発表年:1961年
ez的ジャンル:魔性の女系ボサノヴァ
気分は... :波乱万丈・・・
今回は60年代ボサノヴァ作品からMaysa『Barquinho(邦題:ボサノヴァの小舟)』(1961年)です。
Maysa(本名:Maysa Matarazzo)(1936-1977年)はサンパウロ出身の女性シンガー。
1956年にデビュー。早熟のオトナな歌声で"サンバ・カンサフォンの女王"と称賛され、ブラジルで全国的の人気を誇ると同時に、酒や恋愛をめぐるトラブルも多い波乱万丈な女性シンガーだったようです。1977年に自動車事故で死去。
本作『Barquinho』は、詩人のRonaldo Boscoliと組み作ったボサノヴァ作品です。ボサノヴァをブラジル全土に広めたヒット作となりましたが、当時Boscoliの婚約者であったNara Leaoから恋人を奪うという略奪愛のオマケ付きになってしまいました。ただし、略奪愛は長くは続きませんでしたが・・・
レコーディングにはLuiz Eca(p)、Bebeto(b)、Helcio Milito(ds)というグループ結成直前のTamba TrioのメンバーやRoberto Menescal(g)等も参加しています。Luiz Ecaはオーケストレーションも手掛けています。
12曲中7曲をRonaldo Boscoliが作詞しています。そのうち4曲がRoberto Menescal、2曲がLuiz Ecaの作曲です。
オーケストレーションを伴うノスタルジックな雰囲気の演奏も多く、そのあたりで好き/嫌いが分かれるかもしれません。ただし、そういったサウンド以上に、Maysaの妖艶ヴォーカルの魅力をメインに聴くべきアルバムだと思いますので、あまり気にせず聴きましょう(笑)
波乱万丈の人生を送った早熟の女性シンガーならではのボサノヴァを楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Barquinho」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作の名曲「小舟」がオープニング。Maysaが艶やかなヴォーカルでボサノヴァ名曲を歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=lZ7xA-EGhXU
本曲について、当ブログではElis Reginaの『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』、『Elis Regina in London』、『Aquarela Do Brasil』収録の3ヴァージョンやO Quarteto、Stacey Kent、Tamba Trio、Herbie Mann & Tamiko Jonesのカヴァーを紹介済みです。
「Voce E Eu」
Carlos Lyra/Vinicius De Moraes作の名曲カヴァー。涼しげなフルートに先導され、Maysaが早熟なオトナの妖艶ヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=q3vgtMmgmWQ
本曲について、当ブログではNara Leao、Roberto Menescal、Paul Winter With Carlos Lyra、Adam Dunning、Joyce、Christiane Legrand、Jon Hendricksのヴァージョンを紹介済みです。
「Dois Meninos」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作。ピアノとオーケストレーションをバックに、しっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=xiK0ktNWcPY
「Recado A Solidao」
Francisco Feitosa作。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。小粋なアレンジと艶やかなMaysaのヴォーカルがフィットした軽快なボッサ・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=PmTT-lSsohk
「Depois Do Amor」
Normando/Ronaldo Boscoli作。オーケストレーションをバックに、吐息交じりのMaysaのヴォーカルが切なく響きます。
https://www.youtube.com/watch?v=GAtKQMXhfPw
「So Voce (Mais Nada)」
Paulo Saudade作。郷愁感たっぷりの仕上がり。Maysaのクールな低音ヴォーカルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=mXDTq8xuLN8
「Maysa」
Luiz Eca/Ronaldo Boscoli作。雄大なオーケストレーションをバックに、雰囲気たっぷりの哀愁ヴォーカルを聴かせてくれます。
「Errinho A Toa」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作。当ブログではWalter Wanderleyのカヴァーも紹介済みです。「Recado A Solidao」と並ぶ僕のお気に入り。軽快なボッサ・グルーヴが艶やかなMaysaのヴォーカルを引き立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=5lM3F9xCmVo
「Lagrima Primeira」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作。情感たっぷりの哀愁ヴォーカルで歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=6xiFkTN0JIY
「Eu E O Meu Coracao」
Inaldo Villarin作。クラリネットの音色が印象的なジャズ・フィーリングのボッサ・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=YRWj5dR-cAY
「Cala Meu Amor」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius De Moraes作。しっとりとした雰囲気の中で、早熟のシンガーMaysaの魅力を存分に堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=RjkQ5cTaaKQ
「Melancolia」
Luiz Eca/Ronaldo Boscoli作。ラストは素敵なオーケストレーションをバックに、ロマンティックな雰囲気で締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=92JM0ujTlaQ
Maysaの他作品もチェックを!
『Maysa』(1957年)
『Convite Para Ouvir Maysa No.2』(1958年)
『Maysa E Maysa... E Maysa, E Maysa!』(1959年)
『Maysa Canta Sucessos』(1960年)
『Voltei』(1960年)
『Songs Before Dawn』(1961年)
『Maysa, Amor... E Maysa』(1961年)
『Maysa』(1964年)
『Maysa』(1966年)
『Canecao Apresenta Maysa』(1969年)