2016年10月10日

Jason McGuiness『Empyrean Tones』

L.A.ジャズ人脈を駆使した今ジャズ作品☆Jason McGuiness『Empyrean Tones』
EMPYREAN TONES
発表年:2016年
ez的ジャンル:L.A.ジャズ
気分は... :あり得ない!

連休なので2日連続で新作を紹介したいと思います。

セレクトしたのはL.A.ジャズの新作Jason McGuiness『Empyrean Tones』です。

Jason McGuinessはミュージシャンのバックグラウンドも持たないものの、L.A.のジャズ・ミュージシャンと交流を持ちながら一人でビートを作りを始めたらしいです。

2014年にはWhitfield-Strong(Norman Whitfield/Barrett Strong)作品をカヴァーした初EP『Masterpiece EP: A Whitfield/Strong Tribute』をリリースしています。さらに2016年にはシングル「We Could Be/Empyrean Tones」をリリース。「Empyrean Tones」ではジャズ・トランぺッターKeyon Harroldをフィーチャーしています。

少し脱線すると、Keyon Harroldは今最も旬なトランぺッターの一人かもしれませんね。これまでもR&BやHip-Hopの話題作に参加し、今年に入ってもOriginal Soundtrack『Miles Ahead』Dr. Lonnie Smith『Evolution』 、Gregory Porter『Take Me To The Alley』Terrace Martin『Velvet Portraits』といった作品に参加しています。当ブログで紹介した作品であれば、Joss Stone『Colour Me Free』(2009年)、John Stoddart『Faith, Hope, Love』(2010年)、Derrick Hodge『Live Today』(2013年)に参加しています。

話をJason McGuinessに戻すと、前述のEP/シングルをベースに、彼のL.A.ジャズ人脈を活かして作り上げたアルバムが本作『Empyrean Tones』です。

アルバムには前述のKeyon Harrold(tp)をはじめ、L.A.ジャズのトップ・ミュージシャンKamasi Washington(sax)、
L.A.ジャズにすっかり根付いてきた、かつての"西ロンドンのHerbie Hancock"Mark De Clive-Lowe(key、org)、Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』にも参加していたBrandon Owens(b)、デトロイトのジャズ・レーベル。ブラック・ジャズの伝説的レーベルTribeの設立者の一人であるPhil Ranelin(tb)、『Seasons』(2013年)で一躍有名になったDexter Story(key)、売れっ子トランぺッターTodd Simon(tp)Te'amir Sweeney(ds)、L.A.のファンク・ユニットBreakestraの男性ヴォーカリストMixmaster Wolf(vo)、Sylk Black(vo)、Herb Larkins (vo)、Taurus Hamilton(vo、g)、Bobby Easton(vibe、b)、L.A.のアフロ・ファンク・バンドJungle Fire等のミュージシャンが参加しています。

全8曲中、5曲がWhitfield-Strong(Norman Whitfield/Barrett Strong)作品のカヴァー、しかも4曲はThe Temptationsのカヴァーという偏りはありますが、Jason McGuinessのプロデュース・センスを感じるL.A.ジャズ作品に仕上がっています。

テンプス・カヴァーの多さに象徴されるように、ソウルフルな味わいが強い1枚です。ただし、そこにブラック・ジャズやHip-Hopを経由した今ジャズのフィーリングが加わり、今のL.A.ジャズらしい演奏を楽しむことができます。今ジャズの肝はドラミングだと思いますが、本作でも殆ど曲でドラムを叩くTe'amir Sweeneyのビートが重要な役割を果たしていると思います。

今ジャズ、L.A.ジャズ好きのもならず、レア・グルーヴ好きの人あたりも、かなりハマる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Empyrean Tones」
Keyon Harroldをフィーチャーしたシングル曲(Jason McGuiness/Keyon Harrold作)。Te'amir SweeneyとBrandon Owensによる今ジャズらしいリズム隊がKeyon Harroldのトランペット・ソロを引き立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=M9PCHDRIJ5M

「We Could Be」
HighScience Project名義のシングル曲(HighScience Project/Jason McGuiness/R. Wansley作)。J Dilla的なTe'amir Sweeneyのドラミングが牽引するヴォーカル曲。ソウルフルですが、しっかり今ジャズしています。

「Nascent」
Jason McGuiness/Phil Ranelin作。伝説のブラック・ジャズ・マンPhil Ranelinをフィーチャー。Mark De Clive-Loweも参加しています。"今ジャズ"的ブラック・ジャズ・サウンドを楽しめます。MDCLの鍵盤が効いています。

「Papa Was A Rolling Stone」
Whitfield-Strong(Norman Whitfield/Barrett Strong)作品のカヴァー1曲目(『Masterpiece EP: A Whitfield/Strong Tribute』収録曲)。The Temptations、1972年の大ヒット曲のカヴァー。Kamasi Washington参加曲。テンプス名曲をヴィンテージ・ソウルと今ジャズが融合したソウルフル"L.A.ジャズ"で格好良くキメてくれます。個人的には本作のハイライト。

「Smiling Faces Sometimes」
Whitfield-Strong(Norman Whitfield/Barrett Strong)作品のカヴァー2曲目(『Masterpiece EP: A Whitfield/Strong Tribute』収録曲)。The Undisputed Truth、1971年のシングル曲のカヴァー。「Papa Was A Rolling Stone」と同路線のソウルフル"L.A.ジャズ"です。派手さはないけど、コクのあるブラック・フィーリングがいいですね。

「Cloud Nine」
Whitfield-Strong(Norman Whitfield/Barrett Strong)作品のカヴァー3曲目(『Masterpiece EP: A Whitfield/Strong Tribute』収録曲)。The Temptations、1968年のヒット曲のカヴァー。この演奏もソウルフルな臨場感がいいですね。Te'amir Sweeneyのドラミングがいいですね。

「Discipline」
Jason McGuiness/Bobby Easton作。Te'amir Sweeneyのドラミングが叩き出すHip-Hop的なビートとヴァイヴ音色の織り成す独特の雰囲気がいいですね。

「I Need You」
ConSoul名義。Whitfield-Strong(Norman Whitfield/Barrett Strong)作品のカヴァー4曲目。The Temptationsのカヴァー。ソウル・バンド的な魅力のある演奏です。

「Ball Of Confusion」
ConSoul名義。Whitfield-Strong(Norman Whitfield/Barrett Strong)作品のカヴァー5曲目。The Temptations、1970年のヒット曲のカヴァー。レア・グルーヴ好きの人が喜びそうな演奏ですね。ブラック・フィーリングたっぷりの演奏は文句なしに格好良いです。

NFLは早くも第5週。
我がドルフィンズは開幕ダッシュに失敗しましたが、このあたりから巻き返して欲しいですね。
posted by ez at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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