発表年:1985年
ez的ジャンル:Ariwa系UKレゲエ/ダブ
気分は... :表と裏・・・
本当は夏らしいレゲエ・アルバムThe Paragons『The Paragons』(1985年)あたりを考えていたのですが、天候的にフィットしない感じなので急遽変更することに・・・
差し替えた作品は、今回はUKレゲエ/ダブ・シーンの第一線で活躍し続ける鬼才プロデューサー/エンジニアMad Professorの人気ダブ・アルバムMad Professor『A Caribbean Taste Of Technology』(1985年)です。
同じレゲエ/ダブでもMad教授らしいダビー・サウンドは雨模様に聴いても違和感がないのでは?
Mad Professor名義の作品を当ブログで紹介するのは初めてですが、これまで当ブログではMad ProfessorがプロデュースしたAriwaラヴァーズとして、以下の5枚を紹介済みです。
Sandra Cross『Comet In The Sky』(1988年)
Kofi『Black...with Sugar』(1989年)
Sandra Cross『Foundation Of Love』(1992年)
Carroll Thompson『The Other Side of Love』(1992年)
Susan Cadogan『Soulful Reggae』(1992年)
Mad ProfessorことNeil Fraserは1955年ガイアナ生まれ。UKレゲエ/ダブ・シーンを牽引するレーベルAriwaを設立し、数々のレゲエ/ダブ名作をシーンに送り出しています。
Ariwaといえば、Mad教授プロデュースによるメロウなラヴァーズ作品でも人気ですが、もう1つの顔が人気シリーズDub Me Crazyをはじめとするダブ作品群です。
そんな中でも本作『A Caribbean Taste Of Technology』(1985年)は、普段ダブ・アルバムを聴かないような人でもスンナリ入れるカリビアン・テイストのダブ作品に仕上がっています。僕自身も前述のAriwaラヴァーズと同じ時期に本作を頻繁に聴いていました。
レコーディングにはF. M. Band(vo)、Glen Brown(vo)、Pato Banton(vo)、Ranking Ann(vo)、Sandra Cross(vo)、Black Steel(b、g、p、key、per、vo)、Bernard Cumberbatch(b)、Kirk Service(b)、Preacher(b)、The Robotiks(ds)、Drumtan Ward(ds、per)、Patrick Augustus(steel pan)、Jeffrey Beckford(g)、Cleveland Neunie(key)、Errol Reid(key)、Michael "Bami" Rose(horns)、Roger & Patrick(horns)、Vin Gordon(horns)、Kate Holmes(fl)、Roger Thomas(fl)、Bobby Beckingham(violin)、といったミュージシャンが参加しています。
一般の音楽リスナーには、とっつきにくいイメージがあるダブ・アルバムのカテゴリーですが、そんなダブ・サウンドをキャッチーさと毒っ気をバランス良く聴かせるのが、ラヴァーズとダブを両方を手掛けるMad教授ならではの手腕だと思います。
本作のお題は「カリビアン」ということも含めて、カリビアン・サウンドらしいスティール・パンの音色が響く「Fresh And Clean」、「Berbice Mad House」があたりが本作のハイライトだと思います。
それ以外にもMad教授ならではの聴きやすいダビー・サウンドにはかき氷のようなヒンヤリ感があるはずです。
Mad Professor『A Caribbean Taste Of Technology』 ※Full Album
https://www.youtube.com/watch?v=ewDTHfJqLwI
全曲紹介しときやす。
「Fresh And Clean」
スティール・パンの音色が夏らしいオープニング。ダブをあまり聴かない人にも聴きやすいクール&メロウなダビー・サウンドです。Ariwaラヴァーズと組み合わせて聴くのもいいのでは?
「Hurricane Gloria」
ダークなベースにハリケーンをイメージしたホーン・サウンドが絡むダビー・サウンドがグッド!淡々とした中にマッドな香りがじんわりと滲み出てきます。
「Obeah Power」
夏らしい開放的なレゲエ・サウンドをMad教授がダビーに調理しています。ラガ調ヴォーカルがいいアクセントになっています。
「Buccaneer's Cove」
ルーツ調レゲエをダブ処理しています。ホーン・アンサンブルの響きが印象的です。程良いマッドネスがいい感じです。
「The Heart Of The Jungle」
タイトルの通り、ジャングル・モードのトライバル・サウンドが支配する密林ダブといったところでしょうか。
「Civil Unrest」
淡々としたダビー・サウンドに潜む静かなる狂気のような雰囲気にグッときます。
「Capadulla」
ダンサブルなダビー・サウンドがいい感じです。キャッチーさと毒っ気がバランスしたセクシーなサウンド感覚がグッド!
「1011 Digital」
クール&ダークなダビー・サウンドを聴いているだけで体温が少し下がる気がします。
「Berbice Mad House」
再びスティール・パンの音色が心地好く響くカリビアン・レゲエ/ダブ。「Fresh And Clean」と並ぶ僕のお気に入り。
「Uncle Sam's Back Yard」
ラストはゲーム・サウンドのエッセンスを巧みに取り入れたメロディアスなダビー・サウンドで締め括ってくれます。
僕の所有CDには未収録ですが、最近の国内再発CDには初期12"シングル「Bengali Skank (3 Cuts) 」、「Mystic Loving」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
ご興味がある方はMad Professorの人気ダブ・シリーズDub Me Crazy諸作やMad ProfessorがMassive Attack『Protection』(1994年)をリミックスしたMassive Attack v Mad Professor『No Protection』(1995年)もチェックしてみては?
『Dub Me Crazy』(1982年)
『Beyond The Realms Of Dub (Dub Me Crazy, Pt.2)/The African Connection (Dub Me Crazy, Pt.3)』(1982/1983年) ※2in1CD
『Escape To The Asylum of Dub (Dub Me Crazy, Pt.4)』(1984年)
『Who Knows The Secret Of The Master Tape (Dub Me Crazy, Pt.5)』(1985年)
『Schizophrenic Dub (Dub Me Crazy, Pt.6)』(1986年)
『Adventures Of A Dub Sampler (Dub Me Crazy, Pt.7)』(1987年)
『Experiments Of The Aural Kind (Dub Me Crazy, Pt.8)』(1988年)
『Science And The Witchdoctor (Dub Me Crazy, Pt.9)』(1989年)
『Psychedelic Dub (Dub Me Crazy, Pt. 10)』(1990年)
『Hijacked To Jamaica (Dub Me Crazy, Pt.11)』(1992年)
『Dub Maniacs On The Rampage (Dub Me Crazy, Pt.12)』(1993年)
Massive Attack v Mad Professor『No Protection』(1995年)
Mad ProfessorプロデュースによるAriwaラヴァーズ諸作の過去記事もチェックを!
Sandra Cross『Comet In The Sky』(1988年)
Kofi『Black...with Sugar』(1989年)
Sandra Cross『Foundation Of Love』(1992年)
Carroll Thompson『The Other Side of Love』(1992年)
Susan Cadogan『Soulful Reggae』(1992年)