発表年:1972年
ez的ジャンル:銀河系ストリングス・ジャズ
気分は... :銀河の歴史がまた1ページ・・・
70年代ジャズからAlice Coltraneの『World Galaxy』(1972年)です。
John Coltraneの妻としても知られるハープ&鍵盤奏者Alice Coltrane(1937-2007年)の紹介は、『Journey In Satchidananda』(1970年)、『Eternity』(1976年)に続き3回目となります。
本作『World Galaxy』(1972年)は、正式にはAlice Coltrane With Strings名義であり、ストリングスを効果的に用いた1枚に仕上がっています。
プロデュースはAlice ColtraneとEd Michel。
Alice Coltrane(p、org、harp、per)、Frank Lowe(ts、ss、per)、Reggie Workman(b)、Ben Riley(ds)、Elayne Jones(timpani)、Swami Satchidananda(narrator)、LeRoy Jenkins(violin)、David Sackson(concertmaster)等がレコーディングに参加しています。
インドを旅した後にレコーディングされた『Journey In Satchidananda』(1970年)以降、東洋思想の影響を受けたスピリチュアル・ジャズに傾倒していったAliceですが、本作もそうした流れの中で制作されたものです。
印象的なのがアルバム全5曲の構成です。まずアルバムのオープニングとラストで、亡き亡き夫John Coltraneの代表的レパートリー「My Favorite Things」と「A Love Supreme」をカヴァーしている点が興味深いですね。
それ以外の3曲はAliceのオリジナルですが、いずれもタイトルに"Galaxy"が含まれています。銀河をモチーフにした壮大なストリングス・ジャズが展開されるのはが本作の特徴です。
聴く前には、もっとスピリチュアル・ジャズな内容をイメージしていましたが、フリー・ジャズ、ジャズ・ロック的なエッセンスも取り込んだAliceならではのジャズ・ワールドを展開します。
本作ならではのストリングス・ジャズを満喫しましょう!
全曲紹介しときやす。
「My Favorite Things」
Richard Rodgers/Oscar Hammerstein II作。亡き夫John Coltraneの代表的レパートリーをカヴァー。かつてのJohnのサックスをなぞるかのようにAliceのオルガンが響きます。そこにドラマティックなストリングスが加わり、Aliceならではの「My Favorite Things」に仕上げています。Johnの死を乗り越えようとするAliceの強い意志が伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=cckpRS9QkzY
「Galaxy Around Olodumare」
Alice Coltrane作。荘厳なストリングスを効果的に使い、様々な表情を見せる壮大な音世界は神の意思のようです。ここでのAliceはピアノをプレイし、Frank Loweのサックスがマッドに叫びます。
Cypress Hill「I Ain't Goin' Out Like That」のサンプリング・ソースとなっています。
Cypress Hill「I Ain't Goin' Out Like That」
https://www.youtube.com/watch?v=q7p-ihYOG5s
「Galaxy In Turiya」
Alice Coltrane作。Aliceのハープとストリングスが織り成す音はまさに銀河のようなスピリチュアル・ジャズです。
https://www.youtube.com/watch?v=xJo9k-Y0Hzc
Flying Lotus「Aunties Harp」のサンプリング・ソースとなっています。
Flying Lotus「Aunties Harp」
https://www.youtube.com/watch?v=CiaZNyIFUdY
「Galaxy In Satchidananda」
Alice Coltrane作。『Journey In Satchidananda』でもお馴染みのインド人のグルSwami Satchidanandaの名をタイトルに冠しています。ハープとストリングスによる銀河系ジャズにインドのエッセンスが加わり、独自のスピリチュアル・ジャズを堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=QJekN_fCqPE
「A Love Supreme」
ラストはJohn Coltraneの名曲の「Part I - Acknowledgement」をカヴァー。Swami Satchidanandaのナレーションと共に始まります。本編はAliceのオルガン、LeRoy Jenkinsのヴァイオリンが印象的なジャズ・ロック的な演奏です。Coltraneの名曲をエレクトリック・マイルスような電化ジャズ的な演奏で聴かせるのが興味深いです。エンディングはハープによるビューティフルな音色で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=lBGyfOh5-x8
The Beatnuts「Bum Rush」、Dead Prez「Behind Enemy Lines」、Algorhythms「Love Supreme」等のサンプリング・ソースとなっています。
The Beatnuts「Bum Rush」
https://www.youtube.com/watch?v=l2DiXv7V-eY
他のAlice Coltrane作品もチェックを!
僕も未聴の作品が多いので地道にチェックし続けたいと思います。
『A Monastic Trio』(1968年)
『Huntington Ashram Monastery』(1969年)
『Journey In Satchidananda』(1970年)
『Ptah, the El Daoud』(1970年)
『Universal Consciousness』(1972年)
『Lord of Lords』(1973年)
『Illuminations 』(1974年) ※Carlos Santanaとのコラボ作
『The Elements』(1974年) ※Joe Hendersonとの共演
『Eternity』(1976年)
『Radha-Krisna Nama Sankirtana』(1976年)
『Transcendence』(1977年)
『Transfiguration』(1978年)