発表年:2016年
ez的ジャンル:デトロイト系ビートメイカー
気分は... :探偵ジョー!
今回はデトロイト出身の気鋭ビートメイカーTall Black Guyの2ndアルバム『Let's Take A Trip』です。
Tall Black Guy(TBG)(本名:Terrel Wallace)はデトロイト出身のビートメイカー。名前の通り長身らしいです。現在はUKを拠点にしています。
シカゴ出身のラッパーDee JacksonとのHip-Hopユニット80's Babiesとして活動すると同時に、Fela Kutiのリメイク「Water No Enemy」がGilles Petersonの人気コンピ『Brownswood Bubblers Seven』(2011年)に収録されたことで注目されるようになります。
2013年にはTall Black Guy名義の1stアルバム『8 Miles to Moenart』をリリース。1stアルバム『Offering For Anxious』が話題となり、もうすぐ発売される2ndアルバム『Civil Circus』への注目度も高まっている、ワシントン出身の異才シンガーソングライター/マルチ・インストゥルメンタリストDiggs Duke、ジャジーHip-Hop好きにはお馴染み、Othello名義の作品を当ブログでも数多く紹介してきたOzay Moore等をフィーチャリングしています。
同作は?uestlove(The Roots)、D'Angeloといった大物アーティストからも称賛されています。
さらにはJazzy Jeffが主催し、先進アーティストを集めるプロジェクトPlaylist Reteartに招かれ、当ブログでもイチオシの新進R&BアーティストSiRらとコラボしています。
2016年にはYusef Rumperfield名義でのアルバム『Jazz In Motion』(※アナログ盤のみ)をリリースしています。
そして、昨年11月にTall Black Guy名義でリリースされた2ndアルバムが本作『Let's Take A Trip』です。今年2月に国内盤がリリースされました。
僕が所有するのは国内盤であり、ジャケも上記のものですがオリジナルUK盤はジャケが異なるのでご注意を!
Tall Black Guy『Let's Take A Trip』 ※UK盤
デトロイト出身ということで故J Dillaの系譜を継ぎつつ、次世代ビートメイカーとしての進化も見せてくれる濃密な1枚に仕上がっています。
80's BabiesやYusef Rumperfield名義で自身をフィーチャリングしています。
また、前作にも参加していたDiggs Duke、Ozay Moore(Othello)に加え、当ブログでも紹介したL.A.ネオソウル・バンドMoonChild、L.A.出身のピアニストで当ブログでも2ndアルバム『The Awakening』(2014年)を紹介したDaniel Crawford、Hip-HopユニットEulorhythmicsのメンバーとしても活動していたKenny Keys、僕も好きなジャジーHip-HopユニットSounds Goodのメンバーとしても活動し、ドイツの気鋭レーベルMelting Pot Musicにも所属していたプロデューサー/MC/トランぺッターMiles Bonny、さらにはMario Sweet、Rommel Donald、Masegoといったアーティストをフィーチャリングしています。
TBGのこれまでのキャリアや本作の参加メンバーのピープルツリーを見ただけでも、僕好みのアーティストであると言えるでしょう。Diggs Duke、Ozay Moore(Othello、MoonChildというフィーチャリング・アーティストの名前だけで購買意欲がそそられました。
決して派手なアルバムではありませんが、J Dilla経由の次世代ビートメイカーとしての才能を存分に見せつけてくれます。Hip-Hop×ネオソウル×ジャズなフィーリングはThe SoulquariansやジャジーHip-Hop好きの人にフィットするはずです。あるいは、JTNC的なHip-Hop/ネオソウルを探している方も楽しめるかも・・・
今の僕の音楽嗜好にフィットするHip-Hop作品です。
全曲紹介しときやす。
「A Train Is Coming.....」
Eric B & Rakim等でもお馴染みの声ネタ♪This is a journey into Sound♪(「Train Sequence」ネタ)と共に始まるアルバムのイントロ。浮遊するJ Dilla的ビートを聴くことができます。
「One Device, One Method, One Thing」
哀愁モードのジャジーHip-Hop。寂しげなドープ感がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=27o5ujv6cQ4
「Rockin From Beginning To End」
Kenny Keysのフェンダーローズをフィーチャー。メロウなローズの音色がミステリアスに響きます。
「This One Is For The Ladies And Gents」
Miles Bonnyをフィーチャー。トランペット、フリューゲルホーン、ヴォーカルを披露してくれます。ジャジー&メロウHip-Hop好きには間違いないトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=1T4OIw8fj7c
Miles BonnyがJoe Goodと組むHip-HopユニットSounds Goodの3rdアルバム『Midnight Music』(2006年)が大好きで、当ブログでも紹介したつもりでいたのですが、未紹介であることに気づきました。そのうち紹介したいと思います。
Sounds Good『Midnight Music』(2006年)
「The Kids Are Listening Interlude」
インタールード。
「Don't Box Me In」
80's Babiesをフィーチャー。盟友Dee JacksonとのタッグでThe Soulquarians的なネオソウル・フィーリングのHip-Hopを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=1ljOQNeL_F0
「Beware Of The Groove」
Mario Sweetのヴォーカルをフィーチャー。少しダークトーンのトラックは不気味な中に哀愁が漂います。
「Come With Me And Fly」
Yusef Rumperfield名義で自身をフィーチャリング。今ジャズ・フィーリングのトラックがいい感じです。Tall Black Guyのセンスを実感できる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=UFCi_WLJ1N4
「Is There More To Life」
Diggs Dukeをフィーチャー。YouTubeに音源がないのが残念ですが、本作のハイライト的なトラックなのでは?派手さはありませんが、Diggs DukeとTall Black Guyの音世界がシンクロしている感じにグッときます。
「I Will Never Know」
L.A.ネオソウル・バンドMoonChildをフィーチャー。次世代らしい引き算のネオソウルを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=dXH-ImXGHJo
「Mario Smith Speaks On」
Daniel Crawfordの鍵盤をフィーチャー。Mario Smithのスポークン・ワードによるインタールード的な小曲です。
「Things Deeper Than My Skin」
Ozay Moore(Othello)をフィーチャー。Othello大好きだった僕には嬉しいコラボです。哀愁メロウなフィーリングにグッときます。
「Peace And Love」
Rommel DonaldのギターとMasegoのサックス&ヴォーカルをフィーチャー。美しくも寂しげな哀愁メロウ・トラックが印象的な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=jFnoTS86va8
国内盤には「I Will Never Know (TBG Remix)」、「This Is For You Gee (ATHII 1990-2015)」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。リミキサーとしての評価の高いTBGなので、「I Will Never Know (TBG Remix)」あたりはオリジナル・ヴァージョンと聴き比べると楽しいと思います。
「I Will Never Know (TBG Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=ab-OjoM4WQA
セットで1stアルバム『8 Miles to Moenart』(2013年)もチェックを!
『8 Miles to Moenart』(2013年)