
発表年:1976年
ez的ジャンル:姉妹系カナディアン・フォーキー
気分は... :ケルトなフィーリング・・・
今回はカナダの姉妹デュオKate & Anna McGarrigleの1stアルバム『Kate & Anna McGarrigle』(1976年)です。
Kate & Anna McGarrigleはカナダ、モントリオール出身のKate McGarrigle(1946年生まれ)、Anna McGarrigle(1944年生まれ)によるフレンチ・カナディアン姉妹デュオ。
70年代からシンガー・ソングライターとして活動し始め、Maria Muldaur、Linda Ronstadt、Emmylou Harris、Billy Bragg、 Judy Collins等数多くのアーティストが彼女達の楽曲を取り上げています。
また、本作『Kate & Anna McGarrigle』(1976年)を皮切りに、姉妹名義で10枚以上のアルバムをリリースしています。
2010年に妹Kateの逝去により、姉妹による活動にピリオドが打たれます。
なお、KateとUSフォーク・シンガーLoudon Wainwright IIIの間に生まれたのが男性シンガー・ソングライターRufus Wainwrightです。
姉妹のデビュー・アルバムとなる本作『Kate & Anna McGarrigle』(1976年)は、ノスタルジック・フィーリングのグッドタイム・ミュージックが詰まったフォーク作品です。彼女達のルーツであるケルト音楽のエッセンスも随所で聴くことができます。
こういうトラッド色の強い作品って本来苦手なのですが、本作に限ってはすんなり聴けてしまいます。多分、姉妹のヴォーカル&ハーモニーの素晴らしさと、巧みなバッキングが生み出す個性的な音世界に魅了されるのだと思います。
プロデュースはJoe BoydとGreg Prestopino。
レコーディングにはAnna McGarrigle(vo、key、banjo、button accordion)、Kate McGarrigle(vo、p、g)以下、Tony Levin(b)、Red Callender(b)、Steve Gadd(ds)、Russ Kunkel(ds)、Jay Ungar(fiddle)、Floyd Gilbeau(fiddle)、Lowell George(g)、David Spinozza(g)、Greg Prestopino(g)、Hugh McCracken(g)、Tony Rice(g)、Amos Garrett(g)、Andrew Gold(g)、Chaim Tannenbaum(g)、David Grisman(mandolin)、Peter Weldon(banjo、back vo)、Joel Tepp(harmonica、clarinet)、Bobby Keys(ts)、Plas Johnson(as、clarinet)、Janie McGarrigle-Dow(org)、Nick DeCaro(accordion)、Dane Lanken(back vo)等のミュージシャンが参加しています。
Linda Ronstadtヴァージョンでお馴染みの「Heart Like a Wheel」のセルフ・カヴァーをはじめ、豪華なバック陣を従えた「Kiss and Say Goodbye」、ノスタルジック・フォーキー「My Town」、クラリネットがいい味を出している「Blues in D」、後にLinda Ronstadtも取り上げた「(Talk to Me of) Mendocino」、シンプル・イズ・ベストな「Go Leave」、Lowell Georgeのギターが彩るトロピカルな「Travellin' on for Jesus」あたりが僕のオススメです。
単なる姉妹フォーク作品には収まらない独特の感性に満ちた1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Kiss and Say Goodbye」
Kate McGarrigle作。Lowell George、David Spinozza、Greg Prestopino、Hugh McCrackenという豪華なギター陣を従えたオープニング。それらギター陣とSteve Gaddのドラム、Tony Levinのベース、Kateのピアノが織り成す小粋なサウンドと姉妹の素晴らしいハーモニーが。Bobby Keysのサックスも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=J3m9qY35xG0
「My Town」
Anna McGarrigle作。マンドリンやハーモニカの音色が印象的なノスタルジック・フォーキー。しみじみとしたヴォーカルに和みます。
https://www.youtube.com/watch?v=EMiVsQ2KtLM
「Blues in D」
Kate McGarrigle作。オールド・ジャズなクラリネットの音色とブルース・フィリーングが融合した味わい深い仕上がり。
「Heart Like a Wheel」
Anna McGarrigle作。Linda Ronstadtのカヴァー(アルバム『Heart Like a Wheel』収録)でお馴染みの名曲のセルフ・カヴァー。初レコーディングは1972年のMcKendree Springヴァージョン(アルバム『3』収録)です。ギター、バンジョー、オルガンのみのシンプルなバックによる演奏は、 お馴染みのLinda Ronstadtヴァージョンからプリミティブなエッセンスを抽出したような感じです。素晴らしいハーモニーが神聖な雰囲気を醸し出します。
https://www.youtube.com/watch?v=N8cQFdFezXc
Linda Ronstadtヴァージョンもチェックを!
Linda Ronstadt「Heart Like a Wheel」
https://www.youtube.com/watch?v=1OABmOJdMoU
「Foolish You」
カナダ人フォーク・シンガーWade Hemsworthの作品をカヴァー。アコーディオン、バンジョー、フィドルが織り成すケルト調の仕上がり。
「(Talk to Me of) Mendocino」
Kate McGarrigle作。この曲もLinda Ronstadtがカヴァー(アルバム『Get Closer』収録)しています。ピアノとオーケストレーションをバックに、しみじみと歌い上げるバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=V7KsDv1K8-k
「Complainte pour Ste-Catherine」
Anna McGarrigle/Philippe Tatartcheff作。1989年にUKポップ・シンガーKirsty MacCollがカヴァーしています。フランス語で歌われる独特の雰囲気のフォーキー・ポップに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=aXL7hUHaJaY
「Tell My Sister」
Kate McGarrigle作。クラリネットのノスタルジックな音色が印象的なスタンス調の仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=LXj2sjIdo2o
「Swimming Song」
当時Kateの旦那であったLoudon Wainwright III(2人は1977年に離婚)の作品をカヴァー。オリジナルはアルバム『Attempted Mustache』(1973年)に収録されています。アコーディオン、バンジョー、フィドルによるケルト調の仕上がり。僕が少し苦手なタイプです。
https://www.youtube.com/watch?v=r4ZrBxJHxo0
「Jigsaw Puzzle of Life」
Anna McGarrigle作。この姉妹らしいトラッド・フィーリングとハーモニーを楽しめる1曲。
「Go Leave」
Kate McGarrigle作。Kateによるギター弾き語り。シンプルなのに心惹かれるのは楽曲とヴォーカルの素晴らしさでしょうね。2001年にスウェーデン人女性オペラ歌手Anne Sofie Von OtterがElvis Costelloとのデュエットでカヴァーしています(アルバム『For The Stars』収録)。
https://www.youtube.com/watch?v=63dIZ4ylfac
「Travellin' on for Jesus」
ラストはバハマの宗教歌のカヴァー。ほのぼのとしたノスタルジックなトロピカル感が印象的です。Lowell Georgeのギターが活躍します。
Kate & Anna McGarrigleの他作品もチェックを!
『Dancer with Bruised Knees』(1977年)

『Pronto Monto』(1978年)

『Entre la jeunesse et la sagesse』(1980年)

『Love Over & Over』(1982年)

『Heartbeats Accelerating』(1990年)

『Matapedia』(1996年)

『The McGarrigle Hour』(1998年)
