発表年:2008年
ez的ジャンル:セルフ・コンテインド男性R&Bグループ
気分は... :強くなる!
今回は男性R&BグループMint Conditionの5thアルバム『E-Life』(2008年)です。
Stokley Williamsを中心としたミネアポリス出身のセルフ・コンテインド男性R&BグループMint Conditionの紹介は、『Definition Of A Band』(1996年)、『Livin' The Luxury Brown』(2005年)に続き3回目となります。
自分たちのレーベルCaged Birdを立ち上げた彼らが、『Livin' The Luxury Brown』(2005年)に続くアルバムとしてリリースしたのが本作『E-Life』(2008年)です。
本作におけるメンバーは前作と同じくStokley Williams、Ricky Kinchen、Jeffrey Allen、Lawrence Waddell、O'Dellの5名。Keri Lewisが抜け、5人体制となってから2枚目のアルバムとなります。
それ以外に元Robert Glasper ExperimentのドラマーChris Daveがサポート・メンバーとして参加し、Anthony Hamilton、Phonte(The Foreign Exchange)、Ali Shaheed Muhammad(元ATCQ)がゲスト参加しています。
前作『Livin' The Luxury Brown』(2005年)と同じくミディアム〜スロウ中心の構成のため派手さはありませんが、Mint Conditionにしか創ることができないR&Bワールドを見事に構築しています。
Anthony Hamiltonとの意外な共演「Baby Boy, Baby Girl」をはじめ、、「Goldigger」、「Nothing Left to Say」、「Right Here」といったStokley Williamsの自信のみなぎった曲が僕のオススメです。
あと、本作で忘れていけないのが「Why Do We Try」。音楽シーンに大きなインパクトを与えた衝撃作Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)でStokley Williams本人をフィーチャーしてカヴァーされた楽曲のオリジナルです。
『Black Radio』録音時のRobert Glasper Experiment(RGE)のドラマーが本作のサポート・メンバーChris Daveであり、StokleyとChris Daveの仲がRGEのカヴァーを生み出したといえるでしょう。
その意味でJazz The New Chapter好きの人はChris Dave参加の「Why Do We Try」、「Somethin'」の2曲をチェックするのも楽しいと思います。
楽曲はすべてメンバーのオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「Baby Boy, Baby Girl」
Anthony Hamiltonをフィーチャー。Stokleyの少年っぽさの残るヴォーカルとHamiltonの激シブ・ソウル・ヴォーカルは水と油のような印象を受けますが、その2人が見事に融合したサザン・ソウル風のミディアム・バラードに仕上がっています。実際はStokleyの方がHamiltonより年上というが笑えますが。
https://www.youtube.com/watch?v=cHlvpK4buMk
「Somethin'」
Phonteをフィーチャー(ここではThe Foreign ExchangeではなくLittle Brotherのメンバーとしてクレジットされています)。Chris Daveがた叩き出す軽やかなリズムが牽引するメロウ・グルーヴ。少しトロピカルな雰囲気も漂うのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1fQhmiUmoxQ
「Just Can't Believe」
Stokleyの少年っぽいハイトーン・ヴォーカル全開のスロウ。このスタイルをここまで極めてくるとかなりの個性ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2R_zlv5-XuU
「Goldigger」
ハーモニカの音色が印象的になミディアム・バラード。StokleyとRickyによるこのグループらしいヴォーカル・ワークを堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=20vDDpwO6wA
「Gratitude」
Raphael Saadiqあたりに通じるグルーヴ感が心地好い1曲・派手さはありませんが、ジワジワくる感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=RGdEfD49Q6M
「Nothing Left to Say」
Stokleyがヴォーカル、演奏すべてをこなした絶品ミディアム・バラード。アルバムからの2ndシングルにもなりました。スティール・パンの音色がいいアクセントになっていますね。Stokleyの才能が凝縮された1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=RMHHVtOwAgs
「Right Here」
美メロ・バラード。「Nothing Left to Say」と本曲の二連発はかなり強力です。この2曲ばかりリピートしてしまう方も多いのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=VqRpJ_wl8W8
「E-Life」
タイトル曲はインタールード的な小曲。
「Why Do We Try」
Ali Shaheed Muhammadをフィーチャー。前述のように、Robert Glasper Experiment『Black Radio』でカヴァーされた楽曲のオリジナル・ヴァージョンです。ここでのChris Daveのドラミングは既に『Black Radio』的で非常に興味深いです。
https://www.youtube.com/watch?v=hO8DhIqu6Jk
Stokley本人をフィーチャーしたRobert Glasper Experimentヴァージョンと聴き比べると楽しいと思います。
Robert Glasper Experiment「Why Do We Try」
https://www.youtube.com/watch?v=GekMtAxxYjI
「Back and Forth」
セルフ・コンテインド・グループらしいグルーヴが伝わってくる1曲。派手さはないけど、こういうの好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=qbliyLcHiLk
「Moan」
セクシーな味わいのミディアム・バラード。この味わいはMint Conditionでなければ出せないのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=wm5HNQAgbds
「Queen of Come Here Go Away」
しっとりと聴かせるメロウ・バラード。甘く切ない雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=tkjURLAF-dY
「Wish I Could Love You (Pimp Juice)」
スパニッシュ・テイストの哀愁ミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=uxY_jD2pDKs
「Baby Boy Baby Girl(Single Version)」
ラストはオープニングを飾った「Baby Boy Baby Girl」のシングル・ヴァージョン(アルバムからの1stシングル)。こちらはAnthony Hamiltonはフィーチャーされていません。
国内盤CDにはボーナス・トラックとして、「Friend Request」、「Can You Be The One」の2曲が追加収録されています。
Mint Conditionの他作品もチェックを!
『Meant to Be Mint』(1991年)
『From the Mint Factory』(1993年)
『Definition Of A Band』(1996年)
『Life's Aquarium』(1999年)
『Livin' The Luxury Brown』(2005年)
『7』(2011年)
『Music at the Speed of Life』(2012年)