発表年:1976年
ez的ジャンル:MPB第二世代男性シンガー・ソングライター
気分は... :百合の花・・・
今回はブラジル人の世界的シンガー・ソングライターDjavanのデビュー・アルバム『A Voz, O Violao, A Musica De Djavan』(1976年)です。
1947年ブラジル北東部アラゴアス州マセイオ生まれの男性シンガー・ソングライターDjavanの紹介は、2ndアルバム『Djavan』(1978年)に続き2回目となります。
1975年にサンパウロで開催された音楽フェスティバルで彼の楽曲「Fato Consumado」が入賞したことがきっかけでレコード会社との契約に成功し、1976年にSom Livreからリリースされたデビュー・アルバムが本作『A Voz, O Violao, A Musica de Djavan』です。
Aloysio De Oliveiraがエグゼクティブ・プロデューサーとなり、Guto Graca Melloがプロデュースを手掛けています。
レコーディングにはEdson Frederico(key)、Helinho(g)、Paulinho(ds)、Luizao Maia(b)、Hermes(per)、Luna(per)、Mestre Marcal(per)、Altamiro Carrilho(fl)が参加しています。
楽曲はすべてDjavanのオリジナルです。
前回のDjavanの記事でも書きましたが、僕が最初に購入したDjavanのCDが80年代後半にリリースされた『Flor De Lis』でした。当時はブラジル音楽に関する情報源など全くなく、『Flor De Lis』が本作の新装盤だと知ったのは後年です。その後、オリジナル・ジャケでのCDも欲しかったので、改めて『A Voz, O Violao, A Musica de Djavan』も購入し直しました。
アルバムの内容としては、よく言われるようにボサノヴァ調の楽曲が中心です。その意味では、とても聴きやすいDjavan作品かもしれません。
Djavanらしさという点では『Djavan』(1978年)、『Alumbramento』(1980年)、『Seduzir』(1981年)あたりの方が独自のDjavanワールドを満喫できるかもしれません。
しかしながら、本作はデビュー作ならではのプリミティブな魅力に溢れています。何より、「Fato Consumado」、「Flor De Lis」などの楽曲の良さが光ります。
前述の2曲以外であれば、「E Que Deus Ajude」、「Para-Raio」、「Magia」、「Na Boca Do Beco」、「Maria Das Mercedes」あたりがオススメです。
Djavanのシンガー・ソングライターとしての実力を再認識できるデビュー作です。
全曲紹介しときやす。
「Flor De Lis」
邦題「百合の花」。Djavanの代表曲がオープニング。個人的にもDjavan作品で一番多く聴いているのが本曲かもしれません。涼し気なエレピとフルートの音色がDjavanの歌を先導します。キャッチーな魅力を持ったリズミックなメロウ・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=kHimNW6wLgA
「Na Boca Do Beco」
邦題「袋小路の入り口で」。小気味よいサウンドにのって、Djavanらしい語り口、メロディを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=H1qpewCgFc8
「Maca Do Rosto」
邦題「林檎」。リズミックなアコースティック・グルーヴですが、さり気ない感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QTZpoceteww
「Para-Raio」
邦題「避雷針」。リズミックなフレーズを畳み掛けるDjavanらしい語り口を楽しめます。Edson Fredericoのメロウ・エレピが心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=yxsRUhKcxLk
「E Que Deus Ajude」
邦題「神よ、救いたまえ」。「Flor De Lis」に次いでお気に入りの曲。小気味よい疾走感がたまりません。Djavanらしいリズム感覚を満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=7-kepw_oA8M
「Quantas Voltas Da Meu Mundo」
邦題「僕の世界」。ミステリアスな雰囲気の中で憂いを帯びたヴォーカルで語りかけます。
https://www.youtube.com/watch?v=JLwAUry6mRk
「Maria Das Mercedes」
韻を踏みながら、男のどうしようもない心情を歌った楽曲。Djavanの巧みなソングライティングを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=tkoAWeUVXPA
「Muito Obrigado」
この曲もDjavanらしいメロディを楽しめます。適度にリズミックなサウンドがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=yrR1TrBeDfo
「Embola Bola」
Djavanらしい言葉選びで楽しませてくれるメロウ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=ATdepcG_Yfg
「Fato Consumado」
邦題「終わったこと」。前述のようにDjavanの運命を切り開いた曲。曲良し、リズミックなサウンド良し、文句なしの名曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=PqfN8iwlEIk
「Magia」
邦題「魔法」。タイトルの通り、ミステリアスに疾走するリズミックなギター・サウンド&パーカッションがいい感じです。女性コーラス隊もミステリアス・ムードを盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=wfYZbByZijY
「Ventos Do Norte」
ラストはブルージーな雰囲気の弾き語りで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=xr_k4AcV5zU
Djavanの他作品をチェックを!
『Djavan』(1978年)
『Alumbramento』(1980年)
『Seduzir』(1981年)
『Luz』(1982年)
『Lilas』(1984年)
『Meu Lado』(1986年)
『Bird of Paradise』(1987年)
『Djavan』(1989年)
『Puzzle of Hearts』(1990年)
『Coisa de Acender』(1992年)
『Novena』(1994年)
『Ao Vivo』(1999年)