2016年10月06日

Sonzeira『Tam Tam Tam Reimagined』

Gilles Petersonのブラジリアン・プロジェクト第2弾☆Sonzeira『Tam Tam Tam Reimagined』
Tam Tam Tam Reimagined [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRBW154)
発表年:2016年
ez的ジャンル:Gilles Peterson系ブラジリアン・プロジェクト
気分は... :時空を超えて!

新作アルバムから、人気DJ、Gilles Petersonによるブラジリアン・プロジェクトSonzeiraの第2弾『Tam Tam Tam Reimagined』です。

2014年のブラジルW杯に合わせてリリースされたSonzeiraの第1弾アルバム『Brasil Bam Bam Bam』は当ブログでも紹介済みです。

『Brasil Bam Bam Bam』では、Nana VasconcelosElza SoaresWilson Das NevesSeu JorgeMarcos ValleLucas Santtana等のブラジル人ミュージシャンをはじめ、Seun KutiGiovanca等の多彩なミュージシャンがフィーチャリングされ、大きな話題となりました。

第2弾となる『Tam Tam Tam Reimagined』は、Gillesがリスペクトするブラジルのレア盤Jose Prates『Tam... Tam... Tam...!』(1958年)の音源を再構築した作品です。

Jose Prates『Tam... Tam... Tam...!』(1958年)は、モダン・アフロ/フォルクローレ・ブラジリアンの逸品として再評価が高まった1枚であり、Jorge Benの名曲「Mas Que Nada」の原曲「Nana Imboro」が収録されていることでも知られていり作品です。2014年のCD化に際しては、Gilles自らが尽力しました。

Jose Prates『Tam... Tam... Tam...!』(1958年)
Tam ..tam...tam!
Jose Prates「Nana Imboro」
 https://www.youtube.com/watch?v=9-l_8BurV_4

本作のジャケにもオリジナルに対するオマージュぶりが反映されていますね。

『Tam Tam Tam Reimagined』にはGilles Petersonに加え、『Brasil Bam Bam Bam』でも共同プロデュースを務めたRob GallagherKassinも関与しています。

GallianoTwo Banks Of Fourでお馴染みのRob Gallagherは、当ブログでも紹介した最新プロジェクトThe Diabolical Libertiesで健在ぶりを示してくれました。

Kassin(Alexandre Kassin)は、a href="http://eastzono.seesaa.net/article/296789217.html">Domenico、Moreno Veloso(Caetano Velosoの息子)との + 2プロジェクトで知られる気鋭のブラジル人ミュージシャンですね。

また、本作のキーマンとなるのがプロデュースを務めるWill Horrocks。彼はSi WilliamsとのユニットL.V.やL.V.のサイド・プロジェクトSwamiMillionでも知られる気鋭ミュージシャンです。

それ以外にロンドンの気鋭ジャズ・ドラマーMoses Boyd、同じく期待の若手ベーシストDaniel Casimirといったミュージシャンが参加しています。
※ネットではDaniel Casimirを同名異人のフレンチ・コンテンポラリー界で注目を集める白人トロンボーン奏者と混同している情報が目立ちますが、コチラのDaniel Casimirは黒人ダブル・ベース奏者です。

『Brasil Bam Bam Bam』がブラジル音楽ファン向けの作品であったのに対して、本作は完全にUKクラブミュージック好きの作品に仕上がっています。

Jose Prates『Tam... Tam... Tam...!』に敬意を払いつつ、あくまで音源を素材として用い、先鋭的なUKクラブミュージックとして再構築しています。そのあたりは、「Milesが今生きていれば、こんな音を創造するのでは?」とMilesの音源を素材として割り切り、再構築したMiles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』と共通しています。

UKクラブミュージックという意味では、辺境ベースの傑作Clap! Clap!!『Tayi Bebba』あたりにも通じる魅力があるかもしれません。

また、Moses BoydDaniel Casimir参加曲にはUK今ジャズ的なプレイも楽しめます。

それなりにリスナーを選ぶ作品かもしれませんが、Gilles Peterson好きの人であれば納得の1枚でしょう。

全曲紹介しときやす。

「O Que Voce Sabe」
レトロ・フューチャー感のあるエキゾチックなアフロ・ブラジリアンでアルバムは幕を開けます。

「Maos A Obra」
Moses Boydをフィーチャー。先鋭的なアッパー感は、Rob Gallagherの最新プロジェクトThe Diabolical Libertiesの雰囲気に近いかもしれません。

「Aves de Leme」
Daniel Casimirをフィーチャー。彼のダブル・ベースによるジャズのエッセンスを加えたサンバ・グルーヴが心地好いです。

「O Baixo Do Kassim」
Kassinをフィーチャー。Kassinらしいエレクトリック感で楽しませてくれます。レゲエ/ダブっぽい雰囲気もあります。

「Nos Precisamos de Voce」
Moses Boydをフィーチャー。Moses Boydが現代ジャズ・ドラマーらしいドラミングでオリジナル音源に新たな息吹を吹き込みます。

「Nao Ha Sol」
アフロ・ブラジリアンのダークな雰囲気を強調した再構築となっています。

「Encurralado」
このプロジェクトらしい素材の調理法を楽しめる1曲。今時のUKクラブミュージックらしい1曲に仕上がっています。

「Nana Nada」
Moses Boydをフィーチャー。「Mas Que Nada」の原曲「Nana Imboro」の再構築。「Mas Que Nada」の原点の再構築としても楽しめますし、Moses Boydの今ジャズ的プレイとUKクラブミュージックの融合という意味でも楽しめます。

「Do Rio Para o Chi」
トロピカルなUKクラブミュージックという意味では、辺境ベースの傑作Clap! Clap!!『Tayi Bebba』あたりぶ通じるものがあるかもしれません。

「Samba de Piramide」
サンバのリズムにエキゾチックなエッセンスを加味した仕上がり。フューチャー・エスニックな音世界を楽しめます。

「Samba de Retorno」
ラストは『Tam... Tam... Tam...!』がリリースされた1958年から2030年位へ一気にタイムスリップしたようなフューチャリスティック・サウンドで締め括ってくれます。最後に少しだけ2016年に戻って来てくれますが。

本作とは全く雰囲気が異なりますが、Sonzeiraの第1弾『Brasil Bam Bam Bam』(2014年)もチェックを!

『Brasil Bam Bam Bam』(2014年)
Brasil Bam Bam Bam

Brownswood RecordingsからリリースされたL.V.の2ndアルバム『Ancient Mechanisms』(2015年)あたりをチェックするのも楽しいでは?

L.V.『Ancient Mechanisms』(2015年)
Ancient Mechanisms
posted by ez at 02:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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