発表年:2008年
ez的ジャンル:イタリア美人系ジャズ・シンガー
気分は... :美女の声に癒されたい!
今回はイタリア、ミラノ出身の美人ジャズ・シンガーAlice Ricciardiの1stアルバム『Comes Love』です。
Alice Ricciardiは1975年イタリア、ミラノ生まれの女性ジャズ・シンガー。
ミラノの音楽アカデミーでジャズ・ヴォーカルを学び、国際的なジャズ・フェスティバルで入賞することで注目を浴びるように、N.Y.のジャズ・クラブにも招かれるようになります。そして、名門Blue Noteからリリースされたのが本作『Comes Love』(2008年)です。
本作の後、なかなかアルバムがリリースがありませんでしたが、2015年に久々のアルバム『Optics』をリリースしています。
イタリアとN.Y.を拠点に活動するAliceですが、僕の場合、Nicola Conteをはじめとするイタリアの新世代ヨーロピアン・ジャズ作品を通して、Aliceの歌声に魅了されてきました。
当ブログで紹介した作品でいえば、下記の4枚のアルバムでAlice Ricciardiがフィーチャリングされています。
Nicola Conte『Rituals』(2008年)
Milano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』(2009年)
Nicola Conte『Love & Revolution』(2011年)
Gaetano Partipilo『Besides - Songs from the Sixties』(2013年)
そのせいか、Alice Ricciardiと新世代ヨーロピアン・ジャズのイメージが重なりすぎているかもしれません。
それに対して、本作『Comes Love』はスタンダード・ナンバーをオーセンティックに歌い上げる正統派のジャズ・ヴォーカル作品となっています。
レコーディングはN.Y.とイタリアで行われ、Alice Ricciardi(vo)以下、Marco Bovi(g)、Neal Miner(b)、Gaetano Partipilo(as、fl)、Roberto Tarenzi(p)、Paolo Benedettini(b)、Will Terrell (ds)、Pasquale Bardaro(vibes)、Fabrizio Bosso(tp)といったジャズ・ミュージシャンが参加しています。
プロデュースはPatrizio Romano。
前述のように、僕の場合、彼女に新世代ヨーロピアン・ジャズのエッセンスを求めていた部分があったので、王道ジャズな本作を最初聴いた時は少し戸惑いました。しかし、よく考えてみれば本作における彼女こそがジャズ・シンガーAlice Ricciardiの本来の姿であり、自分の勝手な思い込みをリセットして聴いたら、かなり楽しめました。
こういった王道ジャズ作品で聴くと、Aliceの声質はいい意味で癖がなく、その分艶めかしい雰囲気はかなりあるので、小粋なバッキングと一体化しているのがいいですね。いわゆる女子ジャズ的なヴォーカル作品とは一線を画すオトナのジャズ・ヴォーカルになっているのが好きです。
今の時期、こういった正統派ジャズ・ヴォーカル作品は結構フィットするのでは?
全曲紹介しときやす。
「Comes Love」
Lew Brown/Sam Stept/Charles Tobias作。ブロードウェイ・ミュージカル『Yokel Boy』(1939年)のために書かれたジャズ・スタンダード。少し気怠いAliceの妖艶なヴォーカルにKOされてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=r7PPv_F9EA4
「Summer Song」
Dave Brubeck/Lola Brubeck作。実に穏やかに歌い上げるロマンティックなバラード。心が安らぎます。
https://www.youtube.com/watch?v=MJcKjoQC4u4
「Give Me The Simple Life」
Rube Bloom/Harry Ruby作。1946年の映画『Wake Up and Dream』の挿入歌。Roberto Tarenziのピアノ、Neal Minerのベース、Will TerrellのドラムがしっかりAliceのヴォーカルを支える、女性ジャズ・ヴォーカル作品らしい小粋な仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=-xXlFfBOung
「I Was Doing Allright (The Golwyn Follies)」
George Gershwin/Ira Gershwin作。映画『The Goldwyn Follies』(1938年)のために書かれたスタンダード。当ブログではDexter Gordonのカヴァーも紹介済みです。スタンダード然としたオーセンティック感が逆にいい雰囲気を醸し出します。Marco Boviのギター・ソロがグッド!
「I'm Gonna Laugh You Right Out Of My Life」
Cy Coleman/Joseph McCarthy作。Nat King Coleなども取り上げたスタンダード。当ブログではBev Kellyのカヴァーも紹介済みです。切々としたバラードは、ジャケでこちらを見つめるAliceの艶めかしい雰囲気と重なり、グッときてしまいます。新世代ヨーロピアン・ジャズ好きにはお馴染み、スペシャル・ゲストの人気トランぺッターFabrizio Bossoが素敵なトランペットでAliceの歌を引き立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=CXEoeZGcJU4
「Who Cares (As Long As You Care For Me) (Of Thee I Sing)」
George Gershwin/Ira Gershwin作。ブロードウェイ・ミュージカル『Of Thee I Sing)』(1931年)のために書かれたスタンダード。スウィンギーに疾走する軽快な演奏をバックに、Aliceの歌も弾けます。Pasquale Bardaroのヴァイヴがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=d7sufmDAvCU
「If I Should Lose You」
Ralph Rainger/Leo Robin作。1936年のミュージカル映画『The Rose of the Ranch』のために書かれたスタンダード。当ブログではNicola Conteのカヴァーも紹介済みです。(いい意味で)癖のないキュートさを持つAliceのヴォーカルとRoberto Tarenziを中心としたピアノ・トリオのバッキングがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=X3icGhqm_5w
「The Boy Next Door」
Hugh Martin/Ralph Blane作。1944年のミュージカル映画『Meet Me in St. Louis』のために書かれたスタンダード。少し勿体ぶった艶めかしいボーカルにヤラれてしまいます。Gaetano Partipiloのアルト・サックスで盛り上げてくれます。
「I'll Remember April」
Gene de Paul/Patricia Johnston/Don Raye作。1942年のコメディ映画『Ride 'em Cowboy』のために書かれたスタンダード。コレはかなり好き!Pasquale Bardaroのヴァイヴ、Gaetano Partipiloのフルートが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=FqybPf0oW9A
「Ghost Of Yesterday」
Irene Kitchings/Arthur Herzog Jr.作。(多分)Billie Holidayヴァージョンが最初のレコーディングだと思います。訳アリな切ない思いが伝わってくるようなバラード。
「Here Lies Love」
Ralph Rainger/Leo Robin作。1932年のSam Coslowヴァージョンがオリジナル。Aliceのジャズ・ヴォーカリストとしての表現の豊かさがわかる曲かもしれませんね。
「By Myself」
Arthur Schwartz/Howard Dietz作。1937年のミュージカル映画『Between The Devil』のために書かれたスタンダード。スリリングなバッキングをAliceの歌が牽引します。Fabrizio Bossoが格好良いトランペット・ソロでバシッとキメてくれます。
「Le Tue Mani」
Pino Spotti/Machel Montano作。イタリアン・ポップス界の歌姫Mina、1962年のシングル曲をカヴァー。ラストはイタリア人シンガーらしいセレクトですね。しっとりとしたバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=TjAzeaBCesI
ご興味がある方は『Optics』(2015年)もチェックを!
『Optics』(2015年)
本作とは路線が全く異なりますが、Alice Ricciardi参加の新世代ヨーロピアン・ジャズ作品の過去記事もご参照ください。
Nicola Conte『Rituals』(2008年)
Milano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』(2009年)
Nicola Conte『Love & Revolution』(2011年)
Gaetano Partipilo『Besides - Songs from the Sixties』(2013年)