
発表年:1967年
ez的ジャンル:クリスタル・ヴォイス・ボサノヴァ
気分は... :塩バターロール…
今回は60年代ブラジル作品からLenita Bruno『Work Of Love』(1967年)です。
Lenita Bruno(1926-87年)はリオデジャネイロ出身のブラジル人女性シンガー。
60年代のボサノヴァ隆盛につながる50年代サンバ・カンサォンの時代に活躍したシンガーとして知られる人です。
本作『Work Of Love』は彼女がアメリカに渡り、ライブ活動をしていた時代のUS録音作です。
Victor MことVictor Meshkovskyがプロデュースを務め、Clare Fischerがアレンジを手掛けています。
僕の場合、Lenita Brunoについて全く知りませんでしたが、Victor Mプロデュースということで、彼のグループMade In Brasilの『Numero Um』(1975年)と一緒にCDを購入した記憶があります。
レコーディングにはLenita Bruno(vo)以下、Laurindo Almeida(g)、Clare Fischer(p、org、harpsichord)、Paulinho da Costa(ds、per)、Bud Shank(fl)、Jose Marinho(b)、Ray Neopolitan(b)、Allen Harshman(strings)、Anatol Kaminsky(strings)、Willy Wanderburg(strings)、Gerald Vinci(strings)等のミュージシャンが参加しています。
基本はボサノヴァ作品ですが、ボサノヴァで多く聴かれる囁きヴォーカルではなく、サンバ・カンサォン的な情感たっぷりの美しく伸びやかなヴォーカルが印象的です。
個人的には「Old Guitaron」以降のアルバム後半5曲が特に気に入っています。
全曲紹介しときやす。
「Sing, Sing More (Canta, Canta Mais)」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius De Moraes作。『Por Toda Minha Vida』(1959年)でも歌われて楽曲の再録音。哀愁のメロディを伸びやかな歌い声で歌い上げます。
「Dindi」
Antonio Carlos Jobim/Aloysio de Oliveira作。Laurindo Almeidaの美しいギターとLenitaの美しい歌声の相性が抜群です。Bud Shankのフルートも印象的です。
「Dindi」について、当ブログではFlora Purim、Paprika Soul、Claudine Longetのカヴァーを紹介済みです。
「Stay My Love (Da-Me)」
Adilson Godoy作。ここで英語で情感たっぷりの歌声を聴かせてくれます。Clare Fischerのハープシコードの使い方がユニークですね。
「Someone To Light Up My Life (Se Todos Fossem Iguais a Voce)」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius De Moraes作。ポピュラー・スタンダードのような雰囲気の中、Lenitaが澄み切った歌声を聴かせてくれます。
「Baquianas Brasileiras #5」
Villa Lobos作。美しい旋律を持つ曲ですが、情感たっぷりのスキャットで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=1ubuWY7808A
「Old Guitaron」
Johnny Mercer/Laurindo Almeida作。Bud Shankのフルートが先導し、作者AlmeidaのギターとClare FischerのピアノがLenitaのヴォーカルに寄り添う、雰囲気のあるジャジー・ボッサに仕上がっています。
「Wave」
Antonio Carlos Jobim作。お馴染みの名曲の魅力をLenitaが美しいクリスタル・ヴォイスで再認識させてくれます。
「Constant Rain (Chove Chuva)」
Jorge Ben作品のカヴァー。アルバムで最も躍動感のあるアレンジは僕の一番のお気に入りでもあります。Clare Fischerのハープシコードがダンサブル・サウンドにアクセントを加えてくれます。
「Constant Rain (Chove Chuva)」に関して、当ブログではSergio Mendes & Brasil'66、Gimmicksのカヴァーを紹介済みです。
「Winter Moon」
Laurindo Almeida作。美しいバラードをクリスタル・ヴォイスでしっとりと歌い上げます。琴を思わせる音色がアクセントになっています。
「Dream Of A Carnival (Sonho De Um Carnaval)」
Chico Buarqueの名曲をカヴァー。当ブログではPaulinho Da Violaのカヴァーを紹介済みです。ラストはクイーカとホイッスルが先導するサンバ・チューンで締め括ってくれます。
ご興味がある方はLenita Brunoの他作品もチェックを!
『Por Toda Minha Vida』(1959年)

『Modinhas Fora De Moda』(1959年)

さらに本作のプロデューサーVictor MのグループMade In Brasilのアルバムもチェックしてみては?
Made In Brasil By Victor M『Numero Um』(1975年)

Made In Brasil By Victor M『Nosso Segundo Disco』(1976年)
