発表年:2017年
ez的ジャンル:新世代ネオソウル系ブルガリア人女性シンガー
気分は... :アンラーン!
今回は新作からブルガリア人女性シンガーRuth Kolevaの最新作『Confidence. Truth』です。
1990年ブルガリア、ソフィア生まれの女性シンガーRuth Kolevaの紹介は、2ndアルバム『Ruth』(2014年)、『Ruth』のリミックス・アルバム『Rhythm Slave(Remix Album)』(2015年)に続き3回目となります。
『Ruth』は、年末恒例の『ezが選ぶ2014年の10枚』でセレクトしたお気に入り盤でした。
売れっ子のイギリス人ドラマーRichard Spavenが全面参加したクロスオーヴァー・ジャズ/ソウル作品は、『Jazz The New Chapter 2』掲載盤にもなり、進化形ジャズの方面からも注目された1枚でした。
さらに、そのリミックス・アルバム『Rhythm Slave(Remix Album)』(2015年)では、Kaidi Tatham(Bugz In The Attic、2000Black等)、Mark De Clive-Lowe、Opolopo、Eric Lau、Positive Flow(Jesse Reuben Wilson)がリミックスを手掛けたクラブミュージック好きを魅了する1枚でした。
そして、期待の新作アルバム『Confidence. Truth』ですが、L.A.を拠点に制作された作品となりました。Ruthはブルガリアで活動を開始する前にL.A.で音楽を学んでおり、L.A.での制作は彼女にとってはある意味自然な流れなのかもしれません。
プロデュースはRuthと同じくブルガリア出身でL.A.を拠点に活動するプロデューサー/ミュージシャンのGeorgi Linev(Gueorgui Linev)。Kan Wakan名義での活動でも知られる人です。
レコーディングには、今最も旬なアーティストAnderson Paakの作品にも参加しているRon Avant(key)、超絶ベーシストThundercatの弟であると同時に、注目のユニットThe InternetのメンバーであるJameel Bruner(key)、Flying Lotus『You're Dead!』にも参加していたGene Coye(ds)、さらにはCooper Appelt(b)、Amir Oosman(ds)、Bradford Tidwell(g)等のミュージシャンが参加しています。さらにSofia Philharmonic Ensembleがストリングスを担当しています。
ライナーノーツには、Kaidi Tatham(Bugz In The Attic、2000Black等)、Brandon Colemanの参加が記載されていますが、CDのクレジットを見る限りは、この2人の名前は見当たりませんでした。
正直、大好きだった『Ruth』のようなダンサブル感はありませんが、アーティストとして進化するRuthワールドに魅了されるアルバムに仕上がっています。
全体の印象としては、生音、プログラミング、ストリングスがバランス良く融合されたサウンドが、コケティッシュなRuthのヴォーカルと調和しているのがいいですね。このあたりはプロデューサーGeorgi Linevの手腕かもしれません。
ジャンルで語るのが難しい作品です。僕はこれまでRuth作品を某渋谷の大手CDショップで購入してきました。そのショップにおいて、『Ruth』、『Rhythm Slave(Remix Album)』はジャズ・コーナーに陳列されていましたが、本作『Confidence. Truth』はインディR&Bコーナーにネオソウル作品として陳列されていました。
まぁ、ジャンルなど気にせず、Ruthの音やサウンドに耳を傾け、楽しみましょう!
全曲紹介しときやす。
「Oceans」
ダンサブルな哀愁ミディアム・グルーヴがオープニング。生音、プログラミング、ストリングスが織り成す重厚なサウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=yeH0ggduXC0
「Run」
美しいミディアム・バラードを情感たっぷりに歌い上げます。ヴォーカル・ワークを重視した作りがいいですね。ここでもストリングスがドラマチック効果をアップさせています。
https://www.youtube.com/watch?v=xiYuaAbGIpk
「Tokyo」
日本人には興味深いタイトルですね。東京の持つ二面性を歌ったもののようです。プロデューサーGeorgi Linevの手腕が光るネオソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ChMZLh6u9Ko
「A New Home」
深淵から響いてくる哀愁メロディと美しい歌声って感じがいいですね。ここでも生音、プログラミング、ストリングスのバランスの絶妙です。
「Basil」
Ruthのソウルな側面を楽しめる1曲。ソウルフルな味わいながらも、モロにレトロ・モードにならないところがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=dUYO77FszfU
「The Rain」
派手さはないものの、Gene Coyeのドラム、Ron Avant、Jameel Brunerのキーボードらの好サポートをバックに、Ruthのコケティッシュ・ヴォーカルの魅力を存分に楽しめる哀愁ジャジー・ソウルです。
「I Don't Know Why」
本作ならではのRuthワールドを楽しめる1曲です。アルバムで一番キャッチーかもしれませんね。生音、プログラミング、ストリングスが織り成す新世代サウンドが心地好く響きます。
「Wantchu」
エレクトリック色の濃い仕上がり。ダークなようで実はビューティフルは音作りにハマります。
「What You Say To A Girl?」
夢の中を彷徨うかのようなユラユラした美しさが印象的な仕上がり。Ruthのキュートな歌声が栄えるサウンドです。
「Didn't I?」
Ruthの歌とRon Avantのピアノ、バック・コーラスのみの感動的なバラードで締め括ってくれます。
『Future Sweet』(2012年) ※6曲入りEP
『Ruth』(2014年)
『Rhythm Slave(Remix Album)』(2015年)
ご興味がある方は、本作に大きく貢献したGeorgi LinevのユニットKan Wakanの作品もチェックしてみては?
Kan Wakan『Moving on』(2014年)