発表年:2017年
ez的ジャンル:ベルリン産新世代R&Bシンガー
気分は... :未踏の地へ・・・
今回は新作アルバムからベルリンを拠点にする新世代R&BシンガーNoah Sleeのデビュー・アルバム『Otherland』です。
Noah Slee(多分、本名はKautau Molia Manukia)は、ニュージーランド出身の男性R&Bシンガー。ライナーノーツを読むと、幼少期をトンガで過ごした後に、NZのオークランドへ移住と書かれており、本名も考慮すると彼のルーツはNZというよりもトンガと説明した方が適切かもしれません。
自ら音楽制作を手掛けるようになり、NZの音楽シーンで頭角を現し始めます。当ブログで紹介した作品でいえば、NZのフューチャー・ソウル作品Sola Rosa『Magnetics』(2014年)でNoah Sleeがフィーチャリングされています。
その後、1stシングル「Can't Let Go」をリリースし、そのリミックスを手掛けたJuri Nathan Ben Esserと意気投合します。そして、彼がスタジオを所有するベルリンを拠点に、共同プロデュースで本作『Otherland』の制作を開始します。
ちなみにJuri Nathan Ben Esserは、Ben Esserの名で知られるUK出身の男性SSW/プロデューサーであり、かつてはUKのバンドLadyfuzzのドラマーとしても活躍していました。
話を本作『Otherland』に戻すと、販売元のインフォやCD帯の宣伝文句には、各方面から絶賛の新世代US女性R&BグループKING、UK期待の男性R&BシンガーSampha、デトロイト出身の次世代ビートメイカーTall Black Guyといった当ブログで紹介したアーティストの名前が引き合いに出されています。
さらに参加メンバーには、当ブログでも少し前にデビュー・アルバム『Freedom TV』を絶賛したナイジェリア出身、ベルリン在住の男性R&BシンガーWayne Snow、当ブログでもお馴染み、USアンダーグラウンドR&Bの女王である異才Georgia Anne Muldrow、『Cloak』(2016年)で注目されたオーストラリア、ブリスベン出身で現在はロンドンを拠点とする男性シンガー・ソングライターJordan Rakei、さらには全世界が注目するオーストラリアのフューチャー・ソウル・ユニットHiatus KaiyoteのメンバーPaul Bender(b)とSimon Mavin(key)という要注目アーティストの名がズラリと並びます。
ここまで挙げたアーティストの名を眺めただけで、本作の充実ぶりが想像できちゃいますよね(笑)
実際の音も、そんな事前期待を裏切らない内容です。随所で新世代アーティストらしいR&Bを満喫できます。また、ハウスのエッセンスを取り入れた楽曲あたりはベルリンならではの音かもしれません。また、ゴスペル色の強い楽曲なども収録されています。
楽曲はすべてNoah自身とBen Esser等によるオリジナルです。
次世代R&B好きの方は要チェックな音だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Komata’anga (Intro) 」
トンガ語で「はじまり」を意味するイントロ。Noahのルーツはトンガにアリ!
「Instore」
ナイジェリア出身、ベルリン在住の男性R&BシンガーWayne Snowと同郷の友人であるNZの女性シンガーRachel Fraserをフィーチャー。さらにHiatus KaiyoteのPaul BenderとSimon Mavinも参加しています。揺らめく哀愁サウンドと共に3人のヴォーカルがジワジワと脳内を侵食します。
https://www.youtube.com/watch?v=2mlicLZ-ozU
「Radar」
ベルリン産らしいハウスの影響を感じるダンサブル・チューン。今のR&Bとハウスを自然に融合させているのが新世代アーティストなのかもしれませんね。このあたりはWayne Snowにも通じますね。
https://www.youtube.com/watch?v=jE-eiVF7_-A
「Invite (Interlude)」
インタールード。
「Lips」
MeloDownzをフィーチャー。Hiatus Kaiyoteの2人も参加。アンビエントな雰囲気の今時R&Bらしい1曲に仕上がっています。音空間の広がりでいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=MmhTmsz4Ad4
「Told」
現在、僕の移動中のヘビロテはコレ!ベルリン産R&Bならではのダンサブル・チューンだと思います。アンダーグラウンドなアッパー感がたまらなく僕好みです。トランペットのアクセントもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=n2wDsnGABkw
「Sunrise」
スクラッチと共に始まる新世代らしいR&Bグルーヴ。Noahのファルセット・ヴォーカルが浮遊する感じがいいですね。Georgia Anne Muldrowも参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=fCaqD-H3qts
「Dawn(Interlude)」
Georgia Anne Muldrowをフィーチャー。MuldrowからNoahへのエールのようなトライバルな小曲。
「Reality」
最新作『Wallflower』が間もなくリリースされる期待の男性SSW、Jordan Rakeiをフィーチャー。オセアニアからヨーロッパ経由で世界中のR&Bファンを魅了するという点で、NoahとRakeiは共通していますね。そんな期待のホープの共演らしい次世代R&Bの音世界を満喫できます。むやみに尺を長くせず2分半強で収めるのも新世代らしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=UUaUfN-EoL8
「DGAF」
Shiloh Dynastyをフィーチャー。Noahのギターがさり気なく牽引します。歌い回しが新世代R&Bらしいですね。Shiloh Dynastyのサウンド・エフェクトのようにサウンドに溶け込む高音ヴォーカルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=lNgSeq3dC2w
「Wander (Interlude)」
ゴスペル調のインタールード。
「Stayed」
前曲からの流れを汲むゴスペル調のバラード。アンビエント+ゴスペルな感じが新世代アーティストらしいかもしれません。
「Way Back」
祈りのような哀愁のヴォーカルワークが印象的です。
「Kiez (Interlude)」
インタールード。
「100」
Hiatus Kaiyoteの2人も参加。参加メンバー達のハイブリッドな音楽センスが凝縮されたフューチャー・ソウルに仕上がっています。コレも大好き!
「Silence」
タイトルの通り、静寂の中でNoahのヴォーカルは揺らめきます。新世代のスピリチュアル・ソウルといった趣です。
「Ngata’anga (Outro)」
Ben Esserのピアノによるアウトロ。
販売元の宣伝文句に従い(笑)、KING、Sampha、Tall Black Guyとセットで聴いてみては?
KING『We Are KING』(2016年)
Sampha『Process』(2017年)
Tall Black Guy『Let's Take A Trip』(2016年)