発表年:1978年
ez的ジャンル:UK鍵盤ロック/フリーソウル
気分は... :素敵な再会!
今回はUKキーボード奏者Brian AugerがJulie Tippetts(旧姓:Julie Driscoll)と共同名義でリリースした『Encore』(1978年)です。
これまで当ブログで紹介したBrian Auger関連作品は以下の8枚です。
Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinity
『Open』(1967年)
『Streetnoise』(1969年)
Brian Auger & The Trinity
『Definitely What!』(1968年)
Brian Auger's Oblivion Express
『A Better Land』(1971年)
『Second Wind』(1972年)
『Closer to It!』(1973年)
『Straight Ahead』(1975年)
『Reinforcements』(1975年)
『Happiness Heartaches』 (1977年)でOblivion Expressの活動に一区切りをつけ、ソロ活動をスタートさせたBrian Augerですが、その最初の作品はKeith Tippettと結婚してTippetts姓となったJulie Tippetts(旧姓:Julie Driscoll)との共同名義での作品となりました。
Brian Auger & The Trinity時代に『Open』(1967年)、『Streetnoise』(1969年)といった作品でタッグを組んだ二人の再会作品とも呼べる1枚です。
Brian Auger自身がプロデュース&アレンジを手掛け、Brian Auger(org、p、el-p、syn、per、vo)、Julie Tippetts(vo)以下David McDaniels(b)、Dave Crigger(ds)、George Doering(g)といったメンバーがレコーディングに参加しています。
また、Jessica SmithThe WatersのJulia Tillman Waters、Maxine Willard Waters等がバック・コーラスを務めています。
カヴァー中心ですが、The Trinity時代やOblivion Express時代のレパートリーの再演などもあります。Brian Augerにジャズ・ロック的なものを求めている人には物足りないのかもしれませんが、フリーソウル/ブルーアイド・ソウル的なものを求めている僕にとっては楽しめる1枚になっています。
個人的にはFree Soulのコンピにも収録されたJack Bruceのカヴァー「Rope Ladder To The Moon」をはじめ、オリジナルの「Git Up」、Al Jarreauのカヴァー「Spirit」、Milton Nascimentoのカヴァー「Nothing Will Be As It Was」あたりがオススメです。
Brian Augerの鍵盤とJulie Tippettsのソウルフル・ヴォーカルの相性の良さを再確認できる1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Spirit」
先月惜しくも逝去したAl Jarreauのカヴァー。オリジナルは『We Got By』(1975年)に収録されています。Augerの格好良い鍵盤サウンドとJulieのパワフル・ヴォーカルが調和したオトナのロック・チューンに仕上がっています。
「Don't Let Me Be Misunderstood」
「悲しき願い」の邦題でお馴染みの名曲をカヴァー(Bennie Benjamin/Gloria Caldwell/Sol Marcus作)。The AnimalsやSanta Esmeraldaのヴァージョンが有名ですがオリジナルはNina Simoneです。テンポを落としたミディアム・バラードで哀愁のメロディを歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=DanA_cxlz-4
「Git Up」
Brian Augerのオリジナル。Julieと女性バック・コーラス陣のソウルフル・ヴォーカルにAugerのハモンドが絡むパワフルなジャズ・ロック的ソウル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=Ii-nOBfXYI4
「Freedom Highway」
The Staple Singersのカヴァー(Pops Staples作)。Julieと女性バック・コーラス陣のソウルフル・ヴォーカルにファンキー・グルーヴが絡むスワンピーな仕上がりです。
「Future Pilot」
Brian Auger's Oblivion Express時代の『Reinforcements』(1975年)で演奏していた楽曲のセルフ・カヴァー。『Reinforcements』ヴァージョンの雰囲気を受け継ぎつつ、Julieのヴォーカルの引き立てるナチュラル・フィーリングな仕上がりです。
「Rope Ladder To The Moon」
Jack Bruce/Pete Brown作。Jack Bruceのオリジナルは 『Songs For A Tailor』(1969年)に収録されています。Colosseumもカヴァーしています。前述のようにFree Soulのコンピにも収録された再評価の高い人気曲であり、本作のハイライトと呼べるフリーソウルなジャジー&フォーキー・メロウです。少し幻想的な雰囲気もあっていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=iAycBh4-8hM
「No Time To Live」
Trafficのカヴァー(Jim Capaldi/Steve Winwood作)。オリジナルは『Traffic』(1968年)に収録されています。Brian Auger & The Trinity時代のアルバム『Befour』(1970年)でも取り上げていた楽曲の再演です。本ヴァージョンはJulieのヴォーカルやサウンドも抑えめで味わい深い仕上がりです。
「Nothing Will Be As It Was」
Milton Nascimentoのカヴァー(Ronaldo Bastos/Milton Nascimento/Rene Vincent作)。オリジナルは『Clube Da Esquina』に収録されています。当ブログでは『Milton』(1976年)収録ヴァージョンも紹介済みです。さらに当ブログではElis Regina、Flora Purim、Sarah Vaughanによるカヴァーも紹介済みです。少し意外な選曲ですが、Auger本人がリード・ヴォーカルを務めるミステリアスなポップ・ロックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=kosVsMGJS5A
「Lock All The Gates」
Al Jarreau作品のカヴァー2曲目。「Spirit」と同じくオリジナルは『We Got By』(1975年)に収録されています。ラストはAugerの美しいピアノをバックに、Julieが歌い上げ、The Waters姉妹がゴスペル調コーラスで盛り上げるソウル・バラードで締め括ってくれます。
Brian Auger関連作品の過去記事もご参照下さい。
Julie Driscoll,Brian Auger & The Trinity『Open』(1967年)
Brian Auger & The Trinity『Definitely What!』(1968年)
Julie Driscoll,Brian Auger & The Trinity『Streetnoise』(1969年)
Brian Auger's Oblivion Express『A Better Land』(1971年)
Brian Auger's Oblivion Express『Second Wind』(1972年)
Brian Auger's Oblivion Express『Closer to It!』(1973年)
Brian Auger's Oblivion Express『Straight Ahead』(1975年)
Brian Auger's Oblivion Express『Reinforcements』(1975年)