、聴き方に柔軟性があるのだと思います。柔軟性があるから、新しい音を探す労力を惜しまないと勝手に思っています(笑)
幸運だったのは、今日のような音楽ジャンルが確立した80年代後半から90年代初めをリアルタイムで過ごしたので、感覚的に各ジャンルの拡がりを体系的に把握できた点です。同時に、そのために一定の時間・労力とお金を費やす余裕がたまたまあったことだと思います。今と違い、足繁くショップ等に通わないと情報が入手できなかったので。
今振り返っても、80年代後半から90年代初めのアノ時代は刺激的だったなぁ、と思います。
まとまりのない話でスミマセン。
私は、まだまだ知識不足ですのでez様の解説から、プロデューサーや参加ミュージシャンなどを辿って新しい音楽との出会いをさせてもらっていました。
私もez様のような柔軟性を持って音楽を聞いて歳を重ねたいと考えています。
最後に個人的な要望で申し訳ないのですが、これからもセンスの良い音楽を紹介していただくと嬉しいです。
ありがとうございます。
これからもお気軽にお立ち寄りください。
そして、音楽生活を自由に楽しんでくださいね。
音楽は人生の良きスパイスだと思います。