発表年:1981年
ez的ジャンル:クリスタル系AOR
気分は... :ムーンライト…
今回は80年代AOR作品からPaul Davis『Cool Night』(1981年)です。
ミシシッピ州出身の男性シンガー・ソングライターPaul Davis(1948-2008年)の紹介は、『Paul Davis』(1980年)に続き2回目となります。
1977年のシングル・ヒット「I Go Crazy」(全米チャート第7位)が映画『なんとなく、クリスタル』(1981年)の主題歌となり、日本でリバイバル・ヒットし、一躍AOR系注目アーティストとなったPaul Davis。
そんな時期にタイミング良くリリースされたアルバムが本作『Cool Night』(1981年)です。長年在籍してきたBang Recordsを離れ、Aristaからリリースされた作品ですが、本作からは「Cool Night」(全米チャート第11位)、「'65 Love Affair」(全米チャート第6位)という2曲のヒットが生まれています。
当時、高校生で全米Top40を中心に洋楽を聴いていた僕がリアルタイムで聴いたPaul Davisが「Cool Night」、「'65 Love Affair」といったヒット曲でした。
リアルタイムで聴いた人にとっては、上記のオリジナル・ジャケよりも国内盤ジャケのムーンライトなイメージが強いですよね。
『Cool Night』 ※国内盤ジャケ
プロデュースはPaul DavisとEd Seay。
レコーディングにはPaul Davis(vo、key)、Ed Seay(b、key、back vo)以下、Gene Chrisman(ds)、Benny Rappa(ds、back vo)、Jean T.MacHine(ds)、Barry Dunaway(b)、Steve Tischer(b)、Tommy Cooper (key)、Vance Taylor(key)、Doug Bare(key)、Steve Hardwick(g)、Rick Hinkle(g)、Carol Veto(back vo)といったミュージシャンが参加しています。アトランタでのレコーディングです。
従来のアルバム以上に、ポップ・ロック調のエッセンスが強調されているアルバムです。時代の流れですが、シンセ・サウンドも目立ちます。
やはり、「Cool Night」、「'65 Love Affair」というヒットした2曲が目立ちますが、爽快メロウ・ミディアム「You Came To Me」、素敵なメロウ・ポップ「Somebody's Gettin' To You」、オリエンタル・メロウ「Oriental Eyes」、The Supremesのカヴァー「Nathan Jones」あたりもオススメです。
ヒット・シングルを生んだアルバムにも関わらず、本作を最後にPaul Davisは第一線から消えてしまいました。もしかしたら、チャート・アクションを意識したポップ路線は必ずしも本人が望んだ方向性ではなかったのかもしれませんね。
聴いていると青春時代を思い出す1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Cool Night」
Paul Davis作。タイトル曲はアルバムのリード・シングルとして、前述のように全米チャート第11位のヒットとなりました。国内盤ジャケのムーンライトなイメージがそのまま音になったようなセンチメンタルAORに仕上がっています。やはり、この曲が一番好きですね。
https://www.youtube.com/watch?v=HgZvzlW2C8s
「You Came To Me」
Paul Davis/Mike Hughes/Joe Wilson作。Paulのジェントル・ヴォーカルが栄えるAORファンは満足するであろうメロウ・ミディアム。爽快ヴォーカル・ワークがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=_FvxBWgVPRA
「One More Time For The Lonely」
Paul Davis作。シンセ・サウンドが印象的なミディアム。個人的にはサウンドとPaulのジェントル・ヴォーカルが少し喧嘩している印象が・・・
https://www.youtube.com/watch?v=-iMqIMzFIpE
「Nathan Jones」
Diana Ross脱退後のThe Supremes、1971年のヒット曲をカヴァー(Kathy Wakefield/Leonard Caston作)。オリジナルの軽快なポップ・ソウル感を生かしたブルー・アイド・ソウル的な仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=P7PFYrVUP5Y
「Oriental Eyes」
Paul Davis作。Paulのジェントルな魅力が伝わってくるオリエンタル・テイストのメロウ・ミディアム。この曲にもムーンライト感がありますね。
https://www.youtube.com/watch?v=ViFsV-LoCqo
「'65 Love Affair」
Paul Davis作。前述のように全米チャート第6位となった「I Go Crazy」と並ぶヒット曲。従来のPaul Davisのイメージを打ち破るポップ・ロックな曲調です。ドゥワップ調コーラスも交えて60年代オールディーズのエッセンスを80年代サウンドで表現しているのが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=l_h2xZ0Kzwc
「Somebody's Gettin' To You」
Paul Davis作。Paul Davisらしいメロディを満喫できる素敵なメロウ・ポップ。甘く温かみのあるPaulのヴォーカルにピッタリな1曲ですね。大好き!
https://www.youtube.com/watch?v=O14hPvEU13k
「Love Or Let Me Be Lonely」
The Friends of Distinction、1970年のヒット曲をカヴァー(Jerry Peters/Anita Poree/Skip Scarborough作)。アルバムから3rdシングルにもなりました。甘酸っぱいテイストの哀愁メロウです。
https://www.youtube.com/watch?v=-iMqIMzFIpE
「What You Got To Say About Love」
Paul Davis/Doug Bare/Benny Rappa作。良くも悪くも80年代らしいポップ・ロック。僕の期待するPaul Davisはコレではないのですが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=N9S8IxW3JyE
「We're Still Together」
Paul Davis作。ラストは派手さはありませんが、ジェントルな魅力のあるメロウ・ミディアムで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zeQAoXlkeic
Paul Davisの他作品もチェックを!
『Singer of Songs-Teller of Tales』(1977年)
『Paul Davis』(1980年)