発表年:2016年
ez的ジャンル:音響系ブラジリアン・インディ・ポップ
気分は... :楽園は何処に・・・
今回は新作からブラジリアン・インディ・ポップ作品Fernando Temporao『Paraiso』です。
Fernando Temporaoはリオ出身の男性シンガー・ソングライター。
本作『Paraiso』は『De Dentro Da Gaveta Da Alma Da Gente』(2013年)に続く2ndアルバムとなります。
プロデュースは前作に続きAlexandre Kassin。Kassinといえば、Moreno Veloso、Domenico Lancellottiとの+2ユニットで知られる現在ブラジル音楽の重要ミュージシャンです。
最近も当ブログでKassinが参加した+2ユニット作品、Moreno + 2『Maquina de Escrever Musica』(2002年)を紹介したばかりです。
レコーディングにはFernando Temporao(vo、g)、Alexandre Kassin(g、winds、syn、per)、Domenico Lancellotti(ds、per)、Joao Donatoの息子Donatinho(key、syn、p、org)、Alberto Continentino(b)、Jaques Morelenbaum(cello)、Marcelo Jeneci(accordion)等が参加しています。
Kassin、Domenico以外であれば、ベーシストのAlberto Continentinoにも注目です。当ブログで紹介した作品でいえば、Adriana Calcanhotto『Mare』(2008年)、Adriana Maciel『Dez Cancoes』(2008年)、Cris Delanno & Alex Moreira『Nosso Quintal』(2012年)、Maria Rita『Coracao a Batucar』(2014年)にAlberto Continentinoの名がクレジットされています。
アルバム全体は、新世代ブラジル音楽らしいブラジリアン・インディ・ポップに仕上がっています。新世代ブラジル音楽らしいセンスとポップな聴きやすさのバランスが魅力の1枚だと思います。
全曲Fernando Temporaoのオリジナルですが、曲によってCesar Lacerda、Thiago Camelo、Bruno Di Lullo、Ava Rochaといった共作者も加わっています。
個人的には今年はなかなかブラジル音楽の新作をチェックできず、少しフラストレーションになっていましたが、その気持ちを晴れやかにしてくれる充実作だと思います。
Kassin、Domenico、Morenoの+2ユニット好きの方もぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Danca」
Fernando Temporao作。インディ・ロックなオープニング。Marcelo Jeneciのアコーディオンがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=XQA5EpCNwzQ
「Paraiso」
Fernando Temporao/Ava Rocha作。タイトル曲は女性SSW、Ava Rochaとの共作。タイトルを直訳すれば楽園ですが、パレスチナ紛争やブラジルのインディオ達のことを歌った内容になっています。そんな平和への長いが伝わってくる感動的な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=kt20_3YpfE4
「Afinal」
Fernando Temporao/Cesar Lacerda作。Cesar Lacerdaとの共作1曲目。軽やかなリズムの開放的なポップ感が心地好い1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=zp9UVCIRP_M
「Sem Fantasia」
Fernando Temporao/Cesar Lacerda作。Cesar Lacerdaとの共作2曲目。新世代ブラジル音楽らしいセンスのインディ・ポップに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=26aQ8PoqnfE
「Dia De Seguir」
Fernando Temporao/Thiago Camelo作。小気味よく疾走するインディ・ロック。USインディ・ロック好きの人も気に入りそうな1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=x2wdmnqbJAo
「Um Milhao De Novas Palavras」
Fernando Temporao/Cesar Lacerda作。Cesar Lacerdaとの共作3曲目。ブラジル音楽に止まらない活躍を見せる世界的なチェロ奏者Jaques Morelenbaumが参加しています。Morelenbaumのチェロが深淵さを演出してくれるミステリアスな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=ug-wCNpUHiY
「No Ar」
Fernando Temporao/Alberto Continentino作。穏やかなドリーミー・ポップ。休日マッタリと過ごしたい気分のときにフィットしそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=hv1fcshRcjM
「Manto」
Fernando Temporao作。ブラジルらしいフォーキー感にグッとくるSSWらしい1曲。さり気ないけど、かなり好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=h-oSRle0GDo
「Exilios」
Fernando Temporao/Filipe Catto作。邦題は「亡命者」。哀愁モードのインディ・ロックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=pypePtAlUDk
「Tudo o que e Tristeza」
Fernando Temporao/Thiago Camelo作。新世代ブラジル音楽らしいサウンドを楽しめる1曲。Fernando、Kassin、Domenico、Alberto、Donatinhoというカリオカ達のチームワークを感じるサウンドの一体感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=5waRMJjSIr4
「Dois」
Fernando Temporao/Bruno Di Lullo作。ラストはエフェクトを駆使したゆったりと余韻を楽しむようなサウンドで本編を締め括ってくれます。クレジットにDonatinhoの担当楽器にiPhoneとあるあたりが今時のブラジル音楽らしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=8eBITtKQsfk
国内盤にはボーナス・トラックとして「Apreco」が追加収録されています。実はアルバムで一番ポップな仕上がりかも?得した気分になるボートラです。
1stアルバム『De Dentro Da Gaveta Da Alma Da Gente』(2013年)もチェックを!
『De Dentro Da Gaveta Da Alma Da Gente』(2013年)
ご興味がある方は共作でソングライティングを手掛けたアーティストのソロ作品をチェックするのも楽しいのでは?
Cesar Lacerda『Paralelos & Infinitos』(2015年)
Ava Rocha『Ava Patrya Yndia Yracema』(2015年)
Filipe Catto『Folego』(2012年)