2017年01月06日

Kenny Dorham『Una Mas (One More Time) 』

ブラジル色を打ち出した1枚☆Kenny Dorham『Una Mas (One More Time) 』
ウナ・マス+1
録音年:1963年
ez的ジャンル:ハードバッパー系ラテン/ブラジリアン・ジャズ
気分は... :もう一回!

今回は60年代ジャズからKenny Dorham『Una Mas (One More Time) 』(1963年)です。

ジャズ・トランペッターKenny Dorham(1924-1972年)の紹介は、『Quiet Kenny』(1959年)、『Afro-Cuban』(1955年)に続き3回目となります。

Kenny Dorhamといえば、"静のケニー"を代表する『Quiet Kenny』、"動のケニー"を代表する『Afro-Cuban』の2枚が有名ですが、本作『Una Mas (One More Time) 』も人気の高い1枚なのでは?

Blue Noteからリリースされた本作の特徴は、ブラジル色を打ち出した演奏です。1961年にDorhamに南米をツアーしており、その刺激から『Matador』(1962年録音)でもブラジル人コンポーザーHeitor Villa-Lobosの作品「Prelude」を取り上げていました。そうした方向性をさらに強めたのが本作作『Una Mas (One More Time) 』です。

本作がリリースされた1963年はStan GetzJoao Gilbertoがボサノヴァ・ブームの決定盤『Getz/Gilberto』をレコーディングした年であり、ジャズ・シーン全体がボサノヴァ/ブラジル音楽にフォーカスしていた時期です。

本作のレコーディング・メンバーはKenny Dorham(tp)、Herbie Hancock(p)、Joe Henderson(ts)、Butch Warren(b)、Tony Williams(ds)の5名。

当時、弱冠17歳であったTony Williamsをはじめ、若手サイドメンを積極的に起用しているのも本作の特徴です。

躍動的な演奏にグッとくる1枚であり、"動のケニー"を存分に楽しめます。

健康状態の悪化により、次作『Trompeta Toccata』(1964年)が最後のリーダー作となってしまうDorhamですが、そんな事が信じられない充実ぶりです。若手サイドメンたちからの刺激が良い方向に作用した1枚だと思います。

ボーナス・トラック以外は、すべてKenny Dorhamのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Una Mas (One More Time)」
タイトル曲はアルバム『 Inta Somethin'』(1961年)収録の「Us」をリメイクしたものです。軽快なラテン/ジャズ・サンバ色が心地好い本作を象徴する15分強の演奏です。Dorhamのトランペットも実に軽やかです。Hancockの小粋なピアノタッチが演奏全体にエレガントさをもたらしているのもいいですね。終盤、演奏が終わりと思いきや、タイトルそのままの"One More Time"の掛け声と共に、再度テーマを演奏する演出も心憎いです。Lee Morgan『The Sidewinder』なんかとも相性が良さそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=TDETNk20Vkc

「Straight Ahead」
今聴くとクラブジャズ的な格好良さもあるストレート・アヘッドな4ビート。DorhamとHendersonの2菅が躍動します。また、HancockやWilliamsらのバッキングもグッド!若き天才Williamsのドラミングが演奏全体を牽引します。
https://www.youtube.com/watch?v=SV7wZ3hfERw

「Sao Paolo」
絶妙なボッサ・フィーリングにグッとくる演奏です。『Getz/Gilberto』のようなモロにボサノヴァではなく、さり気なく取り入れるところにDorhamの美学を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=lN1iQQS5E_A

「If Ever I Would Leave You」
CDのボーナス・トラック。1960年のミュージカル『Camelot』挿入歌をカヴァー(Alan Jay Lerner/Frederick Loewe作)。本編とは異なるスウィートな雰囲気に包まれます。
https://www.youtube.com/watch?v=DZBcIEJgrXE

Kenny Dorhamの他作品もチェックを!

『Kenny Dorham Quintet』(1953年)
Quintet

『Afro-Cuban』(1955年)
アフロ・キューバン

『'Round About Midnight at the Cafe Bohemia』(1956年)
カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム+4

『And The Jazz Prophets Vol. 1』(1956年)
ケニー・ドーハム&ザ・ジャズ・プロフェッツ

『Jazz Contrasts』(1957年)
Jazz Contrasts

『2 Horns/2 Rhythm』(1957年)
2 Horns/2 Rhythm

『This Is the Moment!』(1958年)
Kenny Dorham Sings and Plays: This Is the Moment!

『Blue Spring』(1959年)
Blue Spring

『Quiet Kenny』(1959年)
Quiet Kenny

『The Arrival of Kenny Dorham』(1960年)
ジ・アライヴァル・オブ・ケニー・ドーハム(紙ジャケット仕様)

『Jazz Contemporary』(1960年)
JAZZ CONTEMPORARY

『Showboat』(1960年)
ショウボート

『Whistle Stop』(1961年)
Whistle Stop

『Inta Somethin/Matador』(1961、1962年)※2in1CD
Matador + Inta Somethin

『Matador』(1962年)
マタドール

『Trompeta Toccata』(1964年)
Trompeta Toccata
posted by ez at 10:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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