発表年:2003年
ez的ジャンル:偉才系Hip-Hopコラボ
気分は... :天才×天才!
故J Dilla(Jay Dee)とMadlibというHip-Hop界の偉才2人による夢のコラボ・アルバムJaylib『Champion Sound』(2003年)です。
J Dilla(Jay Dee)とMadlibに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の6枚(発売順)。
J Dilla関連作品
Slum Village『Fantastic, Vol. 2』(2000年)
J Dilla『The Shining』(2006年)
Madlib関連作品
Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)
本作『Champion Sound』(2003年)は、L.A.MadlibとデトロイトのJ Dillaが互いに作ったトラックを送り、他方がラップを乗せるかたちで制作され、Stones Throwからリリースされたコラボ・アルバムです。
2人のトラックが交互に配されており、2つの個性の対比しながら、アルバムを聴き進めることができます。今となっては、どうしても故J Dillaのトラックに聴き入ってしまいますが…
この2人ならば、もっとできたのでは?と批判的な意見もあるようですが、タイトルの相応しい濃密なHip-Hopワールドを十分楽しむことができました。
僕の保有するCD(USオリジナルCD、1stプレス仕様)は全19曲収録。前々から紹介しようと思いつつ、曲数の多さに断念することも多かったのですが、年末に来年こそは必ず本作を取り上げようと固く誓い、即実行してみました。
曲数のみならず、内容も聴き応え十分のコラボ作品です。
天才同士のみが知るHip-Hopワールドがそこにはある!
全曲紹介しときやす。※USオリジナルCD1stプレス仕様
「L.A. to Detroit」
このオープニングのみJ Dilla、Madlib両者のプロデュースとなっています。Public Enemy「Countdown to Armageddon」のサンプリングに続くMountain「Long Red」のループでスタートし、The Moody Blues「Procession」やQuasimoto「Bluffin'」の声ネタが使われ、後半はGiancarlo Bigazzi & Fabio Fabor「Occult Sciences」のシンセ・ネタが支配するアルバムのイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=Gh5YDuYpCek
「McNasty Filth」
デトロイトのHip-HopユニットFrank-N-Dankをフィーチャー。Madlibプロデュース。シングルにもなりました。Paul Mauriat「Melancholy Man」とAllegro Jazz Band「Composition on a Theme of Cole Porter」をサンプリングしたトラックがキマっています。Syl Johnson「Different Strokes」ネタも途中に挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=07BHMfw6lTI
「Nowadayz」
J Dillaプロデュース。前の「McNasty Filth」との対比で、J Dillaらしさを感じます。Egg「Wring Out the Ground (Loosely Now)」、Kevin Ayers「The Confessions of Dr. Dream - Part Four: Dr. Dream Theme」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=H1ZtagFtrrA
「Champion Sound」
Madlibプロデュース。ありがちなトラックにも聴こえますが、エキゾチックなエッセンスがいいアクセントになっています。Kalyanji Anandji「Dharmatma Theme Music (Sad)」、Fancy Black「Stand Up and Fight」ネタ。
https://www.youtube.com/watch?v=113zhTf1bVM
「The Red」
J Dillaプロデュース。Cris Williamson「Shine on Straight Arrow」の声ネタと共に始まる、J Dillaらしい硬質ビートが堪能できる1曲。シングルにもなりました。Gwen McCrae「90% of Me Is You」もサンプリングされています。
https://www.youtube.com/watch?v=VRzRSCRZweY
「Heavy」
Madlibプロデュース。Herman Chin-Loy「Heavy Duty」の声ネタが効果的に使われています。後半にはVangelis「Stuffed Aubergine」ネタのループも登場します。
https://www.youtube.com/watch?v=adqX9UOuXsQ
「Raw Shit」
Talib Kweliをフィーチャー。J Dillaプロデュース。フューチャリスティック&アブストラクトに疾走するトラックが格好良いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ZvfdRkUSj94
「The Official」
Madlibプロデュース。Gap Mangione「Diana in the Autumn Wind」とDizzy Gillespie「Stomped and Wasted」をサンプリングしたジャズ風味のトラックにMadlibのセンスを感じます。Gang Starr「Take It Personal」のリリックも引用されています。
https://www.youtube.com/watch?v=Jvmoux8BnSY
「The Heist」
