2017年02月19日

Jose James『Love In A Time Of Madness』

もはやジャズではない!Jose流R&B作品☆Jose James『Love In A Time Of Madness』
ラヴ・イン・ア・タイム・オブ・マッドネス
発表年:2017年
ez的ジャンル:新世代男性シンガー
気分は... :狂った時代に愛を・・・

今回は新世代男性ジャズ・シンガーの筆頭格Jose Jamesの最新作『Love In A Time Of Madness』です。

1978年ミネアポリス生まれの男性ジャズ・シンガーJose Jamesについて、これまで当ブログで紹介した作品は以下の5枚。

 『The Dreamer』(2007年)
 『Blackmagic』(2010年)
 『No Beginning No End』(2013年)
 『While You Were Sleeping』(2014年)
 『Yesterday I Had The Blues』(2015年)

Billie Holidayへのトリビュート『Yesterday I Had The Blues』(2015年)は、Jose Jamesというアーティストの根っ子には、しっかりジャズがあること認識できた1枚でした。

しかし、新作『Love In A Time Of Madness』は、その真逆でJose Jamesというアーティストがジャズには全く固執していないことを示したR&Bアルバムに仕上がっています。

前作からの振り幅の大きさは半端ないですが、そもそもJose Jamesをよく聴いている人って、ジャズ専門リスナーの人は少ないと思うので、こうしたR&B寄りのアルバムをリリースすることは大歓迎なのでは?

アルバム・タイトルに反映されているように、本作のテーマは"愛の大切さ"。狂った今の時代だからこそ愛に目を向けよう!というメッセージがアルバム全体を貫きます。

TarioことAntario Holmesをメイン・プロデューサーに据え、プロデューサー・ユニットLikemindsChris Soper/Jesse Singer)も数曲でプロデューサーに起用しています。

こうしたプロデューサー陣を迎え、生演奏よりプログラミングを多用しているのも本作の特徴です。今作はサウンド以上にメッセージを重視しているように思われるので、その意味でプログラミングを駆使した美しくも儚いアトモスフィア/アンビエント/ミニマルなサウンドはコンセプトにフィットしていると思います。

クリスチャンR&Bの男性シンガーMali Music、ベテラン女性シンガーOleta Adamsがフィーチャリングされ、Solomon Dorsey(b)、Nate Smith(ds)といったJoseのバンド・メンバー、元The NPG HornzPhilip Lassiter(tp、horn arr)等も参加しています。

Philip Lassiterの参加に象徴されるように、同郷の偉大なミュージシャンであった故Princeへのオマージュ的な曲があるのも興味深いですね。

楽曲はすべてJose Jamesや参加プロデューサー/ミュージシャンらによるオリジナルです。

新世代男性ジャズ・シンガーのR&B作品!
ジャンルの壁など作らず、扉を開けてみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Always There」
オープニングは美しくも儚いR&Bチューン。シンセとドラム・プログラミングのみのシンプルなトラックをバックに、大切な愛を歌います。このアトモスフィアな雰囲気はSiRあたりと一緒に聴きたいです。
https://www.youtube.com/watch?v=BgPViIFfCB4

「What Good Is Love」
愛を問いかける哀愁モードのアンビエントR&B。シンセ、キーボードとドラム・プログラミングのみのサウンドをバックに、切々とJoseが歌い上げます。

「Let It Fall」
Mali Musicをフィーチャー。ギターも入ったゴスペル調のR&Bチューンですが、儚くアトモスフィアな雰囲気も保っています。

「Last Night」
ミニマルな電子サウンドをベックに、哀愁のメロディを歌い上げます。

「Remember Our Love」
Likemindsプロデュース曲。5曲目にして、ようやくポジティヴな方向へ動き出します。力強く希望に満ちたJoseの歌声が印象的です。

「Live Your Fantasy」
Princeへのオマージュ。ダンサブルなサウンドをバックに、Joseがセクシーなヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OPdt_WQhHw8

「Ladies Man」
前曲と流れを汲むミネアポリス・ファンク調のダンサブル・チューン。思わずハンド・クラップしてしまうダンス・チューンは昨今のディスコ/ブギー・ブームの流れもあるのでしょうね。

「To Be With You」
美しいメロウ・バラード。アルバムの中で最もジャズを感じるのはコレかもしれませんね。Mali Musicの美しい鍵盤が演奏面で大きく貢献しています。
https://www.youtube.com/watch?v=-Jqs-9DUoIg

「You Know I Know」
Likemindsプロデュース曲。ミニマルな電子サウンドと美しさと脆さが同居するようなJoseの歌声がいいですね。自分の弱さをさらけ出すことで強くなっている感じが好きです。

「Breakthrough」
これもLikemindsプロデュース。揺らめくエレクトリック・サウンドをバックに、前向きに壁を乗り越えようとする決意をJoseが歌い上げます。

「Closer」
オートチューンも使ったミディアム・バラードを淡々の歌います。
https://www.youtube.com/watch?v=yeqT4BH5mgo

「I'm Yours」
Oleta Adamsをフィーチャー。ラストはピアノ、シンセのみのバックでオーセンティックなバラードをOleta Adamsとのデュエットで歌います。

国内盤には『No Beginning No End』(2013年)収録曲のTarioによるリミックス「Trouble (Tario Remix)」と、「Live Your Fantasy」の。J Dilla調のリミックス「Live Your Fantasy (WONK Remix)」がボーナス・トラックとして追加収録されています。2曲共なかなかいいですね。国内盤にして良かった!

Jose Jamesの他作品もチェックを!

『The Dreamer』(2007年)
The Dreamer [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (BRC369)

『Blackmagic』(2010年)
Blackmagic [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] 期間限定廉価盤 (BRC246Z)

Jose James & Jef Neve『For All We Know』(2010年)
For All We Know

『No Beginning No End』(2013年)
ノー・ビギニング・ノー・エンド

『While You Were Sleeping』(2014年)
While You Were Sleeping

『Yesterday I Had The Blues』(2015年)
イエスタデイ・アイ・ハド・ザ・ブルース
posted by ez at 02:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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