2017年08月06日

Dwight Trible With Matthew Halsall『Inspirations』

魂のジャズ・ヴォーカリスト、UKジャズ・トランぺッターとの共演作☆Dwight Trible With Matthew Halsall『Inspirations』
インスピレーションズ(with マシュー・ハルソール)
発表年:2017年
ez的ジャンル:深遠系男性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :9秒台突入なるか・・・

間もなく世界陸上男子100Mの準決勝です。サニブラウン選手の日本人初の9秒台突入を期待してしまいます。

今回は新作アルバムから、L.A.ジャズ・シーンで活躍する男性ジャズ・シンガーDwight TribleがUKのジャズ・トランぺッターMatthew Halsallと共演したDwight Trible With Matthew Halsall『Inspirations』です。

Dwight Tribleはオハイオ州シンシナティ出身の男性シンガー。L.A.ジャズの重要人物Carlos Ninoによるスピリチュアル・ジャズ・ユニットBuild An Arkへの参加でも知られるL.A.を拠点に活動するシンガーです。

そんなL.A.ジャズを代表するヴォーカリストのDwight Tribleですが、本作『Inspirations』は共演者Matthew Halsallの拠点であるUKでの録音となっています。

マンチェスター出身のMatthew Halsallは、ジャズ・トランぺッターであると同時に、インディペンデント・レーベルGondwana Recordsの主宰者でもあります。同レーベルからは、UKの今ジャズを代表するユニットGoGo Penguinの1stアルバム『Fanfares』(2012年)、2ndアルバム『V2.0』(2014年)もリリースされています。

そんなMatthew Halsallがジャズ・フェスティバルでDwight Tribleと知り合い、ロンドンでのライブにTribleを招き、その流れ2曲を共にレコーディングしたのがアルバム制作のきっかけとなったようです。勿論、本作『Inspirations』Gondwana Recordsからのリリースです。

レコーディング・メンバーはDwight Trible(vo)、Matthew Halsall(tp)以下、Taz Modi(p)、Gavin Barras(b)、 Jon Scott(ds)、Luke Flowers(ds)、Rachael Gladwin(harp)。Matthew Halsallがプロデュースも務めています。さらに、Nostalgia 77としての活動で知られるBenedic Lamdinがレコーディング・エンジニアを務めています。

アルバムはすべてカヴァーで占められており、Tribleの低音ヴォーカルが栄えるバラードが中心の構成となっています。

Build An Arkでもカヴァーした「What The World Needs Now Is Love」「Tryin' Times」、Tribleの以前からのレパートリー「Dear Lord」John Coltraneのカヴァー)あたりが目立つかもしれません。

個人的には、Dorothy Ashbyのカヴァー「Heaven & Hell」、トラディショナル・フォークソング「Black Is The Colour Of My True Love's Hair」、感動的な黒人霊歌「Deep River」というラスト3曲に、かなりグッときました。

派手さはありませんが、聴く者の心を揺さぶる素晴らしい男性ジャズ・ヴォーカル作品です。

全曲紹介しときやす。

「What The World Needs Now Is Love」
Burt Bacharach/Hal David作。Jackie DeShannonのヒットで知られるBacharach作品のカヴァー。Build An Arkも『Love Part 2』(2010年)でカヴァーしていた楽曲です(国内盤ボーナス・トラック)。Tribleのヴォーカルが栄える深遠な仕上がりです。Rachael Gladwinのハープの響きが雰囲気があっていいですね。

「Tryin' Times」
Donny Hathaway/Leroy Hutson作。オリジナルはRoberta Flack 『First Take』(1969年)のヴァージョンです。Donny Hathaway本人のヴァージョンは『Everything Is Everything』(1970年)に収録されています。Trible自身はBuild An Ark『Love Part 2』(2010年)でも本曲をCarmen Lundyとのデュエットでカヴァーしています。雰囲気としては、Build An Arkヴァージョンに近いブルージーな仕上がりです。

「I Love Paris」
Cole Porter作のスタンダードをカヴァー。Tribleが情感たっぷりに歌い上げるバラード。男の哀愁が伝わってきます。Halsallの哀愁トランペットもいい雰囲気です。

「Feeling Good」
ミュージカル『The Roar of the Greasepaint – The Smell of the Crowd』(1964年)のために書かれたAnthony Newley/Leslie Bricusse作品をカヴァー。Nina Simoneヴァージョンでも知られる楽曲です。Gregory Porterも『Water』(2011年)でカヴァーしていました。ドライブ感のあるピアノ・トリオのバッキングに牽引されるようにTribleのヴォーカルも躍動します。僕好みの演奏です。

「Dear Lord」
John Coltrane作品にTribleが詩をつけてカヴァー。Coltraneのオリジナルは『Transition』(1965年録音)に収録されています。Tribleという男性ヴォーカリストの立ち位置がよく分かる深遠なバラードに仕上がっています。聴いているだけで、心が澄み切ってきます。

「Heaven & Hell」
ジャズ・ハープ奏者Dorothy Ashbyのカヴァー。オリジナルは『The Rubaiyat Of Dorothy Ashby』(1970年)に収録されています。Halsallによるカヴァー・セレクトのようですが、Tribleにマッチした楽曲であり、彼のヴォーカルの魅力を存分に味わえるバラードに仕上がっています。

「Black Is The Colour Of My True Love's Hair」
トラディショナル・フォークソングのカヴァー。Tribleの低音ヴォーカルが腹に響いてくるブルージーな仕上がり。黒人としての誇りを歌い上げるTribleのヴォーカルが感動的です。抑えたバッキングの美しさにも魅了されます。

「Deep River」
黒人霊歌のカヴァー。ラストはピアノをバックにTribleが感動的なヴォーカルを聴かせてくれます。

Dwight Tribleの他作品もチェックを!

『Horace』(2001年)
Horace

『Living Water』(2004年)
Living Water [帯解説・国内仕様輸入盤] (BRZN126)

Dwight Trible & The Life Force Trio『Love Is The Answer』(2005年)
Love Is The Answer [解説付・国内盤仕様・2CD] (BRZN108)

『Cosmic』(2011年)
Cosmic
posted by ez at 00:01| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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