J Dillaプロデュース。Throbbing Gristle「Persuasion」「What a Day」をサンプリング。J Dillaらしいネタのセレクトによるアブストラクトなトラックがいいですね。終盤はGentle Giant「The Advent of Panurge」とSoft Machine「Out-Bloody-Rageous」をサンプリング しています。途中に映画『Forrest Gump』ネタも挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=XuVCHQjsQ0g
「The Mission」
Madlibプロデュース。John Barry-Moore「Abertura De 'Os Inocentes'」をサンプリングしたトラックがキャッチーです。Big L「Flamboyant」 、M.O.P.「Ante Up (Robbing-Hoodz Theory)」 、Black Moon「How Many MC's...」 、De La Soul「Stakes Is High」ネタが散りばめられています。
https://www.youtube.com/watch?v=XPaFxVwCwX4
「React」
Quasimoto(Madlibの変名)をフィーチャー。J Dillaプロデュース。J DillaらしいビートにGentle Giant「Plain Truth」をサンプリングした上モノを乗せたトラックのレトロ・フューチャー感がいいですね。M.O.P.「Pounds Up」、De La Soul & Common「The Bizness 」、Beastie Boys「The New Style」ネタ。
https://www.youtube.com/watch?v=j5TvXEDEU5I
「Strapped」
デトロイトのラッパーGuilty Simpsonをフィーチャー。Madlibプロデュース。本作でしばしば聴かれるオリエンタルなエッセンスが印象的です。当ブログでも紹介したCarlos Nino feat. Dexter Story, Jamire Williams & Madlib「It's All Happening!」でサンプリングされています。
https://www.youtube.com/watch?v=RZY9Y5iwIZ8
「Strip Club」
Quasimotoをフィーチャー。J Dillaプロデュース。Jaco Pastorius「Opus Pocus」をサンプリングしたトロピカル・フィーリングが印象的です。Queen「The Ring (Hypnotic Seduction of Dale)」をサンプリングし、Masta Ace Incorporated「Sittin' on Chrome」のリリックが引用されています。
「The Exclusive」
N.Y.出身のラッパーPercee Pをフィーチャー。J Dillaプロデュース。ここではオールドスクールなトラックで楽しませてくれます。The Mohawks「The Champ」、Phil Collins「In the Air Tonight (Ben Liebrand Extended Version)」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=ammzSxTPzpo
「Survival Test」
Madlibプロデュース。Lata Mangeshkar「Poorab Disa Se Pardesi Aya」をサンプリングしたインド風味が印象的です。Jungle Brothers「Jimbrowski」もサンプリングしています。
https://www.youtube.com/watch?v=7y62rlhaAbU
「Starz」
J Dillaプロデュース。Starcastle「The Stars Are Out Tonight」の早回し声ネタを効果的に使っています。それ以外にThe Isley Brothers「For the Love of You (Part 1 & 2)」、M.O.P.「Pounds Up」ネタも使われています。終盤のアブストラクトな展開も好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=bjfkL2R61PM
「No Games」
Madlibプロデュース。Cortex「Huit Octobre 1971」をのサンプリングを巧みに使ったトラックが格好良いですね。もっと長尺で聴きたいです。
https://www.youtube.com/watch?v=DRaVKKykOwM
「Raw Addict」
J Dillaプロデュース。J Dilla好きに人には中毒性のあるトラックかもしれませんね。Argent「God Gave Rock 'N' Roll to You」、James Brown「Say It Loud, I'm Black and I'm Proud」、Jay Dee feat. Frank-N-Dank「Pause」ネタ。
https://www.youtube.com/watch?v=SzadvUr4cb4
「Ice」
Madlibプロデュース。The Mohawks「The Champ」とN.W.A「Niggaz 4 Life」の声ネタを使ったスリリングなトラックにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=qwz8u5Y_Wbw
2007年にはリミックス、インスト・ヴァージョンを加えたデラックス・ヴァージョンもリリースされています。
Jaylib『Champion Sound』※デラックス・ヴァージョン
J Dilla、Madlib関連の過去記事もご参照ください。
Slum Village『Fantastic, Vol. 2』(2000年)
J Dilla『The Shining』(2006年)
Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)