2017年09月24日

Kamasi Washington『Harmony Of Difference』

L.A.ジャズのキーマン、最新作はアート・イベントのために書かれた組曲☆Kamasi Washington『Harmony Of Difference』
Harmony of Difference [帯・解説付 / 国内仕様輸入盤CD] (YTCD171JP)
発表年:2017年
ez的ジャンル:L.A.スピリチュアル・ジャズ
気分は... :ハーモニーを創るアート!

L.A.ジャズを牽引する、今最も旬なジャズ・サックス奏者Kamasi Washingtonの最新ミニ・アルバム『Harmony Of Difference』です。

1981年L.A.生まれのジャズ・サックス奏者Kamasi Washingtonの紹介は、Flying LotusBrainfeederからリリースされ、各方面から絶賛されたCD3枚組超大作『The Epic』(2015年)に続き2回目となります。

壮大なスケールの進化形スピリチュアル・ジャズを提示した前作『The Epic』(2015年)は、所謂Jazz The New Chapterな今ジャズ作品群の中でも最もインパクトのあった1枚でした。

それだけに次作への期待が大きかったKamasi Washingtonですが、最新作『Harmony Of Difference』はNYのホイットニー美術館で開催される美術イベント《ホイットニー・ビエンナーレ2017》のために書かれた楽曲から構成されるミニ・アルバムとなりました。

これらの楽曲はA.G. Rojasが手掛けたフィルム、Kamasiの女兄弟であるAmani Washingtonが手掛けたアートワークと共に初演されたそうです。その意味ではフィルム、アートワーク、音楽の3つで1つのアート作品として楽しむべきなのでしょうね。CDにはAmani WashingtonのアートワークやA.G. Rojasのフィルムの画像も収められています。

まぁ、時間を掛けて練った3枚組超大作の次の作品としては、他のアーティストとの交流で瞬発的に創り上げたミニ・アルバム位が丁度いいのかもしれませんね。

本作はUKの人気レーベルYoung Turksからリリースというのも興味深いですね。。当ブログでも紹介した、UK期待の男性R&Bシンガーのデビュー・アルバムSampha『Process』Young Turksからのリリースでした。

今回の収録曲は全6曲。これらは6楽章から成る組曲ということらしいです。また、本作のテーマとして作曲技法のひとつである“対位法"の可能性の探求というものがあるらしいです。僕は小難しくジャズを聴くタイプではないので、あまりそういった点に囚われずに聴きたいと思いますが・・・

レコーディングにはKamasi Washington(ts)以下、Thundercat(el-b)、Terrace Martin(as)、Ronald Bruner Jr.(ds)、Cameron Graves(p)、Brandon Coleman(key)、Miles Mosley (b)、Tony Austin(ds、per)、Ryan Porter(tb)、Dontae Winslow(tp)、Matt Haze(g)、Dexter Story(back vo)等のミュージシャンが参加しています。多くのミュージシャンが『The Epic』に続いての参加ですが、改めて眺めるといいメンバーが揃っていますね。

前述のように6曲の組曲ですが、5つのテーマの曲が最後の「Truth」で融合するという構成になっています。まず5曲の演奏を個別に楽しみ、最後にそれらが織り成す壮大なハーモニーを楽しむという2段構えの聴き方ができます。

まぁ、あまり小難しいことを考えずに聴いても、直観的に感動が湧き上がってくる素晴らしいジャズ作品です。『The Epic』に続きハマりそうです。

全曲紹介しときやす。

「Desire」
感動的なスピリチュアル・ジャズがオープニング。Kamasiのサックスをはじめ、音楽に込めた願いが心の奥までジワジワと響いてきます。

「Humility」
Kamasi、Ryan Porter、Dontae Winslowの三菅によるアンサンブル&ソロにグッとくる格好良いジャズ・ダンシング。L.A.スピリチュアル・ジャズ×クラブジャズ的なエキサイティング感がいいですね。

「Knowledge」
息の合ったメンバーとL.A.スピリチュアル・ジャズらしい壮大なアンサンブルを聴かせてくれます。感動的なドキュメンタリーのエンディング・テーマのような雰囲気がありますね。特にRyan Porterのトロンボーンがいい味出しています。

「Perspective」
Kamasiの情熱的なブロウを楽しめる演奏ですが、アーバンな雰囲気も醸し出すバランスの良さがグッド!

「Integrity」
ブラジリアン・フレイヴァーを取り入れた楽園モードのピースフル・ジャズ!明日への活力になる生命感のある演奏です。こういう路線は個人的に大歓迎!

「Truth」
ラストは本作のハイライトと呼ぶべき13分半の大作。『Harmony Of Difference』というタイトルの答えがココにあります。ここまで示された5曲がこの大作で融合し、1つの壮大なハーモニーを奏でて結実します。
https://www.youtube.com/watch?v=rtW1S5EbHgU

Kamasi Washingtonの他作品もチェックを!

Young Jazz Giants『Young Jazz Giants』(2004年)
Young Jazz Giants

『The Proclamation』(2007年)
ザ・プロクラメイション

『The Epic』(2015年)
The Epic
posted by ez at 02:08| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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